自転車による交通事故(自転車事故)と賠償責任保険

監修者: 交通事故チーム主任弁護士
羽賀 倫樹 (はが ともき)
交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。

- 相談者
- 自転車事故を起こしてしまった場合、保険で対応することはできますか?
- 羽賀弁護士
- 自転車保険や賠償責任保険で対応することが可能です。
このページで詳しく解説します。
- この記事でわかること
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- 自転車保険の義務化状況とその背景
- 賠償責任保険の種類や加入時の注意点について
- 当事務所の自転車事故事例
- 自転車事故で怪我をした場合に弁護士に依頼するメリット
- こんな方が対象の記事です
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- 自転車事故や賠償責任保険について知りたい方
- 自転車保険や賠償責任保険への加入を検討している方
- 自転車事故で怪我をした場合に弁護士に依頼するメリットを知りたい方
はじめに
自転車が加害者になる事故は、かつては自転車側に賠償責任保険がついているケースは多くはありませんでした。そのため、被害者にとっては弁護士に依頼することもできず、泣き寝入りになるパターンが多かったと言えます。ただ、現在は自転車保険が義務化されている場合も多く、自転車が加害者になる事故でも、弁護士への依頼が可能であるケースが数多く出てきています。
このページでは、自転車事故と賠償責任保険について詳しくみていきたいと思います。
自転車保険の義務化状況
自転車を運転している時に加害事故を起こした場合、加害者は被害者に生じた損害を賠償しなければなりません。ただ、被害者に生じた損害が高額になると、加害者はとても支払いができませんし、被害者も適切な賠償を受けられなくなってしまいます。自転車の高額賠償事案として有名なのは、神戸地方裁判所平成25年7月4日判決です。この事案では、一般的には、加害者に約9520万円もの賠償が命じられたと言われていますが、判決までの遅延損害金を考慮すると、実は9520万円ではなく、約1億1400万円もの支払いが命じられた事案です。この事案等がきっかけとなり、各地で自転車保険を義務化する動きが広がりました。当事務所が所在する近畿圏(2府4県)の2021年時点の義務化状況は、下記の通りです。
都道府県 | 義務化の時期 |
---|---|
大阪府 | 2016年7月1日から義務化 |
京都府 | 2018年4月1日から義務化 |
兵庫県 | 2015年10月1日から義務化 |
滋賀県 | 2016年10月1日から義務化 |
奈良県 | 2020年4月1日から義務化 |
和歌山県 | 2019年4月1日から努力義務 |
近畿2府4県では、和歌山県が努力義務となっている以外は、全て自転車保険が義務化されています。義務化または努力義務となったからといって、全ての自転車に自転車保険がつくことにはなりませんが、自転車保険の加入率は既に50%を超えているとの調査もあります。調査内容からすると、自転車が加害者となる事故でも、被害者救済を図りやすい事案は増えていると言えます。
保険加入時の注意点
自転車保険と言っても様々なものがあり、どの保険に加入すればいいのでしょうか。注意すべき点はいくつかありますが、被害者救済・加害者になったときの経済的破綻を防ぐという観点からは、下記の点に着目するといいでしょう。
保険の上限額
賠償保険は、例えば、上限1000万円、1億円、3億円、無制限というような形で、賠償上限額が定められています。自転車事故の賠償金は、上記の神戸の裁判のように億単位になるケースもあります。万が一に備えるには、無制限か、少なくとも数億円の賠償が可能な保険が望ましいと言えます。
示談代行付き
自転車保険には、保険会社が加害者の窓口になる保険(示談代行付き)と、加害者と被害者が直接交渉しなければならない保険の2つがあります。この点は、示談代行付きの保険の方が、保険会社との交渉が円滑に進みますので、示談代行付きの保険が望ましいと言えます。
補償対象になる事故の範囲
自転車事故に対応できる保険には、自転車事故のみを対象にするものと、自転車事故以外の日常生活上の事故も対象にするものがあります。日常生活上発生しうる事故は、自転車事故だけではなく、歩行者同士の事故や子どもによる加害事故など様々なものがあります。こういった観点からは、自転車事故のみならず、その他の日常生活事故にも対応できる保険が望ましいと言えます。
補償対象になる人の範囲
自転車事故は、自分自身だけではなく、家族が起こしてしまうことも考えられます。そのため、同居の家族がいらっしゃる方は、自分だけではなく、同居の家族も補償対象になる保険が望ましいと言えます。
自転車事故に適用できる保険
自転車事故に適用される保険には様々なものがあります。
会社の業務中に自転車を運転している場合、会社が賠償責任保険をかけていることが多く、被害者に生じた損害は賠償されやすいと言えます。
未成年者が自転車事故を起こした場合、学校のPTAがかけている賠償責任保険を使うことができる場合があります。この保険は、加害者側が保険の存在に気づいていない場合もありますので、被害者側からすると、加害者に対し、保険がないかよく確認するよう求めないといけない場合もあります。
以上の他、個人賠償責任保険や自動車保険に付帯している自転車保険等が適用できる場合があります。自転車特有の保険としてTSマークに付帯した賠償責任保険がありますが、これは、死亡または後遺障害等級1級~7級の重度後遺障害が認定された場合にしか使えません。7級以上の後遺障害等級が認定される事案は、事故全体からするとほんの一部にすぎませんので、TSマークに付帯した賠償責任保険では、上限額の観点も含めて、自転車事故への備えとしては不十分と言わざるを得ません。
当事務所の自転車事故事例
みお綜合法律事務所では、自転車が加害者になった交通事故について、被害者の方から後遺障害の手続きや示談交渉をご依頼いただいています。自転車保険の必要性が特に強く感じられる高額賠償事例には、以下のようなものがあります。
弁護士によるまとめ
自転車事故でも自動車事故並みの高額賠償になる事案は数多くあります。神戸の裁判例や当事務所の事例でも、高額賠償が認められており、加害者の視点で見た場合、自転車事故に備える賠償責任保険が必要であることがよく分かります。
一方、被害者側の視点で見た場合、最近では賠償責任保険により、弁護士に手続きを依頼して適切な賠償を受けられるケースが増えています。当事務所では、賠償責任保険のある自転車事故について、保険会社とのやり取り、後遺障害申請、示談交渉等の手続きを行っています。自転車事故で保険会社とのやり取りに悩まれている方は、みお綜合法律事務所の自転車事故相談をご利用いただければと思います。
更新日:2021年5月5日

交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。

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