死亡事故の逸失利益・慰謝料は弁護士による交渉でどう変わる?

監修者: 交通事故チーム主任弁護士
羽賀 倫樹 (はが ともき)
交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。

- 相談者
- 交通事故で家族が亡くなった場合、逸失利益や慰謝料はどのくらいになるのでしょうか?
保険会社から提示された金額は、適正なのでしょうか?
- 羽賀弁護士
- 保険会社が提示する金額は十分でないことが多く、弁護士が介入することで適正な金額に増額される可能性がありますので、弁護士へ相談することをおすすめしています。
- この記事でわかること
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- 死亡逸失利益の算定方法と弁護士による交渉での増額可能性
- 死亡慰謝料の金額と弁護士が介入した場合の増額可能性
- 死亡事故で弁護士に依頼するメリット
- 示談金額が変わる具体的な事例
- こんな方が対象の記事です
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- 交通事故で家族や親族を亡くされた方
- 保険会社からの示談提案に不安を感じている方
- 適正な逸失利益や慰謝料を受け取りたいと考えている方
はじめに
交通事故で家族・親族の方が亡くなったときは、しばらくすると、加害者の保険会社から示談の提案があります。示談案の中には、死亡による逸失利益・死亡慰謝料等の項目があると思いますが、記載された金額は十分なものなのでしょうか。
ご家族・親族の方が亡くなったという事実は変えられないとしても、せめて金銭面だけでも十分なものとしたいと思われる場合は、弁護士への相談をお勧めします。ここでは、弁護士に示談交渉を依頼すると、どのように金額が変わる可能性があるか見ていきたいと思います。
死亡逸失利益
死亡逸失利益は、①基礎収入、②生活費控除、③労働能力喪失期間(ライプニッツ係数)の3点を確認する必要があります。
基礎収入
死亡逸失利益算定の基礎となる収入は、保険会社から遺族の方への提示の場合でも、事故前年の収入を基にしていることが多く、問題がないケースもよくあります。
ただ、亡くなったのが主婦の方の場合、本来女性平均賃金を基にすべきところ、やや低い金額を基にされているケースがあります。また、亡くなったのが若い方の場合も、実収入ではなく、平均賃金を基にすべきところ、実収入を基にされているケースがあります。このようなケースでは、弁護士による交渉で基礎収入をより高いものに修正し、逸失利益が増額になる可能性があります。
生活費控除
死亡逸失利益を算定する際、死亡することで生活費がかからなくなったという理由で、一定の生活費が逸失利益から控除されます。一家の支柱・女性の場合は、30%~40%、それ以外の方の場合は、50%とされています。
生活費控除の点は、保険会社から遺族の方への提示の場合、自賠責保険で、被扶養者がいない方について生活費控除が50%とされているためか、女性や主婦の方について、生活費控除が50%とされているケースがあります。また、その他の場合も、生活費控除がやや高くされている結果、逸失利益が低く算定されているケースがあります。このようなケースでは、弁護士による交渉で生活費控除を低く修正し、逸失利益が増額になる可能性があります。
労働能力喪失期間(ライプニッツ係数)
死亡事故の場合、労働能力喪失期間はすでに明確になっており、問題のないケースが多いようにも思われます。ただ、自賠責保険を基にやや短い労働能力喪失期間となっていることがありますので、注意が必要です。このような場合は、弁護士が交渉して労働能力喪失期間が長くなり、逸失利益が増額になる可能性があります。
逸失利益については、元々の金額が大きなものですので、交渉で上記のような修正を加えていくことで、大きな金額差が生じることがあります。
死亡慰謝料
死亡慰謝料は、弁護士が保険会社と交渉した場合、以下の金額に近づけるように交渉を行います。
状況 | 死亡慰謝料 |
---|---|
亡くなった方が一家の支柱の場合 | 2800万円 |
亡くなったのがそれ以外の方の場合 | 2000万円~2500万円 |
ただ、被害者の方に弁護士がつかず、直接保険会社と話をしていると、大抵の場合、上記より低い金額で提示があります。
例えば、最低限の補償を目的とする自賠責保険に合わせて、死亡慰謝料が950万円~1350万円で提示されることがあります。また、自賠責保険と同額ではないとしても、2000万円以下で提示されていることもよくあります。そのような金額であれば、弁護士による交渉で増額になる可能性がありますので、ご相談・ご依頼いただくメリットがあります。
まとめ
被害者の方が亡くなった事案では、逸失利益や慰謝料が大きな金額になります。
ただ、逸失利益については、生活費控除があるため、重度後遺障害の事案と比較して低くなってしまいます。具体的には、労務に対する逸失利益は、概ね後遺障害6級~7級の方と同じ程度になりますので、逸失利益の計上額にはどうしても限界があります(なお、死亡事案では、年金収入逸失利益の計上ができるケースもあります)。
また、慰謝料も、重度後遺障害の事案と比較して低くなるケースが多いと言えます。一家の支柱の方で2800万円の慰謝料が認められれば、後遺障害1級の方(2800万円)と同じように見えますが、死亡慰謝料は近親者の慰謝料を含む金額である一方、後遺障害1級の場合、2800万円とは別途近親者慰謝料が認められる場合があるため、一家の支柱の方の死亡慰謝料でも、平均すると後遺障害1級の慰謝料より低いと言わざるを得ません。また、一家の支柱以外の方が亡くなった場合、概ね後遺障害2級~3級の方と同程度の慰謝料になります。このように、死亡された事案は、慰謝料の計上額にも限界があります。
このように、死亡事案は、逸失利益・慰謝料とも計上額に限界がありますが、その中で可能な限りの賠償を受けるには、弁護士に依頼することが重要と言えます。弁護士に依頼すれば、保険会社との直接のやり取りをしなくてよくなりますし、示談金額の増額を期待することもできます。被害者の方が亡くなり、保険会社から示談金額の提案があったという方は、増額の可能性があるか弁護士にご相談いただければと思います。
更新日:2020年12月9日

交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。

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