重度後遺障害が残った場合の住居・自動車に関する費用について

監修者: 交通事故チーム主任弁護士
羽賀 倫樹 (はが ともき)
交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。

はじめに
交通事故で遷延性意識障害、高次脳機能障害、脊髄損傷等の重度後遺障害が残った場合、自宅の改造費・建替費・購入費・転居費用・家賃差額、自動車の改造費・購入費が発生することがあります。
これらの費用の請求が認められるかは、一般的に言うと、受傷の内容、後遺障害の内容・程度等から必要性があるかどうかということになります。ここでは、交通事故で重度後遺障害が残った場合の住居・自動車に関する費用について見ていきます。
家屋に関する費用について
⑴家屋改造費
重度後遺障害が残った場合、自宅内での移動や日常生活を円滑に行うためには、家屋の改造が必要になることがあります。例えば、玄関からのスロープの設置、室内のバリアフリー化、トイレや浴室の改造などが考えられます。
これらの費用は、必要性が認められれば、保険会社からの支払を受けることができます。必要性という観点では、家屋改造は後遺障害の内容に応じたものでなければならず、例えば、自力で排尿排便ができず将来的にトイレを使う可能性が低い場合には、トイレの改造費用は認められにくいと言えます。
また、例えば自宅全体をバリアフリー化したような場合、交通事故被害者のみならず、他の家族も便益を受けることになります。このような場合、家屋改造費全額が認められるかが問題になります。これについては、家族の便益は反射的なものに過ぎないとして改造費全額を認めるものもありますが、改造費用全額の何割という形であったり、工事箇所ごとに認める部分と否定する部分を分けるなどして、全額は認められないのが一般的です。
ただし、示談においては、円満な示談解決のためであったり、遅延損害金が計上されないこと等を考慮するためか、家族の便益の議論はされずに改造費全額が認容されたり、減額割合が小さなものになるケースも散見されます。
⑵ 家屋建替費・購入費
交通事故前に住んでいた自宅について、改造を加えるのが困難であったり、改造を加えても生活が困難である等の事情がある場合は、家屋建替費・購入費の請求が認められます。
家屋建替・購入の場合も家族の便益が考慮されるのが一般的です。また、建替・購入となると金額が大きくなることや、資産価値のある土地購入費が含まれる場合があること、自宅を売却した際の代金が入ってくることなど、家屋改造の場合にはない問題が発生するため、より注意が必要です。
⑶ 転居費用・家賃差額
交通事故で重度後遺障害が残存し、交通事故前に住んでいた賃貸住宅に住むことができなくなり、バリアフリー化されているなど設備が整った別の賃貸住宅に引っ越しをした場合、転居費用・家賃差額の請求が可能です。ただし、家屋改造の場合と同じように、引っ越しをする必要性があるかや、家族の便益の問題があり、全額が認められるとは限らないことに注意が必要です。
自動車の改造費・購入費
交通事故で重度後遺障害が残った場合、自動車が重要な移動手段になるため、改造や購入の必要性が認められることが多いと言えます。ただし、同居の家族も利用できるため、家屋改造費と同様、購入費用の全額が認められるわけではなく、購入費用の何割という形や障害者用に改造する費用のみが認められるのが一般的です。購入価格のうちどの程度の請求が認められるかは、自動車の価格・大きさや、交通事故前から自動車を利用していたかどうか等が考慮されます。
自動車は耐用年数があるため、耐用年数ごとの将来の買替費用も認められます。ただし、買替分は将来の費用を前倒しで受け取るため、前倒し分の将来利息を控除し減額した金額の請求になります。
自動車の改造費や購入費を請求する場合の問題については、下記のページにも記載しています。
なお、示談においては、家屋改造費と同じく、円満な示談解決のためであったり、遅延損害金が計上されないこと等を考慮するためか、家族の便益の議論はされずに自動車購入費全額が認容されたり、減額割合が小さなものになるケースも散見されます。
弁護士によるまとめ
以上、重度後遺障害が残った場合の、家屋関係費用や自動車の費用について見てきました。金額が数百万円から数千万円と高額になることがありますし、実際の費用のうちどの程度の請求が認められるかの問題があるため、保険会社との交渉は容易ではない項目と言えます。重度後遺障害の場合は、家屋関係費用や自動車の費用以外に、将来介護費用の問題が生じることがありますが、この点の交渉も容易なものではありません。
そのため、交通事故で重度後遺障害が残った場合は、交通事故に精通した弁護士に交渉を任せ、適切な示談金・賠償金が得られるようにすることが重要です。
更新日:2025年2月26日

交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。

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