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高次脳機能障害で気をつけるべき関連症状

監修者: 交通事故チーム主任弁護士

羽賀 倫樹 (はが ともき)

交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。

はじめに

 高次脳機能障害は、交通事故では頭部外傷により発生するものですが、頭部にある脳は中枢神経の一部であり、脳にダメージが加わることで、中枢神経からつながる末梢神経に影響が出るなどして様々な症状が発生することがあります。また、高次脳機能障害が生じるのは大きな事故であるため、脳以外の部分の受傷による後遺障害が残存することも少なくありません。特に、高次脳機能障害以外に13級以上の後遺障害が認定されると、後遺障害等級が繰り上がるため、示談金・賠償金にも影響が出ます。
 このページでは、高次脳機能障害が発生した場合に別途発生することがある様々な症状について見ていきます。

身体性機能障害

身体性機能障害について

 脳を損傷した場合、高次脳機能障害とは別に、身体性機能障害が生じることがあります。身体性機能障害とは、脳損傷により四肢麻痺・片麻痺・単麻痺が生じた状態です。身体性機能障害は、単独で見ても以下の区分に応じて1級~12級が認定されます。

投球 内容
1級 身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
2級 身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの
3級 生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、身体性機能障害のため、労務に服することができないもの
5級 身体性機能障害のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないもの
7級 身体性機能障害のため、軽易な労務以外には服することができないもの
9級 通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
12級 通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、多少の障害を残すもの

高次脳機能障害と身体性機能障害が残存した場合の後遺障害等級

 高次脳機能障害と身体性機能障害の両方が残存した場合、①高次脳機能障害の程度、②身体性機能障害の程度、③介護の要否・程度を踏まえて総合的に後遺障害等級が判断されます。
 例えば、高次脳機能障害が5級に相当し、身体性機能障害が7級に相当する場合、単純に併合して3級になるわけではなく、全体病像として、1級・2級・3級のいずれかが認定されることになります。

てんかん

てんかんとは?

 てんかんとは、脳の神経細胞が過剰に活動することによって、意識がなくなったり、全身がけいれんしたりなどの発作が引き起こされる病気です。てんかんも頭部外傷によって発生することがあります。てんかんは、単独で見ると、発作の型・発作回数等に着目し、以下の表の通りの後遺障害等級が認定されます。

投球 内容
3級以上 1ヵ月に2回以上の発作がある場合には、通常高度の高次脳機能障害を伴っているので、脳の高次脳機能障害に係る第3級以上障害等級を認定する
5級 1ヵ月に1回以上の発作があり、かつ、その発作が「意識障害の有無を問わず転倒する発作」又は「意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作」(以下「転倒する発作等」という。)であるもの
※転倒する発作には、「意識消失が起こり、その後ただちに四肢等が強くつっぱる強直性のけいれんが続き、次第に短時間の収縮と弛緩をくりかえす間代性のけいれんに移行する」強直間代発作や脱力発作のうち「意識は通常あるものの、筋緊張が消失して倒れてしまうもの」が該当する。
※「意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作」には、意識混濁を呈するとともにうろうろ歩き回るなど目的性を欠く行動が自動的に出現し、発作中は周囲の状況に正しく反応できないものが該当する。
7級 転倒する発作等が数ヶ月に1回以上あるもの又は転倒する発作等以外の発作が1ヵ月に1回以上あるもの
9級 数ヵ月に1回以上の発作が転倒する発作等以外の発作であるもの又は服薬継続によりてんかん発作がほぼ完全に抑制されているもの
12級 発作の発現はないが、脳波上に明らかにてんかん性棘波を認めるもの

高次脳機能障害とてんかんが残存した場合の後遺障害等級

 高次脳機能障害が残存する場合、同時にてんかんも残存するケースがあります。高次脳機能障害とてんかんが残存した場合、総合評価により後遺障害等級が決められます。

眼の障害

 頭部外傷により、高次脳機能障害以外に、視野欠損や複視が生じることがあります。例えば、一側の後頭葉視覚中枢の損傷により、両眼の視野欠損が生じた場合、単独で見ると9級が認定されます。
 高次脳機能障害と目の障害が残存した場合、併合の方法により後遺障害等級が定められます。

嗅覚障害

 頭部外傷により、脳の底面にある嗅神経とその周囲が頭蓋骨に強く打ち付けられ神経の働きが鈍くなった場合、嗅覚障害が生じます。嗅覚脱失は12級、嗅覚減退は14級が認定されます。
 高次脳機能障害と嗅覚障害が残存した場合、併合の方法により後遺障害等級が定められます。嗅覚脱失であれば併合で後遺障害等級が繰り上がりとなり、慰謝料等の算定に影響が出ます。

味覚障害

 頭部外傷により、味覚障害が生じることがあります。味覚脱失は12級、味覚減退は14級が認定されます。
 高次脳機能障害と味覚障害が残存した場合、併合の方法により後遺障害等級が定められます。味覚脱失であれば併合で後遺障害等級が繰り上がりとなり、慰謝料等の算定に影響が出ます。

醜状障害

 高次脳機能障害が残るほどの大きな交通事故では、顔面部も怪我をして傷が残ったり、頭部の手術痕が残ったり、側頭骨を骨折した場合の顔面神経麻痺等が残ることがあります。また、頭部や顔面以外にも大きな怪我をして、怪我自体や手術による醜状痕が残ることがあります。
 高次脳機能障害と醜状障害が残存した場合、併合の方法により後遺障害等級が定められます。12級・9級・7級の醜状障害であれば、後遺障害等級が繰り上がりとなり、慰謝料等の算定に影響が出ます。高次脳機能障害が7級以上で、醜状障害が7級の場合、2級繰り上がりになるため、慰謝料等の算定への影響は大きくなります。

関節機能障害

 高次脳機能障害が残るほどの大きな交通事故では、身体の他の部分を骨折するなどして、関節機能障害(可動域制限)が残ることがあります。
 高次脳機能障害と関節機能障害が残存した場合、併合の方法により後遺障害等級が定められます。関節機能障害の場合、慰謝料だけでなく、後遺障害逸失利益にも影響が出やすいため、示談金・賠償金算定への影響は大きくなります。

弁護士によるまとめ

 以上、高次脳機能障害が残存した場合に、別途発生することがある後遺障害について見てきました。なお、どの程度の割合の事案で後遺障害等級の併合繰り上がりが発生しているかという点も気になるところです。この点、網羅的な統計はありませんが、『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 下巻 講演録編 2023』(公益財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部)に掲載された高次脳機能障害5級~9級の事案では、40%程度の事案で併合繰り上がりが発生しています。特に、関節機能障害・醜状障害・眼の障害による併合繰り上がりが多く発生しています。この点は、これまで当事務所で解決してきた高次脳機能障害の事案でも、同じ傾向です。

 後遺障害等級が併合繰り上がりになると、認定される慰謝料も大きくなりますし、後遺障害の内容や実際の就労への影響によっては、後遺障害逸失利益も大きくなることがあります。高次脳機能障害が残るほどの事案では、他にも後遺障害が認定される症状が残っていないか、慎重に検討する必要があると言えます。

更新日:2023年7月8日

弁護士 羽賀 倫樹

大阪弁護士会所属 61期/登録番号:39117

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交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。

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