むち打ち症の原因・症状固定の時期・後遺障害等級・治療・示談金・弁護士に依頼するメリット

監修者: 交通事故チーム主任弁護士
羽賀 倫樹 (はが ともき)
交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。

- 相談者
- 交通事故に遭い、むち打ち症と診断されました。
後遺障害や症状固定、示談金などよくわからないことが多く、弁護士に相談すべきなのか迷っています。
- 羽賀弁護士
- こちらのページでむち打ち症の症状固定や後遺障害等級、示談金について解説し、弁護士に依頼するメリットについても紹介しますので、一緒に確認していきましょう。
- この記事でわかること
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- むち打ち症の定義と診断名、種類について
- むち打ち症の症状固定について
- むち打ち症の後遺障害等級について
- むち打ち症の治療や通院における注意点
- むちうち症による交通事故の慰謝料等の示談金について
- 交通事故によるむち打ち症について弁護士に依頼するメリット
- こんな方が対象の記事です
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- 交通事故でむち打ち症と診断された方
- 交通事故によるむち打ち症で首の痛みや手のしびれがある方
- むち打ち症の症状固定や後遺障害等級について知りたい方
- 交通事故によるむち打ち症について弁護士に相談するべきか迷っている方
交通事故による「むちうち症」とは?
はじめに
交通事故による怪我のなかで、代表的なものとして挙げられるだけでなく、後々の大きな問題の種となることがあるのが、「むちうち症」(鞭打ち、むち打ち)です。
「むちうち症」は神経等が損傷する傷病です。
「むちうち症」の定義をおおまかに説明すると、追突などの交通事故による衝撃で首がしなってしまい、神経等が損傷する(神経や靱帯が伸びる・切れる)傷病です。主な症状としては、首の痛み、手のしびれなどがありますが、そのほかにも、頭痛やめまい、倦怠感など、様々な症状が現れる場合があります。また、腰を打った場合は、腰の痛み、足のしびれが主な症状となります。
「むちうち症」は様々な診断名で、診断書に記載されます。
一般的に、「むちうち症」と呼ばれる傷病については、その症状や部位によって、診断書には様々な診断名で記載されます。また、交通事故による衝撃で、腰を打って怪我をすることも多くあり、腰を打って起こる傷病にも様々な診断名があります。
■交通事故による「むちうち症」の主な診断名 ・ 頚部捻挫(けいぶねんざ) ・ 頚椎捻挫(けいついねんざ) ・ 頚部挫傷(けいぶざしょう) ・ 頚部打撲(けいぶだぼく) ・ 頚部症候群(けいぶしょうこうぐん)など |
■交通事故による「腰の怪我」の主な診断名 ・ 腰部捻挫(ようぶねんざ) ・ 腰椎捻挫(ようついねんざ) ・ 腰部挫傷(ようぶざしょう) ・ 腰部打撲(ようぶだぼく) ・ 腰部症候群(ようぶしょうこうぐん)など |
交通事故が原因でむちうち症になった方へ
交通事故が原因でむちうち症になった方で、首の痛みや、手のしびれがあるという方は、弁護士に相談ください。
「むちうち症」の種類
「むちうち症」には、様々な種類と症状があります。
以下は「むちうち症」についての詳しい解説ですが、
交通事故による腰部捻挫等の場合も、以下の解説を参考にしていただけます。
- (1)軟部組織の損傷にとどまるもの
- 交通事故による衝撃を受けたものの、筋肉等の軟部組織の損傷にとどまる場合です。この場合は、後遺障害が残らないことが大半です。
- (2)神経根症(しんけいこんしょう)
脊髄から出ている末梢神経(感覚神経及び運動神経)を神経根と言いますが、交通事故の衝撃で神経根が脊椎から出る穴が狭くなったり、骨棘・椎間板ヘルニア等により神経が圧迫されたりして損傷する類型です。
肩・腕・手指に痛みやしびれが出現し、首を後ろに反らすと、痛みやしびれが強くなります。なお、神経根症であることを立証するには、画像や臨床検査が重要です。- (3)脊髄損傷
中枢神経である脊髄が損傷する類型です。ヘルニアの状況により、神経根症ではなく、脊髄損傷になることがあります。損傷した脊髄の箇所に応じて、上肢・体幹・下肢の運動・知覚の障害が発生します。詳しくは、脊髄損傷の解説記事をご参照ください。- (4)その他の傷病について
- その他にも様々な傷病が「むちうち症」と診断されてしまう場合がありますので、注意が必要です。
「むちうち症」の症状固定時期とは?
事故から6ヶ月以上が経過したら、症状固定の検討を。
交通事故によって「むちうち症」になった場合、ある程度の期間にわたって治療を続けると、完治するか、さらに治療を継続しても症状が大きく変わらなくなります。
治療を継続しても症状が大きく変わらなくなると「症状固定」となり、後遺障害等級の認定手続き、その後の示談交渉の手続きに進んでいくことになります。症状固定の時期は、症状の程度・主治医の先生の判断等によって様々ですが、後遺障害等級の認定を考えるのであれば、交通事故の発生から6か月以上の治療期間が必要となります。
なお、「むちうち症」で治療期間が長期化すると、保険会社から治療費が支払われなくなる恐れがあり、保険会社との争いが大きくなって示談解決が困難になる場合がありますので、あまり治療を長期化させず、交通事故の発生から6ヶ月以上が経過すれば、症状固定を検討する方向で手続きを進めるほうが良いでしょう。
「むちうち症」の後遺障害等級は?
多くの場合「14級」または「非該当」となっています。
「むちうち症」になった場合に考えられる後遺障害等級は、「12級13号/局部に頑固な神経症状を残すもの」、「14級9号/局部に神経症状を残すもの」、「非該当」のいずれかです。
ただし、「むちうち症」で「12級13号」が認定されることがないわけではありませんが、認定される事例はかなり限定されているという印象です。ほとんどの事例では、「14級」または「非該当」の認定になっています。
後遺障害等級はどのようにして決まる?
後遺障害等級の「認定要件」について
「むちうち症」の場合、認められる後遺障害等級は、上記のように「12級」「14級」「非該当」のいずれかになりますが、どのような場合に、どの等級が認定されるかが問題となります。一般的には、下記のように考えられています。
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症状を医学的に証明できるもの(客観的な医学的証拠がある) |
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症状を医学的に証明できないが、説明できるもの |
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症状を医学的に説明できないもの |
「14級」と「非該当」の区別について
将来においても回復が困難と見込まれる障害と捉えられるかが問題となります。自賠責調査事務所では、画像、事故態様、症状経過、治療状況、症状固定時の症状の程度等様々な点が総合的に考慮された上で、「14級」と「非該当」の区別がされています。症状固定の時点で痛み等が残っていても、後遺障害等級非該当とされる例も多くあります。
「12級」と「14級」の区別について
症状を証明できているかどうか、が問題となります。症状を「証明」するには、患者や検査者で左右できない検査結果である画像(MRI)などが重要となります。臨床所見として各種神経学的所見(腱反射・徒手筋力テスト・握力等)があります。「むちうち症」の症状は、患者によって千差万別ですので、どのような検査が必要なのかについては、医師や弁護士などに相談して判断するのが良いでしょう。
「むちうち症」の治療にあたっての注意点
主治医の先生の指示に従い、治すことを一番の目標に。
「むちうち症」の治療にあたっての注意点ですが、後遺障害等級を獲得することが目標ではありません。言うまでもなく「治す」ことが一番ですので、主治医の先生の指示に従い治療することが大切です。その中で後々不利にならないように、治療にあたって留意すべき点(後遺障害等級や慰謝料・示談金に影響を与えうる点)は、以下の通りです。
- (1) 整形外科への通院
- 主治医の先生の判断によりますが、痛み等の症状がある場合は、なるべく整形外科に通院してリハビリをされる方が良いでしょう。事故直後の通院がない場合、一定以上の通院期間がない場合、通院が中断した場合、通院日数が少ない場合には、後遺障害等級が認定される可能性が低くなってしまいます。
- (2) 主治医との関係
- 自覚症状を主治医の先生に正確に伝えておく必要があります。また、主治医の先生の判断によりますが、痛みがひどい場合には、ペインクリニック等で神経ブロック注射を受けて痛みを軽減することも検討に値します。
- (3) 柔道整復、鍼灸、あん摩、マッサージ、指圧など(整骨院等東洋医学)への通院の可否
- 可能であれば整骨院等より、整形外科への通院の方が良いでしょう。整骨院等の通院だけになると、後遺障害が残った場合に後遺障害診断書を書いてもらうことができません。また、整骨院等での治療費は、保険会社が負担すべきか自己負担すべきかという点で、保険会社との間で争いになりやすく、実際に争いになった場合、解決までの期間が長期化してしまいます。最終結論としても、整形外科での治療費と比較して、整骨院等での治療費は自己負担(慰謝料から差し引かれる)になる可能性が高いと言わざるを得ません。
- (4) 画像
- レントゲン(XP)やMRIで異常所見を示す画像がないと、後遺障害が認定されにくくなります。「レントゲンで異常がないものの、強い症状が継続する」といったような場合、MRIを撮ることも検討に値します。
- (5) 後遺障害診断書
- 後遺障害診断書の記載内容により、後遺障害等級が左右されることがありますので、記載内容が症状固定時の症状を十分に反映しているかについて、確認する必要があります。後遺障害の申請をするのであれば、弁護士による後遺障害診断書のチェックが不可欠となります。
「むちうち症」と交通事故の慰謝料等の示談金について
1.「むちうち症」の休業損害
「むちうち症」により休業した場合、休業損害が支払われます。休業が長期化すると休業損害が支払われなくなることがよくありますので、休業が長期化しないようにすることが重要です。
2.「むちうち症」の入通院慰謝料(傷害慰謝料)
「むちうち症」で通院をした場合、後遺障害等級がつくか、つかないかにかかわらず、入通院慰謝料(傷害慰謝料)が認められます。「むちうち症」で他覚所見がない場合の入通院慰謝料は、骨折等があった場合と比較して、同じ通院期間・通院日数であれば3分の2程度の金額となります。具体的にどの程度の慰謝料になるかは、弁護士にご相談いただければと思います。
3.「むちうち症」の逸失利益
「むちうち症」で14級または12級が認められた場合、逸失利益が認められます。具体的には、下記の方法で逸失利益の額が定められます。労働能力喪失期間が一定の期間に制限されるのが、「むちうち症」の場合の逸失利益算定の特徴と言えます。
14級の場合 | 事故前年の年収×5%×3年~最大5年 |
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12級の場合 | 事故前年の年収×14%×5年~最大10年 |
4.「むちうち症」の後遺障害慰謝料
「むちうち症」で「非該当」の場合は、後遺障害慰謝料は認められませんが
「14級」または「12級」の場合は、後遺障害慰謝料が認められます。一般的に、
「14級」では110万円が上限、「12級」では280万円が上限となります。
「むちうち症」と弁護士
弁護士への依頼には「3つのメリット」があります。
交通事故で「むちうち症」になってしまった場合に、ご自身で手続きを進められると、後遺障害の有無や程度、示談金が適切か否かを判断するのは困難と思われます。また、どのように手続きを進めていけば良いのか、お困りになる場面も数多くあると思います。
これに対して、弁護士に手続きを依頼した場合は・・・
- ①後遺障害の有無・程度についてある程度の見通しを立てることができ、
- ②示談交渉では慰謝料・示談金が増額になる可能性が高く、
- ③後遺障害等級申請や示談交渉等の手続きを任せることができます。
以上のような点が、弁護士に依頼するメリットになります。
ご依頼いただくタイミングとしては、症状固定の前後が多いのですが、「むちうち症」で後遺障害等級がつかない場合、弁護士費用を考えるとご依頼いただかない方がお手元に多くの示談金を残すことができることもあります。その場合、症状固定の前後でご相談いただき、後遺障害等級がついた時点で、正式にご依頼いただくことがあります。
次のページでは、むちうち症と診断された際の適切な対応と、適正な等級認定・示談金について解説しています。
更新日:2016年11月29日

交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。

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