これまでの交通事故ご相談取り扱い実績 交通事故の相談実績7,000件以上 (~2023年)

運営:弁護士法人 みお綜合法律事務所

交通事故被害者の破産

監修者: 交通事故チーム主任弁護士

羽賀 倫樹 (はが ともき)

交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。

はじめに

 事例として多くはありませんが、交通事故の被害者で、借金等が多くあり破産もしなければならないというケースがあります。破産手続きは、簡単に説明すると、手持ちの財産で債権者に対して配当し、残った借金等を支払わなくてよくするものです。この点、交通事故の示談金・賠償金も財産ということができますので、交通事故の手続きと破産の手続きを同時に進めると、交通事故の示談金・賠償金が、破産手続きでなくなってしまうようにも思えます。ただ、この点は様々な形で議論されており、必ずしも示談金・賠償金が全てなくなってしまうわけではありません。
 以下、状況別・損害項目別に詳しく見ていきたいと思います。

裁判所における破産手続き開始決定が交通事故発生より前の場合

 破産手続きを先に進めていて、破産申立をし、裁判所で破産手続き開始が認められた後、交通事故に遭遇したケースです。破産手続きは、破産手続き開始時点の財産を借金返済の配当に充てる手続きですので、この場合は、交通事故の示談金・賠償金を、借金返済のための配当に充てる必要はありません。

裁判所における破産手続き開始決定が交通事故発生より後の場合

 上記の通り、破産手続きは、破産手続き開始時点の財産を借金返済の配当に充てる手続きですので、この場合は、交通事故の示談金・賠償金を、借金返済のための配当に充てる必要が出てきそうです。

示談金・賠償金が少額の場合

 ただ、交通事故で怪我をしたものの、1回か数回ほど通院して治ったという場合、慰謝料は数万円程度と大きくなりません。そのため、交通事故と破産手続きが並行したとしても、大きな問題にならないケースが多いと言えます。

 

示談金・賠償金が借金等より大幅に多額の場合

 また、例えば、借金等が数百万円である一方、脊髄損傷・高次脳機能障害等で示談金・賠償金が数千万円とか億単位が見込まれる場合、破産はせず、示談金・賠償金で借金を返済してしまう方法も考えられます。示談金で借金を完済すれば、交通事故と破産手続きが並行せず、交通事故被害者が破産する際の問題は生じないと言えます。

 

示談金・賠償金と借金等の金額が同程度金額の場合

 交通事故被害者の破産の問題点が大きくクローズアップされるのは、示談金・賠償金と借金等の金額がある程度近い金額の場合です。
 示談金・賠償金の方が借金よりやや少額という場合、示談金・賠償金全額を借金の返済に充てないといけないのでしょうか。交通事故で怪我をしてそれを填補するための示談金なのに、全額借金の返済に回さないといけないとなると、交通事故被害者にとって酷なように思えます。
 また、示談金・賠償金の方が借金よりやや多額という場合、示談金・賠償金の多くの部分を返済に充てて、差額のわずかな金額だけが手元に残るのでしょうか。この場合も、交通事故で怪我をしてそれを填補するための示談金なのに、ほとんど手元に残せないとなると、交通事故被害者にとって酷なように思えます。

 この点は、理屈は様々ですが、できるだけ交通事故被害者に示談金・賠償金が残るように解釈されるケースが多いと言えます。

示談金・賠償金を残せるかについての損害項目別の考察

 次に、交通事故の示談金・賠償金の項目ごとに、破産した場合に手元に残せるかについて見ていきたいと思います。

交通事故の治療費

 治療費は、交通事故被害者が怪我の治療をして回復するために不可欠のものです。保険会社が直接病院に治療費を支払っているのであれば問題になることはないと思われますし、一旦被害者が立て替えている場合でも、保険会社から支払われる治療費を借金の返済のための配当に充てるということは考えづらいと思われます。

交通事故の入院雑費・介護費用

 入院雑費や介護費用も、被害者の治療に関連する費用ですので、治療費と同じく、借金の返済のための配当に充てるということは考えづらいと思われます。

交通事故の休業損害・逸失利益

 休業損害・逸失利益は、交通事故被害者の収入減少分を補うものです。破産手続きは、破産手続き開始時点の財産を借金返済の配当に充てる手続きですので、将来の収入を配当に回すことはありません。配当に回すことのない収入についての減少分を補うための休業損害・逸失利益を配当に回すのは、バランスが悪いように考えられます。そのため、休業損害・逸失利益は、全額であるかはともかく、被害者の手元に残せる可能性がある損害項目になります。

交通事故の慰謝料

 慰謝料は、交通事故で怪我をして、入院・通院が必要になったり、後遺障害が残ったことの精神的苦痛を補填するものです。そのため、破産手続きで借金の返済のための配当に充てることは、基本的に想定されていないと言えます。そのため、かなりの割合を被害者の手元に残すべきではないかと考えられています。

交通事故の物損

 物損の請求権は、基本的に被害者の手元に残せないと考えられています。交通事故で破損していなければ、破損する前の状態で、借金の返済のための配当に充てることになっていたと考えられるためです。

損害項目についてのまとめ

 損害項目別の考察をまとめると、下表のようになります。

損害項目 借金返済に充てられるか
交通事故の治療費 借金の返済のための配当に充てるということは考えづらい
交通事故の入院雑費・介護費用 借金の返済のための配当に充てるということは考えづらい
交通事故の休業損害・逸失利益 破産手続き時においても、被害者の手元に残せる可能性がある損害項目になります
交通事故の慰謝料 破産手続き時においても、かなりの割合を被害者の手元に残すべきではないかと考えられています
交通事故の物損 基本的に被害者の手元に残せないと考えられています

弁護士によるまとめ

 交通事故被害者が破産する場合の示談金の取り扱いは、理論的には以上の通りとなります。ただ、破産をして交通事故の示談金を手元に残すには、破産手続きの中でも、破産管財手続きという複雑かつ費用・手間のかかる手続きを経なければなりません。また、破産した場合、示談金のうちどの程度の金額を手元に残せるか不明確で、予想をたてるのは困難と言えます。そのため、示談金・賠償金と借金の金額のバランスによっては、破産するのではなく、裁判所を経ない任意整理(※裁判所を経ず、弁護士が各社と交渉して債務の支払い方法を決める手続き)で、示談金で債務を支払う方法を希望する方も多いかもしれません。

 任意整理は、経済的メリットは小さくなりますが、手続きの軽さは大きなメリットになります。そのため、依頼者の方が任意整理を希望される場合、経済的なデメリットが生じる可能性があることも踏まえた上ですが、ご意向を反映して手続きを進めることがあります。このようなこともあり、交通事故被害者が破産した場合の問題点は、実際には生じにくいところがあるのかもしれません。

更新日:2022年6月17日

弁護士 羽賀 倫樹

大阪弁護士会所属 61期/登録番号:39117

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交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。

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