助手席乗車中に交通事故に遭われた方の解決ポイント
監修者: 交通事故チーム主任弁護士
羽賀 倫樹 (はが ともき)
交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。
- 相談者
- 助手席に乗っている時に事故に遭い、怪我をしました。
補償の手続きはどのように行えばよいのでしょうか?
- 羽賀弁護士
- 助手席に乗っている時に事故に遭った場合、同乗者と運転手の関係性、運転手の過失の有無等によって、考慮すべき要素やどの程度示談金が支払われるかが変わってきますので、弁護士にご相談いただくことをおすすめしています。
- この記事でわかること
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- 運転手が同乗者の父母・配偶者・子である場合の過失割合ごとの手続きの違いについて
- 運転手が父母・配偶者・子以外の他人である場合の過失割合ごとの手続きの違いについて
- 助手席に座っていた際に交通事故被害に遭った場合に弁護士に相談するメリット
- こんな方が対象の記事です
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- 助手席で交通事故に遭った方やそのご家族の方
- 運転手が同乗者の父母・配偶者・子である場合に助手席に乗っていて交通事故被害に遭った方
- 運転手が父母・配偶者・子以外の他人である場合に助手席に乗っていて交通事故被害に遭った方
はじめに
当事務所にご相談いただく交通事故の中で、助手席に乗車中に事故に遭い怪我をしたという事案が時々あります。助手席に乗車中の事故の手続きも、基本的には他の交通事故の手続きと類似しますが、特有の考慮が必要なケースもあります。ここでは、助手席に乗車中に事故に遭った場合の特徴について、運転手と同乗者の関係性や運転手の過失の有無で場合分けして見ていきたいと思います。
運転手が同乗者の父母・配偶者・子である場合
(1)運転手に100%の過失がある場合・自損事故の場合
例えば、父母・配偶者・子が運転する車の助手席に座っていたところ、運転手が追突事故を起こしたり、運転操作を誤って車両を電柱に激突させたために、助手席に座っていた人が怪我をしたという場合です。
この場合、法的には、助手席に座っていた人から運転手に対する賠償請求が認められますが、通常賠償請求することはないと思われます。対人賠償責任保険についても、運転手が父母・配偶者・子の場合には使うことができません。そのため、車両についている人身傷害保険を使って補償を受けることが一般的です。また、自賠法3条の「他人」であると認められれば、同乗していた車両についている自賠責保険を使うことも可能です。
詳しくは、「自損事故解決のポイント」のページを参照してください。
(2)運転手にも一定の過失(5%~95%)がある場合
例えば、四輪車で優先道路を走行していたところ、非優先道路から出てきた四輪車と衝突し、助手席に座っていた人が怪我をしたという例が考えられます。この場合、一般的には、優先道路側の車両運転手の過失が10%、非優先道路側の車両運転手の過失が90%になります。
この場合、上述の通り、助手席に座っていた人から運転手に対する賠償請求が行われることは考えづらいですし、助手席に座っていた人との関係で同乗車両の対人賠償責任保険を使うこともできません。上記の事案では、一般的に、助手席に座っていた人から、事故の相手方の対人賠償責任保険に示談金を請求することになります。事故の相手方の自賠責保険を使うこともできますし、自賠法3条の「他人」であると認められれば、同乗していた車両についている自賠責保険を使うことも可能です。
なお、運転手と同乗者が「身分上、生活関係上、一体をなすとみられるような関係にある」場合には、同乗者は、事故の相手方に対し、運転手の過失(上記の事案では10%)を差し引いた分の請求しかできないとされています(被害者側の過失、最高裁判所昭和51年3月25日第一小法廷判決 民集第30巻2号160頁)。
(3)運転手に過失がない場合
例えば、青信号で交差点を進行していたところ、赤信号無視で交差点に進入してきた車両と衝突し、助手席に座っていた人が怪我をしたという例が考えられます。
この場合、運転していた人に過失がありませんので、同乗していた車両についている自賠責保険・対人賠償責任保険を使うことはできません。一般の交通事故と同じく、信号無視をしてきた車両の自賠責保険や対人賠償責任保険から治療費や慰謝料等の支払いを受けることになります。
運転手が父母・配偶者・子以外の他人である場合
(1)運転手に100%の過失がある場合・自損事故の場合
例えば、赤信号待ちで停車している車両に後続車が追突し、後続車の助手席に座っていた人が怪我をしたという場合や、運転手がハンドル操作を誤り、車両を壁に激突させ、助手席に座っていた人が怪我をしたという場合です。
この場合、基本的に、運転していた人を相手方として、車両についている自賠責保険・任意保険(対人賠償責任保険)から治療費や慰謝料等の支払いを受けることができます。
(2)運転手にも一定の過失(5%~95%)がある場合
例えば、交差点で右折四輪車と直進四輪車が衝突し、直進四輪車の助手席に座っていた人が怪我をしたというような場合です。この場合、一般的には右折四輪車の過失が80%、直進四輪車の過失が20%になります。
法的に見ると、運転をしていた人と事故の相手方が共同不法行為を行ったことになり、助手席に座っていた人は、運転していた人と事故の相手方の両方に賠償請求することが可能です。ただ、上記の事案について、保険への請求という観点では、運転していた人と相手方のうち、過失割合が高い事故の相手方の対人賠償責任保険が窓口となり対応することが一般的です。加害者が二人いても法的には賠償額は変わりませんが、自賠責保険が、同乗していた車両の分と、事故の相手方の分の両方が使え、対人賠償責任保険が実質的に負担する金額が通常の交通事故より低くなることから、対人賠償責任保険からの支払いが通常より緩いと感じられることがあります。そのため、通常の交通事故より十分な賠償を受けやすいケースもあります。
(3)運転手に過失がない場合
例えば、赤信号待ちで停車していた時に、追突事故に遭い、前方車の助手席に座っていた人が怪我をしたというような場合です。
この場合、運転していた人に過失がありませんので、車両についている自賠責保険・対人賠償責任保険を使うことはできません。一般の交通事故と同じく、追突してきた車両の自賠責保険や対人賠償責任保険から治療費や慰謝料等の支払いを受けることになります。
みお綜合法律事務所の弁護士によるまとめ
このように、助手席に座っていた人が交通事故で怪我をした場合、同乗者と運転手の関係性、運転手の過失の有無によって、考慮すべき要素やどの程度の賠償が受けられるかが変わってきます。一方、助手席に座っていた人については、基本的に過失相殺はないために(被害者側の過失が認められる場合、シートベルト不着用がある場合等を除く)、弁護士に依頼すると示談金額が大幅に増額になりやすいといえます。それだけに、助手席に座っていて交通事故で怪我をしたという方は、弁護士に依頼するメリットが大きいと言えます。
更新日:2021年3月25日
交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。
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