交通事故による軟部組織の損傷について
監修者: 交通事故チーム主任弁護士
羽賀 倫樹 (はが ともき)
交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。
はじめに
交通事故で怪我をして、骨折等はしていないものの、関節の痛みが激しかったり、長引いたりすることがあります。このようなときは、打撲や捻挫だけでなく、軟部組織の損傷が影響している場合があります。ここでは、交通事故でよく見かける軟部組織の損傷である、腱板損傷・TFCC損傷・膝の靱帯損傷・半月板損傷について簡単に解説をしたいと思います。
損傷部位別の解説
腱板損傷(腱板断裂)
腱板とは、肩甲骨と上腕骨をつなぐ、棘上筋・肩甲下筋・棘下筋・小円筋の総称です。この4つの筋が損傷し、断裂した場合、腱板損傷(腱板断裂)と診断されます。
肩に打撲や捻挫では説明できないくらいの痛みがあったり、痛みが長引いたりするときに、MRI検査により発見されることがあります。治療は、消炎鎮痛薬・リハビリなどの保存的治療、関節鏡手術が考えられます。
腱板損傷があると肩の痛みが残ったり、肩関節の可動域制限が残ったりします。打撲や捻挫の診断では、後遺障害等級が認定されないか、認定されたとしても14級にとどまってしまいますが、腱板損傷がMRI画像に映っていれば、肩関節可動域制限の程度や腱板損傷の程度等により、10級や12級の後遺障害等級が認定される可能性があります。
TFCC損傷
TFCCとは、手の尺側(小指側)の三角繊維軟骨複合体のことを指します。この部位が損傷した場合に、TFCC損傷と診断されます。
手関節に打撲や捻挫では説明できないくらいの痛みがあったり、痛みが長引いたりするときに、MRI検査や関節造影検査により発見されることがあります。治療は、消炎鎮痛薬の投与、固定やサポーターによる局所安静、内視鏡による修復術や尺骨短縮術等が考えられます。
TFCC損傷があると、手関節の尺側(小指側)に痛みが残ったり、手関節の可動域制限が残ったりします。打撲や捻挫の診断では、後遺障害等級が認定されないか、認定されたとしても14級にとどまってしまいますが、TFCC損傷がMRI画像や関節造影画像に映っていれば、手関節可動域制限の程度やTFCC損傷の程度等により、10級や12級の後遺障害等級が認定される可能性があります。
膝の靱帯損傷
膝の靱帯は、膝関節を安定させるもので、内側側副靱帯・外側側副靱帯・前十字靭帯・後十字靭帯の4つで構成されています。この部位が損傷した場合に、靱帯損傷と診断されます。
膝関節に打撲や捻挫では説明できないくらいの痛みがあったり、痛みが長引いたりするときに、MRI検査により発見されることがあります。治療は、内側側副靱帯、外側側副靱帯、後十字靱帯は、膝装具やギプス固定による保存療法が多いと言えます。前十字靭帯損傷は保存療法が困難なことがあり手術選択が多くなります。
靱帯損傷があると、膝関節に痛みが残ったり、膝関節の可動域制限が残ったりします。打撲や捻挫の診断では、後遺障害等級が認定されないか、認定されたとしても14級にとどまってしまいますが、靱帯損傷がMRI画像に映っていれば、膝関節可動域制限の程度や靱帯損傷の程度等により、10級や12級の後遺障害等級が認定される可能性があります。
半月板損傷
膝の半月板は、大腿骨と脛骨の間にあるC型の軟骨様の板で、膝の内側・外側に一つずつあります。半月板には、関節に加わる体重の負荷を分散させる役割と、関節の位置を安定させる役割があります。
膝関節に打撲や捻挫では説明できないくらいの痛みがあったり、痛みが長引いたりするときに、MRI検査により発見されることがあります。治療は、消炎鎮痛薬・リハビリなどの保存的治療、関節鏡手術(半月板縫合・半月板切除)が考えられます。
半月板損傷があると、膝関節に痛みが残ったり、膝関節の可動域制限が残ったりします。打撲や捻挫の診断では、後遺障害等級が認定されないか、認定されたとしても14級にとどまってしまいますが、半月板損傷がMRI画像に映っていれば、膝関節可動域制限の程度や半月板損傷の程度等により、10級や12級の後遺障害等級が認定される可能性があります。
共通する注意点
軟部組織はレントゲンに映らないため、事故直後に発見されないことがあります。損傷の発見が遅れると、交通事故とは関係がない怪我と判断され、十分な補償を受けられなくなる場合があります。そのため、打撲や捻挫と診断されたものの痛みが強かったり長引いたりするときは、早期にMRI検査等を受けて、軟部組織の損傷がないかを確認する必要があります。
更新日:2019年7月28日
交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。
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