更新日:2021年2月12日
大腿骨の骨折後、下肢短縮と骨折部の痛みが残った事例の示談交渉
みおでご相談後の取得金額
事例の概要
被害者様:Tさん/50代/会社員/兵庫県在住
症状固定の頃ご依頼いただき、後遺障害申請と示談交渉を行いました。後遺障害は下肢短縮13級と骨折部の痛み14級が認定、示談交渉では720万円で解決ができました。
事故はこうして起こった
Tさんは、ショッピングモールの駐車場にご自身の自動車を駐車し、店舗に向かうために駐車場内を歩いていたところ、駐車場の空きスペースを探して走行していた自動車に衝突されてしまいました。
後遺障害と解決までの道のり
この事故で、Tさんは大腿骨転子下骨折の怪我をしてしまいました。約1年半の治療で、症状はかなりの程度回復しましたが、完治はせず、後遺障害申請が必要になったため、弁護士に後遺障害申請と示談交渉を依頼したいとして相談に来られました。
ご相談時に、事故の状況やその時点での症状等をおうかがいしたところ、後遺障害が認定される可能性があり、賠償金も数百万円は見込まれることが判明しました。弁護士特約は契約されていませんでしたが、賠償金から弁護士費用をお支払いいただくことが十分に可能と判断できたことから、当事務所で後遺障害申請と示談交渉の手続きを進めることになりました。
後遺障害申請の場面では、後遺障害診断書の記載内容に問題がないかを確認し申請を行ったところ、下肢短縮13級と、骨折部分の痛み14級が認定されました。
上記の通り認定された後遺障害等級を前提に保険会社と示談交渉を行ったところ、総額720万円と十分な金額になったことから、示談解決に至りました。
当事務所が関わった結果
上記の争点について、一つの考え方として、下肢短縮の逸失利益は認めない、骨折部の痛みについて労働能力喪失期間を5年以内に制限するというものがあります。
これに対し、本件では、上記の考え方より有利な形で解決ができました。具体的には、下肢短縮が1cmとギリギリ13級が認定されたこともあり、下肢短縮自体の逸失利益は認定されなかったものの、骨折部の痛みについて労働能力喪失期間を制限しないという形で示談をまとめることができました。
解決のポイント
逸失利益の算定方法
上述の通り、下肢短縮については逸失利益を認めるかどうかが争点になりやすく、骨折部の痛みについては労働能力喪失期間を5年以内に制限するかが争点になりやすいと言えます。
仮にいずれの争点も考慮に入れた場合、本件では逸失利益が80万円程度になる可能性がありました。ただ、現に下肢短縮と骨折部の痛みがあり、それによる支障が生じている以上、適切な賠償を求める必要があります。本件では、下肢短縮自体は労働能力喪失率に反映させない代わりに、骨折部の痛みについて労働能力喪失期間を制限しないものとし、労働能力喪失率5%、労働能力喪失期間は平均余命の半分の13年、逸失利益約220万円でまとまりました。
逸失利益が80万円程度になる可能性があったことを考えると、220万円という内容は十分なものということができます。
担当弁護士のまとめ
下肢短縮が最も大きな後遺障害として残った比較的珍しい事案と言えます。
下肢短縮では、逸失利益を認めるかどうかが問題になりやすく、本件でも争点になりました。下肢短縮だけが後遺障害として認定されていた場合、逸失利益が否定されていた可能性がありますが、本件では骨折部の痛みも後遺障害として認定されたことから、十分な逸失利益を認定することができました。13級以上の後遺障害が認定された場合、14級の後遺障害が別途認定されても、最終的な後遺障害等級は変化しません。しかし、高位の後遺障害等級の内容が逸失利益の認定されにくいものである場合(本件のような下肢短縮、その他醜状障害・歯牙障害・鎖骨変形などの場合)、その他の後遺障害について14級であっても認定を受けることで、示談交渉で逸失利益の認定を受けやすくなります。後遺障害内容によっては逸失利益が認定されにくいことを把握したうえで、適切な後遺障害診断書を作成し、逸失利益が認定されやすい後遺障害等級の認定も受けておくことで、十分な逸失利益の認定に結び付けることができた事案と言えます。
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