むち打ち症と耳鳴
監修者: 交通事故チーム主任弁護士
羽賀 倫樹 (はが ともき)
交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。
はじめに
追突事故などでむち打ちになると、耳鳴の症状が出ることがあります。耳鳴は、むち打ちの他の症状とあわせて後遺障害が認定されることが多く、単独では認定されにくい傾向があります。ただ、事案によっては耳鳴が単独で後遺障害として認定されることもあります。このページでは耳鳴の後遺障害等級について見ていきます。
耳鳴の後遺障害等級
耳鳴に関する後遺障害等級は以下の2つがあります。
等級 | 内容 |
---|---|
12級 | 耳鳴に係る検査によって難聴に伴い著しい耳鳴が常時あると評価できるもの |
14級 | 難聴に伴い常時耳鳴のあることが合理的に説明できるもの |
耳鳴の後遺障害等級の要件の詳細
耳鳴に係る検査
耳鳴の12級の後遺障害が認定されるには、耳鳴に係る検査を受ける必要があります。この検査とは、ピッチマッチ検査とラウドネスバランス検査のことです。
ピッチマッチ検査は、様々な検査音の中から耳鳴音に一致または近似する音を選び出す検査です。また、ラウドネスバランス検査は、ピッチマッチ検査で得られた耳鳴のピッチの純音を用いて、耳鳴の大きさを調べる検査です。
難聴に伴い
耳鳴の後遺障害等級認定要件である「難聴」というのは、聴力障害の後遺障害等級と異なり、平均純音聴力レベルが40dB未満であっても、耳鳴が存在するであろう周波数純音の聴力レベルが他の周波数純音の聴力レベルと比較して低下していれば、要件を満たします。ただし、後遺障害診断書のひな型の記載内容から、聴力損失20dB以上の難聴を伴わなければ後遺障害の対象になりません。
著しい耳鳴
12級の後遺障害等級の認定要件である著しい耳鳴とは、耳鳴に係る検査により耳鳴が存在すると医学的に評価できる場合を指します。
14級の要件
耳鳴が常時存在するものの、昼間外部の音によって耳鳴が遮蔽されるため自覚症状がなく、夜間のみ耳鳴の自覚症状を有する場合は、耳鳴が常時あるもの(14級)として取り扱われます。
また、耳鳴の自訴があり、かつ、耳鳴のあることが騒音ばく露歴や音響外傷等から合理的に説明できる場合は、「耳鳴のあることが合理的に説明できる」ものと扱われます。
耳鳴の後遺障害認定の実態
耳鳴の後遺障害等級の要件は以上に記載した通りですが、自賠責保険では器質的原因によるものを障害認定する扱いであり、むち打ちに伴う耳鳴は非該当とされることが多くなっています。この扱いは、裁判例でも同じ傾向です。
また、耳鳴が交通事故から遅れて生じることがあり、その場合には、耳鳴が残存している場合でも、交通事故と耳鳴との因果関係が否定されることがあります。実際のところ、むち打ちでは耳を直接受傷していないため、耳鳴の自覚が遅れたり、病院への通院が遅れてしまうことが多い結果、因果関係が否定されるケースがよくあります。
弁護士によるまとめ
以上のように、耳鳴はむち打ちに関連して後遺障害として認定されることがあります。ただ、実態としてむち打ちに関連して耳鳴が後遺障害として認定されることは多くなく、耳鳴単独で後遺障害等級が認定されることは期待しない方がいいと言えます。基本的には、耳鳴は、むち打ちの他の症状とあわせて14級が認定されるかどうかということが多いと考えておく必要があります。
更新日:2024年8月24日
交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。
示談金増額を目指します
ご相談者様への
お約束
増額しなければ
弁護士費用はいただきません!
※弁護士特約の利用がない場合