自賠責保険における高次脳機能障害の等級の認定基準と注意点、後遺障害申請に詳しい弁護士への相談が必要な理由。

監修者: 交通事故チーム主任弁護士
羽賀 倫樹 (はが ともき)
交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。

- 相談者
- 家族が交通事故に遭い、高次脳機能障害を負いました。
適正な等級を得られるかが心配です。
- 羽賀弁護士
- 適正な等級を得るためには、必要な検査を受けることが重要です。
また、日常生活状況報告書の記載内容も重要なので、医師や弁護士と相談しながら進めることが大切です。
この記事では、必要な手続きや書類について、具体的に解説していきます。
- この記事でわかること
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- 高次脳機能障害の等級について(自賠責)
- 高次脳機能障害の等級について(労災)
- 高次脳機能障害の判断に必要な検査について
- 高次脳機能障害の後遺障害申請において、弁護士に相談する必要性
- こんな方が対象の記事です
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- 交通事故に遭い、高次脳機能障害が残った方やそのご家族の方
- 交通事故の高次脳機能障害の認定基準について知りたい方
- 交通事故の高次機能障害について適正な認定を受けたいと考えている方やご家族の方
- 弁護士に相談するか迷っている方
高次脳機能障害の有無はどう判断するか。【3】
■高次脳機能障害の程度(等級)は?
自賠責では、以下のとおり区分しています。
高次脳機能障害等級一覧
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身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要する |
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著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体的動作には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや監視を欠かすことができない |
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自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難 |
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単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を維持できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができない |
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一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの |
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一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業能力などに問題がある |
また、労災では以下のとおり分類されます。なお、表中のA~Dは、A:意思疎通能力、B:問題解決能力、C:持続力、D:社会行動能力です。(高次脳機能障害について②の「高次脳機能障害の有無はどう判断するか」をご参照ください)
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食事、入浴、用便、着替など「常時」介護や看視が必要 痴呆や感情の荒廃により「常時」介護や看視が必要 |
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食事、入浴、用便、着替など「随時」介護や看視が必要 痴呆や感情の荒廃により「随時」介護や看視が必要 自宅内では日常生活は送れるが、1人での外出が困難 |
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A~Dの高次脳機能のうちの一つが完全に喪失している。 A~Dの高次脳機能のうちの2つ以上の能力の大部分が喪失している。 |
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A~Dの高次脳機能のうちの1つ以上の能力の大部分が喪失している。 A~Dの高次脳機能のうちの2つ以上の能力の半分程度が喪失している。 5級の場合は、通常人の4分の1程度しか働けない場合とされており、例えば頻繁に指示をしなければ作業ができない場合を指すとされます。 |
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A~Dの高次脳機能のうちの1つ以上の能力の半分程度が喪失している。 A~Dの高次脳機能のうちの2つ以上の能力の相当程度が喪失している。 7級の場合は、通常人の2分の1程度しか働けない場合とされており、例えば時々に助言をしなければ作業ができない場合を指すとされます。 |
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A~Dの高次脳機能のうちの1つ以上の能力の相当程度が喪失している。 9級の場合は、通常人の4分の3程度しか働けない場合とされており、例えばたまに助言をしなければ作業ができない場合を指すとされます。 |
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A~Dの高次脳機能のうちの1つ以上の能力が多少喪失している。 |
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他覚所見はないものの、脳損傷が医学的に合理的に推測でき、わずかな能力喪失が認められる。 |
高次脳機能障害の有無はどう判断するか。【4】
■高次脳機能障害の適正な等級を得るためには?
まずは、必要と思われる検査を受検しなくてはなりません。例えば、知覚テストは正常人と遜色なくても、遂行機能が低下している場合もあり(前頭葉障害)、その場合には遂行機能検査の受検を申し出る必要があります。実際に、どのような検査が必要なのかについては、医師と弁護士に相談してください。
また、人格の変化などについては、ご家族でないと分かりません。ご家族の方は、事故直後のひどい状態を知っているだけに、少しでも症状が改善すると、「治った」と喜ばれます。しかし、後遺障害等級申請の場面で現在の症状と比較すべきは、事故直後の一番ひどい状態ではなく、「事故前の正常な状態」です。「日常生活状況報告書」に記載する際には、事故前と比較して何ができなくなったのか、どの程度できなくなったのかについて、冷静に記載する必要があります。どのような内容をどのように記載すべきかは難しい判断になりますので、高次脳機能障害の後遺障害申請に詳しい弁護士に相談する必要があります。
高次脳機能障害の場合、後遺障害申請にあたり数多くの書類を出す必要もありますので、弁護士や医師と相談しながら手続きを進めることで、ようやく適正な等級が得られます。
次のページでは、症状固定をして後遺障害等級が出た方が必要なことを説明しています。
更新日:2016年11月29日

交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。

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