加害者が自転車である事故(自転車事故)の発生状況と自転車事故に遭遇した場合の対応方法
監修者: 交通事故チーム主任弁護士
羽賀 倫樹 (はが ともき)
交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。
- 相談者
- 歩いていたら自転車にぶつけられてしまい、怪我をしてしまいました。
このような場合、どのような手続きを踏むべきですか?
- 羽賀弁護士
- 加害者が賠償責任保険に加入しているか確認することが重要です。
賠償責任保険があれば、弁護士に手続きを依頼できる可能性があります。
- この記事でわかること
-
- 自転車事故の発生状況と年間の事故件数の推移
- 自転車事故に遭ってしまった場合の対応
- 自転車事故で賠償責任保険の有無を確認する必要性
- こんな方が対象の記事です
-
- 加害者が自転車の場合の交通事故に遭遇した場合の適切な対応を知りたい方
- 自転車の賠償責任保険の必要性について知りたい方
- 加害者が自転車である交通事故について、弁護士に相談するメリットを知りたい方
はじめに
交通事故の発生件数は、全体として減少傾向と言われますが(令和4年の警察庁の交通事故の発生状況に関する統計等)、加害者が自転車である事故(自転車事故)は必ずしも減少傾向ではなく、数多くの自転車事故が今も発生しています。このページでは、自転車事故の発生状況や、自転車事故に遭ってしまった場合の対応等について見ていきたいと思います。
自転車事故の発生状況
自転車が関わる交通事故には、自動車対自転車、二輪車対自転車、自転車対自転車、自転車対歩行者、自転車単独事故等が考えられます。これらのうち、加害者が自転車である可能性が高いのは、自転車対自転車、自転車対歩行者の類型です。これらの類型の1年あたりの発生件数の推移は下記の通りとなっています。
自転車対自転車
年 | 発生件数 |
---|---|
2011年 | 3,616件 |
2012年 | 3,260件 |
2013年 | 3,037件 |
2014年 | 2,865件 |
2015年 | 2,519件 |
2016年 | 2,588件 |
2017年 | 2,749件 |
2018年 | 2,973件 |
2019年 | 3,030件 |
2020年 | 2,618件 |
2021年 | 2,968件 |
2022年 | 2,940件 |
2023年 | 3,190件 |
自転車対歩行者
年 | 発生件数 |
---|---|
2011年 | 2,806件 |
2012年 | 2,625件 |
2013年 | 2,605件 |
2014年 | 2,551件 |
2015年 | 2,506件 |
2016年 | 2,281件 |
2017年 | 2,550件 |
2018年 | 2,756件 |
2019年 | 2,831件 |
2020年 | 2,634件 |
2021年 | 2,733件 |
2022年 | 2,905件 |
2023年 | 3,208件 |
年ごとに発生件数に増減がありますが、自転車対自転車は毎年3,000件前後、自転車対歩行者は毎年3,000件弱発生しています。絶対数は多いとは言えないかもしれませんが、同じ期間で交通事故全体の発生件数は、692,084件(2011年)から300,839件(2022年)に減少していますので、自転車対自転車、自転車対歩行者の交通事故の比率は高くなってきていることが分かります。
また、二輪車対自転車の場合も、自転車が加害者になる可能性が考えられます。例えば、自転車が赤信号無視で交差点に進入、青信号で走行してきたバイクと接触し、バイク側のみが転倒して怪我をしたというようなケースです。この類型の1年あたりの発生件数の推移は下記の通りとなっています。
二輪車対自転車の場合
年 | 発生件数 |
---|---|
2011年 | 9,134件 |
2012年 | 7,854件 |
2013年 | 7,023件 |
2014年 | 6,071件 |
2015年 | 5,142件 |
2016年 | 4,635件 |
2017年 | 4,587件 |
2018年 | 4,248件 |
2019年 | 3,672件 |
2020年 | 3,306件 |
2021年 | 3,269件 |
2022年 | 3,127件 |
2023年 | 3,080件 |
こちらは、交通事故全体の減少傾向に合わせるように、発生件数が大きく減少しています。なお、二輪車対自転車ですので、二輪車の方が怪我をしたとしても、二輪車側の方が過失割合が高いケースが多くなります。ただし、上述した自転車側が赤信号無視をしたようなケースでは、自転車側の過失割合が高くなります。例えば、自転車が赤信号で交差点に進入、青信号でバイクが進行というケースであれば、自転車80%・二輪車20%が基本過失割合になります。また、自転車が赤信号で横断歩道を走行、青信号でバイクが進行というケースであれば、自転車75%・二輪車25%が基本過失割合になります。
自転車事故に遭ってしまった場合の対応
加害者が自転車の事故の場合に、直後に行う必要がある手続きは、加害者が自動車の事故の場合と類似します。主だったところを挙げると以下の通りです。
No | 直後に行う必要がある手続き |
---|---|
① | 警察に連絡 |
② | 加害者の氏名・連絡先等を確認 |
③ | 救急車を呼ぶ |
④ | 病院で診察を受ける |
⑤ | 健康保険等の利用 |
⑥ | 加害者の保険の有無・保険会社の確認 |
⑦ | 自身の保険の確認 |
⑧ | 警察の実況見分への立ち合い |
以上のうち、①~⑤、⑦、⑧は自動車事故と同じ内容になります。詳しくは以下のページに記載していますので、参考にしてください。
一方、⑥加害者の保険の確認について、自動車事故の場合と異なる部分があります。加害者が加入している保険の確認が必要であることは変わりませんが、自転車事故の場合、自賠責保険がありません。また、自転車事故でも賠償責任保険が使えるケースが増えているとはいえ、加害者が賠償責任保険に入っていないケースも一定数あります。
加害者に賠償責任保険があれば、治療費の心配をする必要はありませんし、保険会社に対し慰謝料の話をすることもできます。また、賠償責任保険が適用されれば、自転車事故の手続き・後遺障害・慰謝料等について弁護士に相談し、場合によっては手続きを依頼することも可能です。
みお綜合法律事務所の弁護士によるまとめ
自転車が加害者となる交通事故は、絶対数は多くはありませんが、交通事故全体に占める割合は大きくなってきています。そのため、自転車事故に遭遇する可能性は低いとは言えないところです。自転車に乗る方は、加害者になってしまう場合に備え、自転車保険に加入する必要があります。また、被害者になってしまう場合に備え、事故に遭ってしまった場合の各種手続きや、自転車事故でも賠償責任保険が使えるケースが数多くあること、賠償責任保険があれば弁護士に手続きを依頼できる可能性があることは知っておいて損はありません。
みお綜合法律事務所では、加害者が自転車である交通事故について、被害者の方から保険会社とのやり取り、後遺障害申請、示談交渉について多くの依頼をお受けしています。自転車事故で悩んでいるという方は、みお綜合法律事務所にご相談ください。
更新日:2023年3月22日
交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。
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