更新日:2013年7月23日
被害者の過失割合を低減。過酷な介護を立証。
みおでご相談後の取得金額
事例の概要
被害者様:大阪市平野区在住/Aさん(10代)男性・学生
実況見分調書の精査と判例にもとづく反論を行い、被害者の過失割合を40%から15%に低減。過酷な介護の様子や公的制度の見通しについて主張し、介護費用等を獲得しました。
事故はこうして起こった
平成19年の某月、学生のAさん(10代・男性)が普通自動二輪車を運転し、対面信号機に従って交差点に進入したところ、対向車線から交差点に右折進入してきた自動車に衝突されました。
後遺障害と解決までの道のり
この事故によってAさんは、胸髄損傷による両下肢麻痺などの重度の後遺障害を負い、後遺障害等級1級1号の認定を受けました。相手方が当初提示してきた損害賠償金(自賠責保険金を含む)は111,800,000円でした。その結果を受けて当事務所が受任し、一審和解により215,000,000円(上昇率192.30%)の損害賠償金を取得することができました。なお、この事件が解決したのは、平成23年です。
当事務所が関わった結果
解決のポイント
調書の内容からAさんに過失がないことを主張
加害者側は、Aさんに(1)速度超過違反、(2)交差点に進入する際の直進車両の注意義務違反(道路交通法36条4項)違反があることから、Aさん40:加害者60の過失割合を主張してきました。
当事務所では、(1)について、実況見分調書に記載された加害車両の移動距離と加速度から移動時間を算出するとともに、被害車両の移動距離と移動時間から被害車両の速度を算定し、制限速度を超過していてないことを主張立証しました。また、(2)について、交差点での右折車両には直進車両の進行を妨害してはならない義務が定められており(同法37条)、右折車両の同義務が直進車両の注意義務に優先する、すなわち直進車両が右折車両に優先するとの判断を示した判例を挙げつつ反論しました。
その結果、裁判所の和解案では、判例タイムズNo.16の基本過失割合を修正すべきとは認められないとして、基本過失割合通りAさん15:加害者85との認定がされました。
ご両親の介護の様子や公的制度の見通しについて主張
将来介護について、加害者側は(1)被害者が日常生活の多くの場面で自立しており、介護状況について争うこと(2)訪問介護費用のうち、自己負担部分の1割のみが損害であること(3)土曜日の職業介護人による介護は不要であると反論してきました。
当事務所では、(1)と(3)について、Aさんのご両親が介護にあたっている場面を写真で撮影し、介護の内容を説明する報告書を作成するとともに、介護に伴う肉体的・精神的負担の大きさを主張立証しました。また、(2)については、介護費用に関する公的制度が将来的に永続する保証はないことを主張しました。
その結果、裁判所の和解案では、現在の介護の状況に鑑み、近親者による将来介護費用を日額8,000円と認定しました。また、訪問介護の必要性・相当性も認めた上で、症状固定日から4年間は自己負担部分1割を損害と認め、それ以降は制度の不確実性に鑑み、自己負担部分に限らず10割を損害と認定しました。
さらに、Aさんのご両親の介護の負担に照らすと、休息のために週1回の職業介護人による介護が必要であると認定し、日額15,000円を相当としました。また、近親者が67歳以降被害者の平均余命までの期間については、職業介護人による介護が必要として、日額15,000円を相当としました。
担当弁護士のまとめ
加害者側は被害者の過失割合が40%であると主張していましたが、実況見分調書の内容を精査するとともに、過去の判例を挙げて反論を行い、被害者の過失割合を15%に低減しました。また、事故により被害者は重度の後遺障害(両下肢麻痺)を負い、ご家族が大変な介護をされていました。介護は生涯にわたると考えた当事務所では、裁判所に対して現在の介護内容を詳細に報告すると同時に、介護費用に関する公的制度の見通しがつかない点も主張しました。これにより、裁判所には、将来介護費用、職業介護人による介護の必要性を認めていただきました。
交通事故の賠償金問題について、裁判所を通して解決を図ることがあります。裁判になると時間がかかりますが、後遺障害は一生続く困難なものです。しっかりと適正な賠償額を得られるかどうかで、その後の生活にも大きな違いが出てきます。
保険会社からの示談に安易に応じることなく、一度、ゆっくりと弁護士との相談にお越しになりませんか。提示された賠償金額が適正かどうかについても、弁護士からご説明させていただきますので、お気軽にご相談予約をお申し込みください。
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