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交通事故被害者救済のための勉強会

制度研究
Vol.29

自賠責保険の後遺障害認定実務

本件の担当
羽賀弁護士

2019年10月15日

事例の概要

自賠責保険の後遺障害等級の概要について検討しました。むち打ち症の後遺障害等級獲得のポイントも検討しました。

議題内容

・自賠責保険の制度、請求の必要資料(特にむち打ち症の場合)の確認

・後遺障害の認定基準の確認

・後遺障害等級の系列の考え方

・併合の制度と序列調整・相当・準用・加重

・局部の神経症状について

・むちうち症の場合の後遺障害等級獲得について

議題内容

自賠責保険における後遺障害等級概要について。むち打ち症の場合の交渉のポイントなど。

参加メンバー
澤田弁護士、伊藤弁護士、羽賀弁護士、吉山弁護士、田村弁護士、北名弁護士、大畑弁護士、石田弁護士、山本弁護士、加藤弁護士、松弁護士
羽賀弁護士
今回は、自賠責保険における後遺障害等級のシステムの概要について説明をします。
【自賠責の制度】、【自賠責請求の手続きと必要資料】、【後遺障害の認定基準の概要】、【併合の制度と相当と加重】、【局部の神経症状】について話をしていきます。
羽賀弁護士
まず、最初の【自賠責の制度】についてですが、保険金額が一番高い等級が、後遺障害等級表の別表第1の1級で4,000万円。2級が3,000万円と続き、一番低い等級の14級で75万円となっています。等級認定は労災の基準に従って行っており、事前認定と被害者請求という制度があります。
羽賀弁護士
細かいところでは、保険会社が事前認定をする場合に、再認定依頼をすることも可能ということがあります。これは事前認定の結果を、任意保険会社として承服しかねる場合に、異議申し立てではなく、再認定依頼ができるというものです。この制度が使えるのは、被害者の方に事前認定の結果を通知する前に限られます。
田村弁護士
よくあることなんでしょうか?
羽賀弁護士
こういうことをしているパターンがどれだけあるのかというのは、被害者側の立場では、実はあんまり分からないんですが、1例だけ実際の事例があります。目の傷害で視力が落ちた方が、一度非該当になられたんですけれど、任意保険会社が、事前認定で再認定依頼をかけた結果、後遺障害等級が出たという事例があります。
田村弁護士
なるほど、そういうパターンもあるんですね。
羽賀弁護士
被害者請求やその他の制度については、ご存知の通りなので省略して、次の【自賠責の請求手続きと必要資料】に行きます。
必要資料とは、事故証明、事故発生状況報告書、後遺障害診断書、診断書、レセプト、画像などです。
倉田弁護士
診断書や診断報酬証明書は、労災書式でいけるんでしょうか?
羽賀弁護士
その点は、ケースによります。しかし、私の実感としてはけっこういけるのではないか、労災の書式できっちり診断名とか金額のところとかが書かれているんだったら、いけるのではないかと思います。
山本弁護士
頚椎・腰椎捻挫、つまりむち打ちの場合、他覚所見的に証明することが難しく、痛みが続くといった自覚症状の訴えが主になることが多いので、結構、色々な資料が必要になる場合も多いです。
羽賀弁護士
頚椎・腰椎捻挫の場合などは、その他の調査資料として、物損写真や修理見積などを求められることもあります。あと、画像や検査資料の提出も必要になります。
倉田弁護士
最低限どういったものが必要になるんでしょう?
羽賀弁護士
自賠責調査事務所では最低限必要なものについて一定の基準があるようですが、基準では必要ないものが求められることもありますので、被害者側の立場では、治療期間中の全画像を集めることになると思います。
羽賀弁護士
次に、【後遺障害の認定基準】について解説します。
中身としては、系列という考え方があって、これは、身体を部位別・障害の内容別に35系列に分類したものです。さらに、みなし系列というものがあり、これは併合ではなくて相当、自賠責保険で言う「相当等級」になる、というものです。
石田弁護士
相当の制度は、等級獲得の実務にどんな影響がありますか?
羽賀弁護士
被害者側の感覚としては、等級が高く出るという感じになりますね。
例えば上肢の機能障害で言うと、まず上肢の後遺障害で相当等級を定めて、他の部位の後遺障害の等級と併合するので、等級が高くなる効果があるわけです。
石田弁護士
別表第1の後遺障害が認定された場合に、その他にも後遺障害がある場合はどのような認定になるのでしょうか。
羽賀弁護士
別表第1の複数の障害がある場合と、別表第1と別表第2の障害が併存する場合が考えられます。これらの場合は、実質、等級は上がらない扱いになります。別表第1の2級、高次脳機能障害で2級が認定された、それと別表第2の1級、これは両眼失明などですが、この場合には認定自賠責上の運用としては、別表第1の2級の方で認定をします、ということになります。
石田弁護士
2つあるから1等級上がるというわけではない、ということですね。
羽賀弁護士
そういうことになります。
次に、「一般的な併合の考え方」ということなんですが、これも、等級の一覧表の一番下の備考のところに書いてあるものですけれども、例えば3カ所の後遺障害が14級・5級・4級で認定されると、3級繰り上がって併合1級になります。つまり、5級以上の等級が2つある場合は、3級繰り上げになるというかたちでの併合です。
また、8級以上の後遺障害が2つ以上ある場合は、2級繰り上がるので、例えば14級・8級・4級という認定になると、併合2級で認定されます。それから、13級以上の後遺障害が2つ以上ある場合については、1級繰り上がるというルールがあります。例えば14級・13級・4級というかたちで認定されると、併合3級ということになります。
大畑弁護士
14級の場合は、2つ以上あっても繰り上がりませんよね。
羽賀弁護士
そうですね。14級の場合は繰り上がりませんので、14級・14級・4級という認定だったら、最終的には4級ということになりますね。
加藤弁護士
併合できないパターンっていうのがありますよね。
羽賀弁護士
「1の身体障害に他の身体障害が通常発生する関係にあるもの」、それから「1つの身体障害を複数の観点で評価しているに過ぎないもの」は併合できないパターンです。詳しくは、『労災補償 障害認定必携』に記載されていますので、ご確認いただければと思います。
それから、「併合の場合に支払われる自賠責保険金の額」について。一般的には、繰り上がり後の等級で支払われますけれども、例えば別表第2の10級10号と、別表第2の13級9号が認定された場合については、等級としては併合9級になりますが、支払われる保険金額としては600万円になります。その中身は、10級が461万円で、13級が139万円なので、合計600万円になります。
10級・13級・14級の3つが認定されると、461万円+139万円+75万円=675万円ですので、9級の上限の616万円が支払われます。
加藤弁護士
併合の中の序列調整というものがありますよね。
羽賀弁護士
それはかなり細かいところですし、実務的にもあんまり出てこないところではあるんですが、一例をあげると次の通りです。
例えば右膝関節と右足関節用廃で、等級が6級7号の認定、それから右大腿骨偽関節7級の場合、単純に併合すると2級繰り上がって4級になるはずです。しかし、別表第2の一覧表の中で、膝関節以上の欠損は4級5号ということになっていますので、用廃といっても足自体は残っているので等級としては軽いということで、認定としては5級になります。
なお、先ほどの右下肢の6級7号と7級10号に、左下肢醜状障害14級5号が付いてきた場合は、序列を乱さないので4級が認定されます。
羽賀弁護士
それから相当等級については、2種類あり、いかなる障害の系列にも属さない障害の例として、嗅覚や味覚の脱失・減退があります。
北名弁護士
確かに、嗅覚や味覚の脱失減退については、障害等級表にありませんね。
羽賀弁護士
障害等級表に載っていない障害については、障害の内容などから等級を定める、相当という決まりがあり、嗅覚や味覚の脱失は、12級または14級で認定されます。
それから、障害の系列が存在するけれども該当する障害が無い場合。右膝の関節の用を廃したもので8級認定、右手関節の著しい機能障害で10級の認定となった場合には、7級という事で相当等級が認定されるということになります。
羽賀弁護士
次は加重についてです。
山本弁護士
元々障害があったのと同じ部位に、交通事故でまた傷を負って、後遺障害の程度が重くなった場合ですね。
羽賀弁護士
はい。同一部位の障害が重くなった場合、自賠責の保険金額はどうなるかという問題があります。
例えば、元々、関節に12級の機能障害がある方が、またその“同一部位”を骨折するなどしてさらに関節が動かなくなって、“障害の程度が重く”なり、10級の認定を受けた場合。支払い金額は、10級の自賠責の支払限度額461万円から12級の支払限度額224万円を引いた237万円に下がってしまうということになりますので、注意が必要です。
倉田弁護士
元々あった障害の原因が、交通事故かどうかは関係ないんですか?
羽賀弁護士
そうですね。事故以前にあった後遺障害の原因が何であれ、加重の扱いになります。
石田弁護士
“同一部位”についての定義は、どうなりますか?
羽賀弁護士
“同一部位”や、“障害の程度を重くする”の定義については、『労災補償 障害認定必携』の86~87ページに記載がありますので、確認いただければと思います。

北名弁護士
等級認定のところでも出て来た、『労災補償 障害認定必携』は、交通事故も含めた、後遺障害全般の認定基準になっていますね。
羽賀弁護士
次に、「加重の認定基準上の特則」があります。
もともとあった障害が11級8号で、事故で別途11級8号に該当しうる障害が残り、9級12号が認定された場合。単純計算では、9級の自賠責支払限度額616万円から11級の限度額331万円を引いた、285万円しか後遺障害の保険金が支払われないことになるはずなんですが、今回の新たな障害11級8号だけで認定した方が保険金額が高いので、331万円が支払われます。ちょっと分かりにくいかもしれません。
羽賀弁護士
最後に、局部の神経症状について解説します。
神経症状とは主に痛みですが、局部の神経症状のうち、神経系統の障害が医学的に証明されたものが12級に認定ということになります。その評価のポイントは、むち打ちの場合、腱反射の領域、知覚障害の領域、筋力低下領域、これらが整合しているか。さらに、それがその人の画像所見と合致するか、障害髄節、神経根とMRIでの神経圧迫部位が合致しているか、という点です。
それから、神経症状の推移の一般論として、事故直後の症状が一番重くて、徐々に改善していくという流れをたどっているかどうか。例えば途中から悪化していないかとか、そういったところも見られています。
北名弁護士
12級は、局部に頑固な神経症状をのこすもの。14級は、局部に神経症状をのこすもの。
傷害の原因が医学的に証明されて、「頑固な」の一言が付くと、自賠責保険金額が150万円程違ってきますね。ただ、実態としてみると、頚椎捻挫や腰椎捻挫で12級が認定されることはほとんどなく、14級が認定されるかどうかというのが実態です。
田村弁護士
さらに、同じむち打ちでも、14級に認定されるのと非該当では、保険金が下りるか下りないかの差が出てしまいますが、その区別の着眼点というか、その辺のところも知りたいですね。
羽賀弁護士
着眼点はいくつかありますが、お配りしたレジュメにも記載していますので、ご確認をお願いします。総合評価なので、どの点がどの程度重視されるかは明確には分からないところがありますが、画像所見は重視されていると思います。
加藤弁護士
症状固定後の治療継続が問題になることがありますが、調査機構はどうやって把握してるんでしょうね?
羽賀弁護士
普通は調査してないので、こっちが言わないと、たぶん調査してくれないんじゃないですかね。
加藤弁護士
それって、被害者請求の段階で言うんですか?異議申立の時でしょうか。
羽賀弁護士
私は異議申し立ての時に出すことが多いです。1回目で出しても意味はあると思います。
澤田弁護士
むち打ちでブロック注射って、よくするんですか?
羽賀弁護士
そんなに多くはないと思います。お医者さんが、よほど痛みが強くないと打たないっていう印象ですね。逆に、それだけ症状が重いっていう証拠になりますね。
大畑弁護士
むち打ち症の治療経過ですけど、皆さん大体2か月くらい経ってくると、湿布薬貰って、牽引してもらいました、くらいで終わりみたいな。電気当ててもらいました、で終わりみたいなのが、延々と続くじゃないですか。ああいうのはどうなんでしょう。
羽賀弁護士
うーん、実際そうしか、治療のやりようがないんですよね。
澤田弁護士
毎日通院してる方がいいんですかね?
羽賀弁護士
後遺障害等級認定上は有利になると思います。
ただ通院が多いと治療費が高くなってくるので、例えば、治療費を早く打ち切られるとか、示談交渉では、慰謝料を減額されやすくなるかもしれないですね。
澤田弁護士
なるほど。それなら健康保険を使ったらいいのでは?
羽賀弁護士
頻繁に通院するのであれば健康保険の方がいいです。
ただ、健康保険を使った場合、主治医の先生が後遺障害診断書を書くのを渋られるパターンがまれにありますので、基本的には大丈夫だとは思いますが、心配な場合は、事前に主治医の先生の確認が必要になります。
羽賀弁護士
むち打ちでは、やはり最終的には画像を重視して判断してるんじゃないかと思います。後遺障害等級が14級か非該当かの差で見ると、最終的には画像所見が弱い人はやっぱり付かないことが多いです。例えば、強い痛みを訴えておられて、ブロック注射も打っておられて、症状固定後も治療を続けられていても、画像所見がなくて、結局、非該当になってしまった方もいらっしゃいますので、やっぱり決め手は画像なのかなと。そこだけは客観的なものといえるので、重視されているように思います。

「みお」のまとめ

自動車事故の損害賠償請求において、適正な後遺障害等級の認定は大変重要です。
交通事故による後遺障害は、色々な傷害が重複している場合も多く、等級申請は慎重に行う必要があります。また、軽視されがちなむち打ち症でも、等級獲得の可能性があります。医師に後遺障害が残ると言われた方はもちろん、そうでなくても、症状が続く方は、ぜひ一度、後遺障害等級申請に必要な医学的知識と経験が豊富な当事務所の弁護士にご相談ください。

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