症状固定のタイミングについて。
監修者: 交通事故チーム主任弁護士
羽賀 倫樹 (はが ともき)
交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。
- 相談者
- 交通事故で怪我を負い治療を続けていたのですが、これ以上改善の見込みがないようです。
症状固定を行った方が良いのでしょうか?
- 羽賀弁護士
- 治療による効果が感じられない場合には、主治医に症状固定したほうが良いかについて、しっかり相談しましょう。
後遺障害診断書を作成する前には、交通事故問題に取り組む弁護士と相談して、後遺障害診断書に記載する内容を検討するのがおすすめです。
症状固定をいつにするかによって、後遺障害の認定や示談交渉に大きな影響があるため、適切なタイミングでの対応が必要で、医師や弁護士と相談しながら行うことが必要です。
- この記事でわかること
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- 症状固定の意味とその重要性
- 症状固定の適切なタイミングと判断基準
- 後遺障害診断書の取得プロセスとその注意点
- 医師や弁護士とのコミュニケーションの重要性
- こんな方が対象の記事です
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- 交通事故で怪我をして治療をしているものの、治療による効果を感じられなくなっている方
- 後遺障害診断書の作成を検討している方
- 症状固定のタイミングや後遺障害診断書の作成について詳しく知りたい方
後遺障害診断書の取得について
後遺障害診断書を取得すると、治療費や休業損害の支払が打ち切られますが、治療を継続して大きな改善が見られない場合には、症状固定をして次のステップに移行したほうが時間の節約になるでしょう。
症状固定かどうかは、医師とよく相談して決めてください。下記の通り被害者側に過失がある場合、症状固定を早めた方が良い結果になることが多くなります。そのため、治療による効果が感じられない場合には、主治医に症状固定したほうが良いかについて、しっかり相談するようにしましょう。
重度の後遺障害の場合には、自宅での介護体制の整備などの問題もありますので、症状固定の時期をさらに慎重に判断する必要があります。
記 (あくまで一例です)
当方30%、 相手方70% |
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1年間で100万円、2年間で150万円 (1年目100万円、2年目50万円) |
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300万円 (1年後に復職して、1年目以降は他の損害が発生しないとします) |
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1年で症状固定の場合、230万円 2年で症状固定の場合、280万円 (余分にかかった治療費50万円を保険会社が払ったとします) |
示談等で回収できるのは、以下の算式になります。
(治療費+その他損害)×(100%-当方の過失割合)-既払金 | |
(1,000,000+3,000,000)×(100%-30%)-2,300,000=500,000 | |
(1,500,000+3,000,000)×(100%-30%)-2,800,000=350,000 |
後遺障害診断書のチェックについて
医師は非常に多忙のため、単に後遺障害診断書の作成を依頼するだけでは、簡略な診断書しか作成してくれません。したがって、後遺障害診断書を作成する前に、交通事故問題に取り組む弁護士と相談して、後遺障害診断書に記載する内容を検討するのがいいでしょう。
後遺障害診断書が出来上がったら後遺障害を立証するのに必要な検査をしているか、検査方法に不備がないか、自覚症状もきちんと書いてくれているか、といった点をチェックしましょう。医師の中には、たとえば、関節の可動域測定の際、角度計を使用せずに目測で測定する方もおられるので、後遺障害診断書のチェックは欠かせません。
後遺障害診断書の記載欄のうち、「自覚症状」から後遺障害の名称・程度を推定し、それを「各種検査などの他覚的検査」で立証するという流れになりますので、検査漏れがあった場合は、再検査を行ってから、もう一度、後遺障害診断書を作成してもらうと良いでしょう。
保険会社との折衝の前に「被害者請求」を
後遺障害診断書を作成したら、自賠責保険へ被害者請求を行います。自賠責保険は、あくまで最低限の補償ですが、当面の生活資金になりますので、必ず被害者請求をしましょう。自賠責保険金を受け取ってから保険会社との交渉に入ります。
なお、後遺障害等級の認定と共に、自賠責保険金が支払われます。後遺障害等級に不服がある場合には、認定票記載の理由を確認し、異議申立をするかどうかを決断します。
次のページでは、被害者請求により認定を受けた等級がどのように決まるのかを解説しています。
更新日:2016年11月29日
交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。
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