後遺障害が残った場合の労働能力喪失率

監修者: 交通事故チーム主任弁護士
羽賀 倫樹 (はが ともき)
交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。

- 相談者
- 交通事故で怪我をして、後遺障害が残ってしまいました。
保険会社と交渉をする中で「労働能力喪失率」という言葉が出てきたのですが、これはどういう意味なのでしょうか?
- 羽賀弁護士
- 労働能力喪失率とは、事故に遭わなければ得られるはずだった収入が、どの程度得られなくなるかを%で示すものです。
一緒にこのページで確認しましょう。
- この記事でわかること
-
- 労働能力喪失率とは何か
- 後遺障害等級に応じた労働能力喪失率の例
- 労働能力喪失率の認定が低くなりがちな後遺障害例
- こんな方が対象の記事です
-
- 交通事故で後遺障害が残った方やその家族の方
- 労働能力喪失率の算定方法について知りたい方
- 示談金交渉について弁護士に相談するメリットを知りたい方
労働能力喪失率とは
交通事故で怪我をし、後遺障害が残ってしまった場合、労働能力喪失率という言葉が出てきます。これは、事故に遭わなければ得られるはずだった収入がどの程度得られなくなるかを%で示すものです。大きな後遺障害が残るほど大きな労働能力喪失率が認められ、補償額が大きくなります。具体的には、自賠責で認定された後遺障害等級に応じて、下記の通りになると考えられています。
後遺障害等級 | 労働能力喪失率 | 代表例 |
---|---|---|
1級 | 100% | ・高次脳機能障害 ・脊髄損傷 ・遷延性意識障害 |
2級 | 100% | ・高次脳機能障害 ・脊髄損傷 |
3級 | 100% | ・高次脳機能障害 ・脊髄損傷 |
4級 | 92% | ・上肢・下肢の切断 |
5級 | 79% | ・高次脳機能障害 ・脊髄損傷 |
6級 | 67% | ・脊柱変形 |
7級 | 56% | ・高次脳機能障害 ・脊髄損傷 |
8級 | 45% | ・脊柱変形 |
9級 | 35% | ・高次脳機能障害 ・脊髄損傷 ・顔の傷 |
10級 | 27% | ・関節の可動域制限 |
11級 | 20% | ・脊柱変形 |
12級 | 14% | ・関節の可動域制限 ・顔の傷 |
13級 | 9% | ・下肢短縮 ・複視 |
14級 | 5% | ・むちうち(頚椎捻挫) |
後遺障害なし | 0% |
労働能力喪失率と後遺障害の関係について
保険会社から示談案が提示されるときは、多くの場合、上記の表の通りの労働能力喪失率で逸失利益が計算されます。しかし、後遺障害の中身によっては、上記の表より低い労働能力喪失率が認定されていることもあると思います。特に、下記の後遺障害の場合、労働能力喪失率の認定が低くなっていることがよくあります。
労働能力喪失率の認定が低くなりがちな後遺障害
- ・下肢短縮13級
- ・外貌醜状
- ・鎖骨・肋骨・骨盤骨・肩甲骨の変形障害
- ・歯牙障害
- ・脊柱変形
例えば、顔の傷などの外貌醜状があっても仕事には影響は出ないはず、脊柱変形があっても20%も労働能力が失われることはないはずといった具合です。
確かに、上記の障害があっても、特に仕事・収入に影響が出ていないのであれば、労働能力喪失率の認定が低くなってもやむを得ないと言えます。しかし、労働能力喪失率以外の部分でも低い提示になっていることが多いですので、その部分を弁護士による交渉で修正し、示談金の増額を図ることができる場合があります。
また、上記の障害が生じ、仕事や収入に影響が出ているのであれば、その影響を主張し、その他の部分と合わせて示談金の増額を図ることが考えられます。
まとめ
上記の障害以外でも、仕事や収入に影響が出ていない場合には、労働能力喪失率の認定が低くなっていることがあります。ただ、そのような事案は多いわけではなく、逸失利益の基礎収入・労働能力喪失期間・入通院慰謝料・後遺障害慰謝料等の認定が低くなっている事案の方が多い印象です。上記の障害に限らず、後遺障害が認定された後、保険会社から被害者の方に提示される示談金は、弁護士に交渉を依頼すると大きく増額になることが多いと言えます。保険会社から示談金の提案があった方は、一度弁護士にご相談いただければと思います。
更新日:2019年7月12日

交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。

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