高次脳機能障害で7級が認定された場合の弁護士による示談交渉

監修者: 交通事故チーム主任弁護士
羽賀 倫樹 (はが ともき)
交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。

はじめに
交通事故にあって、急性硬膜下血腫やびまん性軸索損傷等の怪我をした場合、最終的に残ってしまった症状・意識障害の程度・画像所見等から、高次脳機能障害が後遺障害として認定されることがあります。
高次脳機能障害には、1級・2級・3級・5級・7級・9級の後遺障害等級があります。高次脳機能障害が認定され、「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」「一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができない」と判断されると、7級の後遺障害等級になります。
ただ、7級の高次脳機能障害が認定されたとしてどの程度の示談金になるのかは、なかなか想像がつかないかもしれません。そこで、このページでは、7級の高次脳機能障害が認定された場合の示談金の中身について見ていきます。
高次脳機能障害7級の示談金の中身
高次脳機能障害で7級が認定された場合の示談金の項目には、①入通院慰謝料、②後遺障害逸失利益、③後遺障害慰謝料等があります。
以下、それぞれの項目について詳しく解説をします。
入通院慰謝料(傷害慰謝料)
入通院慰謝料(傷害慰謝料)は、交通事故にあって怪我をした場合に支払われるもので、怪我の程度・入院期間・通院期間・通院回数等によって決まります。仮に、急性硬膜下血腫等で2か月入院、1年通院、最終的に高次脳機能障害7級が認定されたケースを基にすると、重度の意識障害が相当期間継続したと言えるのであれば、弁護士が交渉すると最大270万円程度の入通院慰謝料になります。
仮に、示談交渉を弁護士に依頼しない場合で、保険会社から自賠責保険の基準で慰謝料が提示されたとすると、2か月入院、1年通院(通院回数50回)であれば、入通院慰謝料は946,000円になります((入院60日+通院50回)×2×4,300円で計算)。
入通院慰謝料だけでも大きな金額であり、弁護士に依頼するかしないかで大きな金額差が生じることが分かります。
後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益は、交通事故にあって怪我をして、後遺障害等級が認められた場合に支払われるものです。その算定式は、「①基礎収入×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」というものです。
これらの要素の詳細な解説は、以下のページをご覧いただければと思いますが、基礎収入は基本的に事故の前の年の収入で決まります。また、労働能力喪失期間は、基本的には、67才までか、平均余命の2分の1のいずれか長い方になります。
これに対し、労働能力喪失率は後遺障害等級によって変わってくるのが特徴です。高次脳機能障害7級の場合、労働能力喪失率は56%とされることが多いですが、障害の部位・程度、性別、年齢、職業、事故前後の就労状況、減収の程度等から、56%とは異なる喪失率になることもあります。
具体例で考えてみると、事故前年の収入が600万円の50歳男性会社員の場合、56%の労働能力喪失率と67才までの労働能力喪失期間が認められるのであれば、逸失利益は、600万円×56%×13.1661(労働能力喪失期間17年に対応するライプニッツ係数)=約4420万円と非常に大きな金額になります。
また、40歳女性主婦という場合は、56%の労働能力喪失率と67才までの労働能力喪失期間が認められるのであれば、逸失利益は、約400万円×56%×18.327(労働能力喪失期間27年に対応するライプニッツ係数)=約4100万円と、こちらも大きな金額になります。
◆56%の労働能力喪失率と67才までの労働能力喪失期間が認められ場合の比較
具体例 | 計算方法 | 後遺障害逸失利益 |
---|---|---|
前年の収入が600万円の50歳男性会社員の場合 | 600万円×56%×13.1661(労働能力喪失期間17年に対応するライプニッツ係数) | 約4420万円 |
45才女性主婦の場合 | 約400万円×56%×18.327(労働能力喪失期間27年に対応するライプニッツ係数) | 約4100万円 |
高次脳機能障害7級の場合、仕事の継続が難しいこともありますし、仕事に復帰したとしても十分な仕事ができないことも多いと思われます。そのため、上記のように逸失利益は大きなものになります。
示談交渉を弁護士に依頼しない場合は、逸失利益について、保険会社から1千万円単位で低い金額が提示されることも想定されるところであり、弁護士に依頼するかしないかで大きな金額差が生じやすいと言えます。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、交通事故にあって怪我をして、後遺障害等級が認められた場合に支払われるもので、後遺障害等級を基にして金額が決まります。仮に、高次脳機能障害で7級が認定された場合、弁護士が交渉すると最大1030万円の後遺障害慰謝料になります。
これに対し、示談交渉を弁護士に依頼しない場合で、保険会社から自賠責保険の基準で慰謝料が提示されたとすると、419万円になります。
7級の後遺障害等級が認定された場合、後遺障害慰謝料は入通院慰謝料よりも大幅に大きくなります。しかし、後遺障害慰謝料が自賠責基準で算定されると、弁護士が交渉するより約600万円低くなってしまいます。そのため、弁護士に依頼するかしないかで大きな金額差が生じることが分かります。
◆高次脳機能障害7級の場合の後遺障害慰謝料
高次脳機能障害7級の場合の後遺障害慰謝料 | 高次脳機能障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
---|---|---|
弁護士が交渉する場合 | 高次脳機能障害7級 | 最大1030万円 |
示談交渉を弁護士に依頼しない場合 | 高次脳機能障害7級 | 419万円 |
その他の損害項目
以上の他、頭部外傷で入院が必要になった場合は入院雑費が認められますし、通院の際の交通費、会社を休業した場合の休業損害、主婦の場合の主婦休損等が示談金として認められます。
高次脳機能障害7級の場合、一人で日常生活を送るのが難しいことがあり、見守りが必要になることがありますが、これに対する看護費の請求は認められにくく、慰謝料の中で考慮されていると考えることになります。
弁護士によるまとめ
高次脳機能障害7級が認定された場合の示談金は、逸失利益の金額や、過失割合の有無や程度によっても異なりますが、数千万円程度の大きなものになる可能性があります。弁護士に依頼せず自身で手続を進めようとすると、示談金額が1000万円・2000万円の単位で少なくなることもあり得るところですので、高次脳機能障害の後遺障害申請や保険会社との示談交渉は、弁護士に依頼することをお勧めします。
更新日:2025年8月23日

交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。

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