更新日:2021年2月4日
第1腰椎圧迫骨折後の脊柱変形8級で、訴訟提起後3000万円で和解

みおでご相談後の取得金額
事例の概要
被害者様:Sさん/40代/会社員/大阪市天王寺区在住
第1腰椎を圧迫骨折され、後遺障害8級の認定後、829万円の示談提示があった時点で相談に来られました。示談交渉では保険会社側の対応が進まず、訴訟提起し、3000万円で裁判上和解が成立しました。
事故はこうして起こった
Sさんは、大阪市天王寺区で、自転車で車道の左側を走行していましたが、前方に駐車車両があり、駐車車両の右側を走行していこうとしたところ、車両の右ドアが突然開き、衝突して体を投げ出され、地面に尻もちをついてしまいました。
後遺障害と解決までの道のり
衝撃の程度は大きく、この事故で、Sさんは第1腰椎圧迫骨折の怪我をしてしまいました。半年ほど治療したものの、脊柱の変形や腰の痛みが残るため、後遺障害の申請をしたところ、脊柱の変形で8級の後遺障害等級が認定されました。その後、保険会社から829万円で示談提示がありましたが、この金額が適正なものであるか判断がつかず、弁護士に助けてもらいたいと考え、当事務所に相談に来られました。
弁護士が、保険会社からSさんに提示された示談内容を確認したところ、ほぼ自賠責保険基準通りの最低限の補償になっており、弁護士が交渉すれば、必要になる弁護士費用以上に、大幅に増額する可能性が高いと判断できました。そこで、当事務所で示談交渉を進めることになりました。
保険会社との示談交渉は、保険会社側の対応が進まず、時間ばかり経過する状況でした。ようやく提示された金額は約1570万円と、Sさんに提示された金額と比較すると1.89倍とかなりの増額になりましたが、後遺障害逸失利益の労働能力喪失率が14%と低かったこと、傷害慰謝料・後遺障害慰謝料も弁護士基準の80%と低かったことから、増額の余地が大きいものでした。そこで、示談交渉で早期解決の見通しが立たないことも踏まえ、訴訟を提起しました。
訴訟では、相手方からは、後遺障害等級は8級ではなく11級であると、示談交渉時には主張されていなかった内容の主張がありました。その他、傷害慰謝料・労働能力喪失期間・労働能力喪失率も争われました。ただ、最終的には、画像精査の結果、後遺障害等級の争いはなくなり、8級前提で和解の話に進みました。
裁判所からは、労働能力喪失率以外は当方の主張を認め、労働能力喪失率は27%との和解案が示されました。脊柱変形8級の場合、45%の労働能力喪失率が認められるケースは少なく、多くの事案で労働能力喪失率は低く算定されます。本件も労働能力喪失率が低い認定となりましたが、Sさんの症状や仕事への影響を考えると十分なものと判断できたため、当方は裁判所和解案を受け入れ、相手方も受け入れたため、3000万円で和解が成立しました。
当事務所が関わった結果
後遺障害等級が争いになるのは予想外でしたが、脊柱変形障害の後遺障害等級は、圧迫骨折等した椎体の椎体高を基に判断することから、画像を精査して相手方の主張に反論しました。また、主治医の先生の意見書も提出しました。
その結果、最終的に相手方は11級であるとの主張を取り下げ、8級を前提に手続きを進めることができました。
解決のポイント
後遺障害等級の争い
示談交渉の際は、後遺障害等級8級を前提に手続きが進んでいましたが、裁判になって初めて相手方から11級が相当であるとの主張が出てきました。
仮に11級との主張が認められると、認定される慰謝料は400万円となり、8級前提の場合の830万円の半分以下になってしまいますし、後遺障害逸失利益の労働能力喪失率も低くなり、総額で考えて、8級の場合と比較して半分程度になるものと思われました。
8級が認定されるか、11級が認定されるかは、圧迫骨折した椎体の椎体高によって決まります。そこで第1腰椎の画像の精査・主治医の先生の意見書の提出・症状固定後の画像を提出するなどして、8級が妥当であるとの主張立証を行いました。その結果、画像上、自賠責保険の認定通り、前方椎体高が後方椎体高の半分以下になっていることが判明し、相手方も11級の主張を撤回し、8級前提に手続きを進めることになりました。
傷害慰謝料
裁判では、Sさんの通院回数が少ないことから、傷害慰謝料は低く算定されるべきと相手方から主張がありました。これに対し、本件は脊椎の圧迫骨折の怪我で、病院に行っていない時も脊柱変形や骨折に伴う痛みがあったのが明らかであったことを主張し、慰謝料を減額すべきでないと主張しました。その結果、裁判所からは、傷害慰謝料について、当方の主張を認める和解案が提示されました。
和解案の検討
双方が一定の主張立証をした後、裁判所からは3000万円の和解案が提示されました。最大の争点である労働能力喪失率は27%という内容でした。後遺障害等級8級の労働能力喪失率は一般に45%とされていますが、脊柱変形障害の場合、変形自体による支障が分かりにくいこともあり、45%が認められる事案は少ないと言わざるを得ません。極端な場合は、労働能力喪失がないとの考え方もありうるところですが、多くの事案では45%からある程度労働能力喪失率を下げ、低くても14%程度までで認定されている事案が多い印象です。
Sさんの場合、SE(システムエンジニア)の仕事をされていて、座っている時間が長いために、腰椎の圧迫骨折の仕事への影響が小さいとは言えませんでした。ただ、仕事自体は継続できており、45%も労働能力を喪失したとは言えないと思われました。そのため、裁判所から提示された27%との労働能力喪失率は妥当なものと考えられ、総額が3000万円と高額賠償と言えること、ご依頼前からは3.62倍と大幅に増額になっていることを踏まえ、裁判所和解案を受け入れることにしました。相手方も、3000万円の示談案を受諾したため、最終的に裁判上の和解が成立しました。
担当弁護士のまとめ

脊柱変形障害8級で、3000万円で解決した事案です。脊柱変形障害は、労働能力喪失率が争点になることが多く、被害者の方が保険会社と直接交渉するのが特に難しい後遺障害類型と言えます。Sさんも、保険会社との交渉を進めるのに不安を感じ、専門家に任せたいとして当事務所に相談に来られました。示談交渉が進まなかったことから、裁判に至りましたが、最終的に保険会社の事前提示から3.62倍に増額した3000万円と大幅に増額になりました。
当事務所では、脊椎の圧迫骨折や破裂骨折で脊柱変形障害が残った方から、数多くの示談交渉等の手続きのご依頼をいただいています。脊柱変形障害の後遺障害申請や示談交渉に不安があるという方は、当事務所に手続きをお任せいただければと思います。
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