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運営:弁護士法人 みお綜合法律事務所

弁護士による交通事故研究会

制度研究
Vol.59

交通事故の様々なデータ

本件の担当
羽賀弁護士

2022年08月29日

事例の概要

交通事故発生件数や死傷者数、保険金支払い状況など、交通事故に関する様々な数値の推移。

議題内容

交通事故発生件数や保険の支払い状況、解決手段、弁護士費用特約の利用状況など、交通事故に関する様々なデータから、交通事故問題解決状況の変化と、今後の対応について検討しました。

議題内容

・交通事故の発生件数・死傷者数の推移

・自賠責保険の支払い状況の推移

・任意保険の支払い状況の推移

・訴訟・紛争処理センター等の申立件数の推移

・弁護士費用特約(LAC)の取扱件数の推移

・実際の事件の弁護士費用特約の利用割合の推移

・自動車事故以外にも使える弁護士費用特約付商品を販売している保険会社

・自転車事故の発生件数の推移

・自転車保険加入率の推移

・自転車事故・日常生活事故の特徴

参加メンバー
羽賀弁護士、澤田弁護士、伊藤弁護士、吉山弁護士、小川弁護士、山本弁護士、倉田弁護士、田村弁護士、加藤弁護士、大畑弁護士、石田弁護士、西村弁護士、原口弁護士
羽賀弁護士
今回は交通事故の様々なデータをまとめています。
交通事故は件数としては減少傾向にありますが、その具体的状況を数字で見ていくために、『交通事故の発生件数・裁判件数等のデータ表』を作りました。資料としてお配りしています。
羽賀弁護士
一番基本になるデータは、資料の最初にある「交通事故の発生件数・死傷者数の推移」です。こちらは、警察庁の『交通事故の発生状況』というデータからまとめています。2011年からの10年間で、事故の発生件数は44%、死者は56%、負傷者は42%、重傷者は56%へと、ほぼ半減しています。
1年単位で減少幅を見るよりも、10年単位で見ることで交通事故の発生状況等がよく分かると思います。
羽賀弁護士
次は、2番目の「自賠責保険の支払い状況の推移」です。この表は、損害保険料率算出機構の『自動車保険の概況』を元に作成しました。交通事故の発生件数が減れば、自賠責の支払い額も減るだろうということにはなりますが、実際のデータを見ると、10年間で、死亡は60%、後遺障害は72%、傷害は86%に減っています。
伊藤弁護士
死亡に対する保険金は、実際の死者数にほぼ比例しているように思いますが、後遺障害と傷害があまり減っていないのはなぜでしょうね?
羽賀弁護士
理由がどういったところにあるのか、正確なところはよく分かりません。ただ、弁護士が入る割合が増えているので、もしかしたら、適切な治療を受けて、適切な後遺障害等級が認定されている事案が増えているのかもしれません。
羽賀弁護士
3番目のデータは、「任意保険の支払い状況の推移」です。
こちらについても、同じく、損害保険料率算出機構の『自動車保険の概況』を元に作成しました。
こちらも自賠責と同じように、思ったほど減っていなくて、データで見ると、対人賠償の支払い額は10年間で8割程度まで減ってはいるけれど、事故の発生件数の減り方に比べると、そこまで減っていません。弁護士が入って、弁護士基準まで示談金を引き上げたケースが増えたためかもしれません。
羽賀弁護士
今後の予想ですが、法定利率が5%から3%に引き下げられ、ライプニッツ係数が大きくなった結果、逸失利益や将来介護費の認定額が大きくなりますので、特に重度後遺障害(遷延性意識障害・高次脳機能障害・脊髄損傷・手足の切断等)や死亡事案での賠償金が大きくなります。それにより、任意保険の支払額にも影響が出ると思います。
羽賀弁護士
なお、物損では、1件当たりの修理費は毎年増えており、この10年ほどで、1.3~1.4倍くらいになっています。これは、衝突回避装置といった高価な部品が搭載されているケースが増えているのが理由と考えられます。今後については、当面は資源価格の高騰もあり、引き続き修理費の上昇が見込まれています。
羽賀弁護士
次は、衝突軽減ブレーキを装着した車両の割合です。こちらも損害保険料率算出機構のデータの引用です。このブレーキの装着率の上昇により、交通事故が減っていると思われます。搭載比率は毎年上がっていて、2016年では11%程度だったのが2020年は約36%になっています。なお、各年に出荷された車両に対する搭載比率ではなく、登録されている車両に対する割合です。各年に出荷された車両に対する搭載比率はより高くなっています。
羽賀弁護士
ここからは、交通事故の手続きで弁護士が関わる部分にどういった変化があるかということを見ていきます。
まず、弁護士が扱う交通事故がどうなっているかということで、訴訟の件数であるとか、紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターへの申立件数をまとめています。データは、弁護士白書や、紛争処理センターや日弁連の事業報告書から出しています。詳しい数字は資料の6番目の表をご覧ください。なお、交通事故の手続きを弁護士に依頼しても、示談で解決している件数の方が多いと思われますので、実際の依頼数を見たいところですが、この点の統計は見当たりません。
羽賀弁護士
数字を見ると、地方裁判所や簡易裁判所への申立件数は、10年前に比べると1.8倍くらいに増えています。これは、弁護士費用特約があるからというのが赤い本などでの一般的な分析ではないかと思います。ただし、地裁はここ数年頭打ちになっていますし、簡裁は徐々に減少しています。
羽賀弁護士
次に紛争処理センターと日弁連交通事故相談センターへの申立件数ですが、こちらも弁護士が関わることが多いため増えているかなと思っていたんですが、むしろ減っていました。10年間で、紛争処理センターは3分の2くらい、日弁連交通事故相談センターは半分くらいまで減っています。
羽賀弁護士
個人的には示談ができない場合に紛争処理センターへの申立を検討するのですが、示談決裂=裁判というイメージが強いため、検討対象外になっているケースもあるのかもしれません。
羽賀弁護士
それから、LACにおける弁護士費用特約の取扱件数がどれくらいになっているかというデータです。日弁連のホームページでLACの保険の販売件数や取扱件数を見てみると、増加傾向ではありますが、最近は頭打ちになっています。加えて、増加している理由が日弁連と協定している保険会社が増えているという点にもありますので、LACに対応していない東京海上日動なども含めた弁護士費用特約全体の利用件数や利用割合は、近時はあまり増えていないかもしれません。
羽賀弁護士
次に、私の受任事件で、弁護士費用特約がどれくらい使われていたかを集計しました。日弁連のLACの取扱件数の増加率がそのまま当てはまるとすれば、弁護士費用特約が使われている比率は上がるはずですが、実は毎年あんまり変わらない。だいたい事件を受けた内の5割くらいです。
羽賀弁護士
次は、これも弁護士費用特約関連ですが、最近はどういった弁護士費用特約が販売されているのかということで、自動車による事故以外でも使える弁護士費用特約がどれだけあるか調べてみました。東京海上、損保ジャパン、三井住友海上、あいおいニッセイの大手4社では、自動車事故にしか使えないタイプと、自動車事故と日常生活事故の両方に使えるタイプの2つが選択できるようになっていますので、自動車事故以外の自転車事故や日常生活事故にも使える弁護士費用特約が、徐々に広がっているのではないのかと思います。
羽賀弁護士
一方で通販型の方は、自動車事故専用の弁護士費用特約が多いんですが、ソニーとアクサは、自転車事故や日常生活事故にも使える弁護士費用特約が販売されています。
羽賀弁護士
次は、自転車事故ですね。交通事故全体が減っているという状況で、自転車事故はどうか、データを集計しました。こちらは、警察庁のデータから取ってきたんですが、2011年からの10年間で見ると、件数は多くないものの、あまり変わっていません。年によって増減がありますが、ほぼ横ばいです。
資料の11番目、自転車が加害者になっていると見られる事故数のデータは、自転車対自転車の事故数と、自転車対歩行者の事故数の合計を集計して出しています。
件数は年間6,000件前後ですので、交通事故全体から見ると少ないと言えます。
羽賀弁護士
あと参考として付け加えたのが、バイクと自転車の事故の発生件数です。類型的にバイクが加害者になることが多いですが、自転車の方が加害者になって、バイクの方が被害者というパターンも有り得ます。
こちらの事故に関しては、データを見ると減少傾向です。2011年からの10年間で35%くらいまで減っています。バイク側が怪我をして、自転車側に賠償責任保険があることに加えて、事故態様によっては、バイク側を被害者として弁護士に交渉を依頼できるケースがあります。例えば自転車側が赤信号無視で突っ込んできて、バイクと衝突したか転倒してしまったといったパターンです。
例えば、交差点の出会い頭で、自転車側が赤信号でバイク側が青信号だったら、過失割合は、自転車が80、バイクが20です。
あるいは、自転車側が赤信号で横断歩道を走行しているときに、バイク側が青信号で直進だったら、過失割合は、自転車が75、バイクが25です。
以上の事故態様であれば、バイク側から弁護士に示談交渉を依頼できる可能性があります。
羽賀弁護士
それから自転車事故関連で、表の12番目、自転車保険の加入率です。自転車事故数自体は横ばいですが、自転車保険の加入率はどうなっているかというと、全国では、2018年の56%から、2019年-57.3%、2020年-59.5%、2021年-62.6%と、毎年少しずつ増えていっています。近畿圏はより高く、例えば大阪府では、2018年-67.8%、2019年-69.5%、2020年-69.7%、2021年-71.1%と増えていっています。兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県も加入率は高く70%程度です。和歌山県のみ50%強とやや低くなっています。
このデータは、AU損保の加入率調査から引用しています。個人に対して、自転車の事故に備える保険に加入しているか質問して、加入している、または、恐らく加入しているという人の割合を集計しているもので、記憶違いなどもあり得るため正確なデータと言えるかどうかは分からないところはありますが、自転車保険の加入率が上がっているのは間違いないと思います。
羽賀弁護士
今後の見通しですが、自転車保険に加入されている方は増えていますし、国としても、自転車の賠償保険の加入率を増やそうと、国土交通省の『第2次自転車活用推進計画』では、令和7年度までに75%とする目標が設定されています。そのため、今後も自転車保険の加入率は増えていく可能性が高いのではないかと思います。
羽賀弁護士
自転車事故と日常生活事故は、自動車事故と比較して事故の衝撃が小さいケースが多いと思われます。そのため、比較的怪我は軽いことが多いですが、高齢の方など大きな怪我をしてしまう場合もあります。そういった方に対して、自転車事故や日常生活事故でも、加害者に賠償責任保険があれば、後遺障害の手続きや示談交渉を弁護士に依頼できることをもっと知ってもらえればと思うところがあります。
小川弁護士
日常生活事故って、具体的にはどんなものがありますか?
羽賀弁護士
例えば「友人宅でお茶をひっくり返されて大火傷をした」とか、「店舗の通路に置いてあった段ボールに引っ掛かって転倒した」「バスから降りるときに後からスカートを踏まれて、ステップから転がり落ちた」、「職場の電気工事の穴に気付かずにはまってしまった」などいろいろなものがあります。
小川弁護士
色々あるんですね。それに保険が使えるということですか?
羽賀弁護士
そうですね、加害者が事業者だったらほとんどの場合保険に入ってると思います。加害者が個人の場合でも、自動車保険の特約の個人賠償特約、自転車事故保険、学校の保険などで対応を受けられるケースはよくあります。

「みお」のまとめ

交通事故の発生件数や被害者数は減少傾向ですが、交通事故に遭ってしまった場合に弁護士に依頼する必要性が高いのは間違いありません。加害者が自動車の事故に限らず、自転車事故や日常生活事故も含めて、どのように手続きを進めていくべきか迷われた場合は、早めに弁護士に相談されることをお勧めします。「みお」の無料相談では、解決までの道筋や費用などを詳しくご説明いたします。弁護士費用特約を利用すると、弁護士費用が保険で賄われますので、契約している保険会社にご確認ください。

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