自転車事故の解決方法
監修者: 交通事故チーム主任弁護士
羽賀 倫樹 (はが ともき)
交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。
- 相談者
- 自転車にぶつけられて怪我をしてしまいました。
治療費や慰謝料などを請求することはできますか?
- 羽賀弁護士
- 加害者が賠償責任保険を契約していれば、保険会社から示談金の支払を受けられますし、弁護士に保険会社との交渉などの手続きを依頼することもできます。
相手方に対し賠償責任保険の有無を確認し、一度弁護士に相談いただくのをお勧めしています。
- この記事でわかること
-
- 自転車事故で示談交渉が可能なケースについて
- 自転車事故の示談交渉の特徴
- 訴訟による解決についてと、裁判を起こすことが容易ではない理由
- 自転車事故では紛争処理センターが使えず、示談解決が必要になること
- こんな方が対象の記事です
-
- 加害者が自転車の交通事故に遭い、怪我を負った方
- 自転車事故の示談交渉について知りたい方
- 自転車事故について弁護士相談するメリットを知りたい方
はじめに
自転車が加害者になる交通事故で怪我をした場合、加害者が賠償責任保険を契約していれば、保険会社から示談金の支払を受けられますし、弁護士に保険会社との交渉などの手続きを依頼することもできます。手続きの流れは、加害者が自動車の場合と似ていますが、最終的な解決方法は自動車事故と異なる部分があります。
このページでは、自転車事故の解決方法の特徴について見ていきます。
そもそも自転車事故で示談交渉は可能か
自転車事故というと加害者に賠償責任保険がなく、そもそも示談交渉ができないか、できたとしても十分な示談金が得られないという印象を持っている方もいるかもしれません。
この点ですが、自転車保険の加入率に関するau損保の調査によると、自転車保険の加入率は以下のように推移しており、年々上昇しています。また、2023年度では65%を超える加入率になっています。
年度 | 加入率 |
---|---|
2018年度 | 56.0% |
2019年度 | 57.3% |
2020年度 | 59.5% |
2021年度 | 62.6% |
2022年度 | 63.5% |
2023年度 | 65.6% |
※ インターネットによるアンケート調査であり、自転車利用者について、自転車の事故に備える保険(個人賠償責任保険等)に入っているかどうかを尋ねたところ「加入している」、「おそらく加入している」と答えた人を合わせた割合を加入率としている
このような自転車保険の加入率からすると、自転車事故でも保険会社との示談交渉が可能なことが多いと言えます。ただ、自動車よりは加入率は低いと言わざるを得ないため、自転車事故にあって怪我をした場合は、相手方に対し賠償責任保険の有無を確認することが重要と言えます。
このような自転車保険の加入率を反映してか、当事務所でも、加害者が自転車の交通事故にあって怪我をしたので、保険会社との手続き・後遺障害申請・示談交渉等をお願いしたいという方からのご相談・ご依頼が数多くあります。当事務所の自転車事故の解決実績は以下のページをご覧ください。
自転車事故の示談交渉
以上のように、自転車事故でも加害者に賠償責任保険があれば、自動車事故と同じく保険会社と示談金額の交渉をして解決を図ることができます。
自転車事故の示談交渉は、自動車事故の示談交渉と大きくは変わりませんが、自転車に自賠責保険の制度がないことから、以下の特徴があります。
自転車事故の示談交渉の特徴 | |
① | 後遺障害等級認定について自賠責保険会社による認定はなく、任意保険会社による認定に限られること。 |
② | 示談金について自賠責保険による最低限の補償がなく、逸失利益が認定できない場合や、過失割合が大きい場合に、自動車事故より低い示談金になる可能性があること。 |
以上のような特徴がある自転車事故の示談交渉ですが、後遺障害等級認定については、自動車事故と同じく自賠責調査事務所による参考調査が行われていることがあります。また、自賠責調査事務所による参考調査ではなく、任意保険会社独自の認定の場合でも、概ね自賠責の判断基準に即して認定が行われています。そのため、後遺障害等級認定に関して、自動車事故と比較して問題が発生しやすいという印象はあまりありません。
一方、自賠責保険による最低限の補償がない点は、場合によって示談金に影響が出ます。特に、逸失利益が認定できない場合や、過失割合が大きい場合は、自動車事故より示談金が低くなるケースがあります。ただ、このようなケースでも、弁護士が交渉した方が示談金が増額になりやすい点は変わらないため、一度弁護士に相談されることをお勧めします。
訴訟
自転車事故の中には示談交渉では解決が難しいケースもあります。その場合に思いつくのは訴訟による解決です。訴訟になれば、裁判上の和解や判決等により、どこかの時点で解決することが可能です。ただ、解決に至るまでに時間や費用の負担があるため、裁判を起こすことは容易ではありません。
紛争処理センター等のADR機関
以上のように、示談解決ができない場合に裁判をすることは大きな負担となります。そこで、自動車事故の場合、紛争処理センター等のADR機関に申立をして解決をすることが可能です。ADRとは、裁判外紛争解決手続きのことで、交通事故では紛争処理センターと日弁連交通事故相談センターがあります。これらの機関には以下のような特徴があり、裁判と比較して軽い手続き負担で解決を図ることができます。
紛争処理センター等のADR機関の特徴
- 6か月ほどで解決できることが多く、裁判ほど時間がかからない
- 準備すべき資料が裁判より少ない
- 弁護士基準に沿った解決が期待できる
- 保険会社はADR機関の最終判断に拘束され、不服申立ができない
しかしながら、自転車事故ではこれらの機関を利用することができません(※)。そのため、加害者が自転車の交通事故では、示談で解決できない場合は、裁判により解決するしかありません。ただ、先ほど記載した通り、裁判は解決に至るまでの時間や費用の負担が大きく、容易に手続きをすることはできません。そのため、自転車事故では、自動車事故以上に示談で解決する必要性が高いと言えます。
※なお、全労済のマイカー共済で、自転車賠償責任補償特約が付保されている場合は、日弁連交通事故相談センターにおいて示談斡旋が可能です。
弁護士によるまとめ
以上、自転車事故の解決方法について見てきました。自転車事故では、紛争処理センター等の機関が使えないため、示談か裁判のいずれかで解決する必要があります。ただ、裁判となると手続き負担等の問題があるため、自動車事故以上に示談で解決する必要性が高いと言えます。
この点、自転車事故の手続きを弁護士に依頼しても裁判になることは少なく、ほとんどの事案は示談で解決が可能です。当事務所では、数多くの自転車事故について示談交渉で解決していますので、自転車事故で怪我をしたという方は、一度ご相談ください。
更新日:2023年11月30日
交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。
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