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重度後遺障害が残った場合の福祉用具費用について

監修者: 交通事故チーム主任弁護士

羽賀 倫樹 (はが ともき)

交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。

相談者
交通事故で重度の後遺障害が残り、車椅子・福祉用車両・電動介護ベッド等の福祉用具が必要になりました。
これらの費用はどのように請求すればいいのでしょうか?
羽賀弁護士
福祉用具費用は保険会社に請求することが可能で、数年単位で買替が必要になるため、将来の買い替え分も含めて請求が可能です。
買替が必要な福祉用具費用の計算方法は複雑な場合も多く、重度後遺障害の賠償請求に詳しい弁護士への依頼が必要だと考えます。
この記事でわかること
  • 福祉用具の金額の計算方法
  • 福祉用具費用の具体例(27才男性、交通事故で1級の脊髄損傷の後遺障害が残り、福祉車両・車椅子・電動ベッドが必要になったケース)
こんな方が対象の記事です
  • 交通事故で重度の後遺障害(遷延性意識障害・高次脳機能障害・脊髄損傷等)を負った方やその家族の方
  • 福祉用具費用の計算方法や請求方法について知りたい方
  • 福祉用具費用の具体例について知りたい方
  • 福祉用具費用の請求について弁護士に相談するメリットについて知りたい方

はじめに

 交通事故で遷延性意識障害、高次脳機能障害、脊髄損傷等の重度後遺障害が残った場合、車椅子・福祉用車両・電動介護ベッド等の福祉用具が必要になることがあります。これらの費用は保険会社に請求可能ですが、数年単位で買替が必要になるため、将来の買い替え分も含めて請求が必要です。
ここでは、車椅子・福祉用車両・電動介護ベッド等の福祉用具が必要になった場合の金額の計算方法について見ていきます。

福祉用具の金額の計算方法

 一定期間で交換の必要がある福祉用具は、取得価額を基準に、使用開始時及び交換を必要とする時期に対応する中間利息を控除したライプニッツ係数を乗じた金額について請求が可能です。具体的な計算式は以下の通りです。

福祉用具費用の取得金額計算式

①取得価額×②平均余命と福祉用具の耐用年数から算出される購入回数による買替係数

<福祉用具等の買替係数表>

    福祉用具の耐用年数
    1年 2年 3年 4年 5年 6年
購入回数 1 1 1 1 1 1 1
2 1.9709 1.9426 1.9151 1.8885 1.8626 1.8375
3 2.9135 2.8311 2.7526 2.6779 2.6067 2.5389
4 3.8286 3.6686 3.5190 3.3793 3.2486 3.1263
5 4.7171 4.4580 4.2204 4.0024 3.8022 3.6182
6 5.5797 5.2021 4.8623 4.5561 4.2798 4.0302
7 6.4172 5.9035 5.4497 5.0481 4.6918 4.3752
8 7.2303 6.5646 5.9872 5.4851 5.0472 4.6642
9 8.0197 7.1877 6.4792 5.8735 5.3538 4.9062
10 8.7861 7.7751 6.9294 6.2185 5.6182 5.1088
11 9.5302 8.3288 7.3413 6.5251 5.8463 5.2786
12 10.2526 8.8507 7.7184 6.7974 6.0431 5.4207
13 10.9540 9.3426 8.0634 7.0394 6.2128 5.5398
14 11.6350 9.8063 8.3792 7.2544 6.3592 5.6395
15 12.2961 10.2434 8.6681 7.4455 6.4855 5.7230
16 12.9379 10.6554 8.9325 7.6152 6.5945 5.7929
17 13.5611 11.0437 9.1745 7.7660 6.6885 5.8515
18 14.1661 11.4098 9.3960 7.9000 6.7695  
19 14.7535 11.7548 9.5987 8.0191 6.8394  
20 15.3238 12.0800 9.7842 8.1248 6.8998

 

    福祉用具の耐用年数
    7年 8年 9年 10年 11年 12年
購入回数 1 1 1 1 1 1 1
2 1.8131 1.7894 1.7664 1.7441 1.7224 1.7014
3 2.4742 2.4126 2.3538 2.2978 2.2443 2.1933
4 3.0118 2.9045 2.8040 2.7098 2.6213 2.5383
5 3.4488 3.2928 3.1490 3.0163 2.8937 2.7803
6 3.8042 3.5994 3.4135 3.2444 3.0905 2.9501
7 4.0932 3.8414 3.6161 3.4142 3.2326 3.0691
8 4.3281 4.0324 3.7715 3.5405 3.3353 3.1526
9 4.5192 4.1832 3.8905 3.6344 3.4095 3.2112
10 4.6745 4.3023 3.9818 3.7044 3.4631  
11 4.8008 4.3963 4.0517      
12 4.9035 4.4705 4.1053      
13 4.9870 4.5290        
14 5.0549          
15 5.1101          

 

福祉用具費用の具体例

 27才男性について、交通事故で1級の脊髄損傷の後遺障害が残り、福祉車両・車椅子・電動ベッドが必要になったケースを前提に、費用の計算方法を見ていきます。

福祉車両(軽自動車)について

No 福祉車両の請求額を決める際の考慮要素と計算式
購入費用 230万円
耐用年数 4年
平均余命 55年
購入回数 14回
福祉用具等の買替係数 7.2544
請求金額 ①×⑤=16,685,120円

 ただし、福祉車両は、被害者の方の移動のみならず、家族の移動のためにも使うことができ、家族の便益もあるとして、請求全額は認められないことがある点に注意が必要です。

車椅子について

No 車椅子の請求額を決める際の考慮要素と計算式
購入費用 40万円
耐用年数 6年
平均余命 55年
購入回数 10回
福祉用具等の買替係数 5.1088
請求金額 ①×⑤=2,043,520円

 車椅子は、被害者の方だけが使うものであるため、福祉車両と異なり、車椅子の必要性・相当性があるのであれば、請求全額が認められます。

電動ベッドについて

No 電動ベッドの請求額を決める際の考慮要素と計算式
購入費用 40万円
耐用年数 8年
平均余命 55年
購入回数 7回
福祉用具等の買替係数 3.8414
請求金額 ①×⑤=1,536,560円

 電動ベッドは、被害者の方だけが使うものであるため、福祉車両と異なり、電動ベッドの必要性・相当性があるのであれば、請求全額が認められます。

弁護士によるまとめ

 交通事故で、遷延性意識障害、高次脳機能障害、脊髄損傷等の重度後遺障害が残った場合、車椅子・福祉用車両・電動介護ベッド等の福祉用具が必要になることがあります。買替が必要な福祉用具費用の計算方法は複雑ですし、重度後遺障害の場合は、将来介護費や逸失利益の金額も大きくなります。適切な示談金・賠償金を得るためには、重度後遺障害の賠償請求に詳しい弁護士への依頼が必要です。

更新日:2023年9月9日

弁護士 羽賀 倫樹

大阪弁護士会所属 61期/登録番号:39117

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交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。

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