交通事故示談交渉で加害者の意向が反映されるケース

監修者: 交通事故チーム主任弁護士
羽賀 倫樹 (はが ともき)
交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。

- 相談者
- 交通事故で示談交渉を進めることになったのですが、保険会社がすべて決めるのでしょうか?
それとも加害者の意見が影響することもあるのでしょうか?
- 羽賀弁護士
- 通常は保険会社が示談交渉を代行しますが、状況によっては加害者の意向が反映されることもあります。
こちらのページで詳しく説明します。
- この記事でわかること
-
- 保険会社による示談代行の仕組みと、その影響について
- 加害者の意向が示談交渉に反映される具体的なケース
- フリート契約における加害者の経済的利害関係について
- 加害者との直接交渉が必要になる場合について
- こんな方が対象の記事です
-
- 交通事故の示談交渉がどのように進むか知りたい方
- 加害者と保険会社の意向がどのように関わるか知りたい方
- 交通事故での交渉を弁護士に依頼するか悩んでいる方
はじめに
交通事故では、加害者に任意保険があれば、示談交渉で被害者と加害者が直接交渉することはなく、被害者と保険会社が交渉することになります。これは、任意保険に、保険会社による示談代行サービスがついているからです。
被害者と保険会社の交渉についての保険会社側の規定
具体的には、下記のような内容で規定されています。
No | 規定の内容 |
---|---|
(1) | 被保険者が対人事故または対物事故にかかわる損害賠償の請求を受けた場合には、当会社は、被保険者の負担する法律上の賠償責任の内容を確定するため、当会社が被保険者に対して支払責任を負う限度において、被保険者の行う折衝、示談または調停もしくは訴訟の手続について協力または援助を行います。 |
(2) | 当会社は、下表のいずれかに該当する場合には、当会社が被保険者に対して支払責任を負う限度において、当会社の費用により、被保険者の同意を得て、被保険者のために、折衝、示談または調停もしくは訴訟の手続を行います。 ① 被保険者が対人事故または対物事故にかかる損害賠償の請求を受け、かつ、被保険者が当社の解決条件に同意している場合 ② 当会社が損害賠償請求権者から第6条(損害賠償請求権の直接請求権)の規定に基づく損害賠償額の支払の請求を受けた場合 |
(3) | (2)の折衝、示談または調停もしくは訴訟の手続には、ご契約のお車の所有者および被保険者から相手方へのご契約のお車に生じた損害についての請求に関するものは含みません。 |
(4) | (2)の場合には、被保険者は当社の求めに応じ、その遂行について当社に協力しなければなりません。 |
(5) | 当会社は、下表のいずれかに該当する場合は、(2)の規定は適用せず、折衝、示談または調停もしくは訴訟の手続を行いません。 (以下略) |
以上の規定があることで、交通事故被害に遭った時の交渉相手は、加害者本人ではなく、保険会社になります。ただ、一部保険では示談代行がついておらず、加害者と直接交渉が必要になります。また、あくまで示談代行ですので示談交渉に加害者の意向が反映されるケースもあります。以下、そのようなケースについて見ていきます。
示談代行がないケース
交通事故の示談交渉が保険会社とのやり取りになる理由は、上記の通り、示談代行の条項があるためです。そのため、示談代行の条項がなければ、保険会社ではなく、加害者本人とのやり取りになります。ただ、自動車保険では、示談代行がないケースはないと思われます。
一方、自転車保険や個人賠償責任保険では、示談代行がないケースもあります。そのような場合、加害者本人とのやり取りが必要になります。ただ、ケースによっては加害者側に弁護士がついて、通常の交渉と大きく変わらなくなることもあります。また、最終的に示談金を払うのは保険会社ですので、直接の交渉は加害者と行うとしても、保険会社の意向が強く反映されることも多いと思われます。
示談代行があるものの、示談交渉に加害者の意向が反映されるケース
示談代行は、加害者の代わりに保険会社が示談交渉をするというものです。そのため、本来、保険会社の意向だけで交渉を進められるわけではなく、最終的には加害者の意向に沿うものでなければなりません。ただ、示談金を負担するのは保険会社で、加害者にとって示談内容には経済的利害関係がないため、ほとんどの場合、加害者の意向より保険会社の意向をベースに示談交渉が進められている印象があります。
ただ、加害者にとって示談内容に経済的利害関係があるケースとして、任意保険がフリート契約になっている場合があります。フリート契約は、一般的に、契約者が法人等で契約台数が10台以上の場合のものです。自動車一台ごとに保険契約を締結する必要がないことや、保険料の割引が受けられやすい等のメリットがありますが、支払われた示談金額によって保険料が変わるという特徴もあります。そうなると、加害者にとって示談内容に経済的利害関係を有することになり、場合によっては、加害者の意向として示談金額を低くしたいというケースも出てくる可能性があります。
また、加害者にとって示談内容に経済的利害関係がないとしても、例えば過失割合については、加害者の意向が反映されるケースもあります。示談金額には経済的利害関係がなくても、過失割合は、事故についてどれだけ責任があるかということですので、加害者にとっても関心があるケースが一定数あるようです。
みお綜合法律事務所の弁護士によるまとめ
以上、示談交渉に加害者の意向が反映されるケースについて記載をしました。加害者に任意保険があると、保険会社との交渉になりますが、場合によっては、示談交渉に加害者の意向が反映されます。加害者の意向により示談交渉がうまく進まないケースは、紛争処理センターへの申立も考えないといけませんが、交通事故の手続きを弁護士に依頼していれば、どのように手続きを進めるかの判断も弁護士に任せることができます。交通事故の手続きは弁護士に任せることをお勧めします。
更新日:2022年8月6日

交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。

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