整形外科と整骨院の選択

監修者: 交通事故チーム主任弁護士
羽賀 倫樹 (はが ともき)
交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。

- 相談者
- 交通事故に遭ってしまった場合、整形外科と整骨院、どちらに通院すべきですか?
- 羽賀弁護士
- 保険会社との交渉や示談金のことを考えると、一般的には、整骨院ではなくリハビリが可能な整形外科への通院をお勧めします。
それぞれの医療機関について、交通事故の示談金の面から見た違いについて説明します。
本記事では、整形外科と整骨院の違い、それぞれの通院が治療費支払いや示談金に与える影響について解説します。
- この記事でわかること
-
- 整形外科と整骨院の違い
- 交通事故では整形外科への通院が必要となる理由
- 整骨院通院の際の注意点
- 整形外科通院の際の注意点
- こんな方が対象の記事です
-
- 交通事故に遭遇し、整形外科と整骨院どちらの医療機関に通院すれば良いか迷っている方
- 医療機関の選択による保険会社の対応の違いについて知りたい方
- 交通事故後に整骨院に通う際の注意点について知りたい方
- 交通事故後に整形外科に通う際の注意点について知りたい方
交通事故では整形外科への通院が必要
交通事故でむち打ち等の怪我をした場合、整形外科だけではなく、整骨院にも通院されるケースがあります。整骨院に通院する理由としてよく聞くのは、以下のようなものです。
No | 交通事故が原因で整骨院に通院する理由 |
---|---|
1 | 整骨院の施術の方が効果があるように思う |
2 | 整骨院の方が近所にあったり、夜遅くまでやっていて行きやすい |
整形外科への通院をお勧めします
ただ、保険会社との交渉や示談金のことを考えると、一般的には、整骨院ではなくリハビリが可能な整形外科への通院をお勧めします。その理由は下記の通りです。
No | お勧めする理由 |
---|---|
1 | 整骨院の施術費は、保険会社が支払ってこないことがある |
2 | 一旦保険会社が施術費を負担しても、後になって慰謝料から差し引くと主張してくるリスクが整形外科より高い |
3 | 施術費の支払いが否定されると、それに対応する慰謝料も認められなくなる |
4 | 整骨院の施術費が高額になることがあり、慰謝料が低く抑えられる場合がある |
5 | 整骨院だけ通っていると、整形外科で後遺障害診断書を書いてもらえない |
整骨院通院の際の注意点
整骨院に通院する場合は、上記のような問題が生じることがありますので、可能であればリハビリが可能な整形外科への通院をお勧めします。ただ、そうはいっても、整形外科では通院しにくいというケースもあると思います。そのような場合は、下記のような点に注意して整骨院に通う必要があります。
No | 通院時の注意点 |
---|---|
1 | 整骨院の通院について、保険会社の了解を得ること |
2 | 可能であれば、主治医の先生の了解も得ること |
3 | 整骨院の施術費が高額になっていないか確認すること |
4 | 整骨院通院中も、少なくとも1か月に1回以上整形外科に通うこと |
④は、後遺障害診断書作成の問題だけでなく、整形外科への通院が1か月以上あくと、整形外科の治療費も整骨院の施術費も支払われなくなる恐れがあるため必要になります。このように、整骨院で治療を受ける場合は、様々な点に注意する必要があります。
なお、①について、判決に至って解決する場合には、保険会社の了解という点はあまり意味がありませんが、示談で解決する事案がほとんどであることを考えると、整骨院通院の前に保険会社の了解を得ておくことが手続き上最も重要ということができます。保険会社の了解を得ておけば、施術費を自己負担することがなくなります。また、整骨院での施術について、裁判でいうところの必要性・相当性に疑問の余地があるようなケースでも、示談で解決できる限り、後になって慰謝料から施術費分を差し引くといった主張をされるケースはあまりありません。
整骨院の施術費が否定されると、それに対応する慰謝料の支払いも受けることができなくなります。認定される慰謝料が低くなる上、その慰謝料から既に支払われた施術費を差し引くとなると、受け取ることができる金額は相当低くなってしまいます。裁判上で、施術費と慰謝料が否定されるリスクを考えると、整骨院に通院した場合は、通常の事案以上に、裁判ではなく示談で解決すべきということができます。
整形外科通院の際の注意点
一方、整形外科に通院するとしても、主治医の先生の指示に従って、治療内容や通院頻度を決める必要があるのは当然ですが、それ以外にも以下のように様々な点に注意が必要です。
No. | 注意点 |
---|---|
1 | 交通事故から時間を空けず診察を受けること |
2 | 1か月に1回以上は通院すること |
3 | むち打ちの症状が治まらず、後遺障害申請をする場合、半年以上通院する必要があることと |
4 | 治療や後遺障害診断書作成の際、症状をきっちり伝えること |
交通事故から受診まで時間が空いたり、通院の間隔が空くと、保険会社から治療費が支払われなくなることがあります。また、治療期間が半年いかない場合は、後遺障害等級が認められにくくなります。症状をきっちり伝えておかないと、症状が軽くみられ、後遺障害等級が認められにくくなる恐れがあります。
まとめ
交通事故ではなく、持病等のために整形外科や整骨院に通院するのであれば、効果や利便性を考えてどちらにどの程度通院すればいいか決めれば問題ありません。しかし、交通事故では、相手方の保険会社が治療費を負担しますので、保険会社の考え方や保険手続き上の問題点も考慮して、整形外科に通院するか整骨院に通うかを判断しなければいけません。その判断は、交通事故に遭った直後に求められるものですが、交通事故に遭ったばかりで的確に判断するのは難しいかもしれません。早い段階で弁護士に相談しておけば、そのような問題もクリアにすることができるかもしれません。自動車保険などに弁護士費用特約があれば、それを使って早い段階で弁護士に手続きを依頼するのも一つの方法です。
当事務所では、追突事故等でむち打ちなどの怪我をされた方からの相談を数多くお受けしています。事故直後の方もいれば、治療が終了し後遺障害の手続きを進める必要がある方、後遺障害等級が認定されて保険会社との示談交渉が必要である方等様々な状況でご相談いただいています。整形外科に通うべきか整骨院に通うべきかなど迷うことがあれば、ご相談いただければと思います。
更新日:2021年2月24日

交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。

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