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弁護士による交通事故研究会

事例研究
Vol.76

後遺障害等級11級9号認定後、紛争処理センターで解決した事例

本件の担当
羽賀弁護士

2024年06月02日

事例の概要

バイク乗車中に交通事故に遭い、後遺障害を申請して11級9号の認定、交渉では決着せず紛争処理センターに申し立て、示談が成立しました。

議題内容

議題内容

・2022年に発生し受任した事故の概要

・受任から後遺障害等級認定まで

・紛争処理センターに申立てるまでの経緯

・紛争処理センターでの解決までの流れ

参加メンバー
羽賀弁護士、澤田弁護士、伊藤弁護士、吉山弁護士、小川弁護士、山本弁護士、倉田弁護士、田村弁護士、加藤弁護士、石田弁護士、西村弁護士、原口弁護士、青井弁護士
羽賀弁護士
今回は解決事例の紹介です。レジュメと資料をお配りしています。
時系列でお話ししますと、事故は2022年5月に発生しました。
被害者は主婦の方で、バイクで優先道路を走っていたところ、非優先道路側から四輪車が出てきて衝突されたというものです。
怪我は、右第2、第3、第4中足骨の骨折、右母趾基節骨骨折で、右足指あたりの骨が4か所折れたというものです。
羽賀弁護士
約1週間入院されて退院。事故から約2週間後にご家族と相談に来られました。
状況を聞くと、怪我も重いし、後遺障害認定の可能性もあり、過失割合も低そうだということで、弁護士費用特約はなかったものの、こちらで手続きを進めるメリットが十分あると判断し、受任しました。
羽賀弁護士
そこからしばらくは治療になりますので、大きな動きはなく、症状固定したのが2023年4月です。
症状固定後、後遺障害診断書を書いてもらい、精査の上、修正を依頼しました。
どこを修正してもらったかというと、「他覚症状および検査結果、精神・神経の障害」の部分です。
元々ここには可動域制限の原因は記載されていなかったんですが、骨折及び手術に伴う関節の拘縮と追記してもらいました。
羽賀弁護士
後遺障害申請を行ったのが2023年6月で、後遺障害等級の認定が出たのが2023年の8月です。資料にこのときの後遺障害等級認定票を付けています。右足の第1趾~第4趾付近の骨の骨折に伴い、右足の親指から第4足指まで可動域制限があり、11級9号と判断されました。
羽賀弁護士
認定内容に問題はないと判断し、 2023年の8月に保険会社に示談案を提示し、10月に保険会社が対案を提示しました。
内容は資料に添付していますが、当初の請求は約2,074万円で、金額として大きいのは、主婦としての休業損害が286万円、あと主婦としての逸失利益が1,846万円、あとは入通院慰謝料164万円、後遺障害慰謝料400万円等で、過失相殺は物損解決の際の10%です。
休業損害と逸失利益は争点になるだろうと予想していましたが、保険会社から提示された対案は、2,074万円の請求に対して674万円で、大きな開きがありました。
その理由ですが、差額が一番大きいのが逸失利益でした。逸失利益は、女性平均賃金の採用はいいけれども、労働能力喪失率が、11級に相当する20%ではなくて14%、労働能力喪失期間は41年ではなくて10年で、逸失利益の認定はだいぶ低くなっています。
あと、休業損害の認定も、当方286万円に対して保険会社105万円と、金額差が相当大きく出てしまっていました。
吉山弁護士
足趾の可動域制限であれば、回復しづらい後遺障害のはずですので、保険会社の提案は相当低い印象ですね。
羽賀弁護士
そこで、保険会社に対して交渉をしたところ、保険会社からはカルテを確認したいという話がありました。ただ、取り付けるには時間がかかることが予想され、金額差も大きく交渉で決着する可能性があまりないと判断し、紛争処理センターの方がいいと考え、申立てをしました。
澤田弁護士
裁判ではなく、紛争処理センターを選んだ理由はありますか?
羽賀弁護士
事故状況や後遺障害等級に争いがないことと、紛争処理センターの方が裁判より早いことが理由です。事故状況や後遺障害等級に争いがあると紛争処理センターでの解決は困難で裁判せざるを得ませんが、事故状況や後遺障害等級に争いがなければ紛争処理センターと裁判の両方を選択できます。そして、紛争処理センターは裁判よりかかる期間が短く、用意すべき資料が少ない、弁護士費用面でもメリットがあることが多いという特徴がありますので、金額差が大きいものの、事故状況や後遺障害等級に争いがなければ、申し立てを検討する価値があると言えます。
羽賀弁護士
申立書は資料に付けています。
紛争処理センターでは、事前の示談交渉の経過の情報提供が求められるので、こちらが提示した示談案と保険会社の出してきた対案、さらにこの2つの案を比較する表ですね、どの辺りが争点になっているかというところの表を付けました。さらに争点となっている休業損害と逸失利益について、こちらの主張が認められるべきだということを記載して、申立書として提出しました。
羽賀弁護士
第1回期日は2023年の11月で、対面で行われました。
その期日で、保険会社としてはやはりカルテを出してほしいという話だったので、カルテの提出が必要になったのと、もう1つ、紛争処理センターの担当弁護士さんから、休業損害に関する陳述書、つまり、治療中、どのくらい時期にどのぐらいの家事ができるようになったといったことを詳しく書いて出してくださいという要望がありました。
保険会社の方は、当方から提出するカルテをもとに顧問医の意見書を出したいということだったので、それが宿題になりました。
羽賀弁護士
流れとしては、第1回期日はそれで終わりで、当方は、第2回期日までの間に、カルテを提出しました。
カルテは事前に入手していたのですぐに出しまして、陳述書は、ご依頼者から、どういった時期にどういった家事ができたかとかできなかったかとかの点を聞き取って作成しました。
加えて、逸失利益のところも申立書より詳しく記載して提出しました。資料に付けていますので、また確認いただければと思います。
羽賀弁護士
第2回期日は、2023年の12月で、これは電話で行いました。
最近は紛争処理センターは、初回以外は電話でも手続きができることが多いので、便利になったと思います。
当方は、カルテも陳述書も出しましたので、この回は宿題はありませんでした。
保険会社の方は、カルテをもとに意見書を出しますということでしたが、まだ意見書ができていませんということで、引き続き宿題となりました。
第3回期日は2024年の2月にあったんですが、保険会社の方から、顧問医の意見書は出せないという話が出てきました。
理由はよくわからなかったんですけれども、保険会社は、意見書は出さないけれども主張書面を出しますということでした。
羽賀弁護士
そこから1ヵ月後に保険会社から出てきた主張書面は、労働能力喪失率は20%を認めるが、労働能力喪失期間については、障害への慣れなどが出てくる可能性があるので、25年に制限すべきとの内容でした。
これに対して当方から、労働能力喪失期間についての主張書面を出しました。
その中身ですが、まず労働能力喪失期間の基本的な考え方を記載し、後遺障害の内容から見て回復などは考えづらいということや、保険会社からの、靴を履けば実質的な支障はないのではないかという主張や、慣れが出てくるのではないかという主張に対しての反論を記載しました。さらに、後遺障害の程度に関連して、11級9号の中でもだいぶ重度であることと、重度であることから労働能力喪失期間を制限すべきでないと主張しました。
羽賀弁護士
さらに裁判例を提出しました。足趾可動域制限で後遺障害等級9級・11級・12級の裁判例を合計8例出して反論をしました。
羽賀弁護士
これで主張立証が出揃い、第4回期日の4月の時に、紛争処理センターから斡旋案が出てきました。資料の35ページです。
休業損害に関しては、時間とともに少しずつ回復していっているので、当方からの請求から一部減額し、286万円の請求に対して218万円の認定です。
一番金額が大きい逸失利益に関しては、労働能力喪失期間は67歳まで全期間を認めるけれど、他の部分で途中で少しずつ額を減らしていくとの判断が出ています。
最初の25年間はこちらの主張通り、女性平均賃金で、喪失率20%。52歳から60歳の間は、基礎収入は女性平均賃金で、喪失率は14%。つまり、慣れとかが出てくるんじゃないかということのようです。
そして、61歳から67歳の間については、これぐらいの年齢になると家事の負担も変わってくるのではないかという理屈のようで、女性平均賃金の8割、喪失率14%との内容の斡旋案が出てきました。
羽賀弁護士
斡旋案の中身ですが、基本的にこちらの主張に近いのですが、和解の話だからということなのか、一部譲歩を求められた感じです。全体の金額は、過失割合10%分の減額があるため、1,862万円ほどです。
最終的に、こちらも保険会社も斡旋案を受諾し、和解解決に至りました。
羽賀弁護士
足指の可動域制限という事案はそんなにはないかもしれませんが、1例をご紹介しました。可動域制限なので、喪失期間は67才まで認められやすいのかなと思いますが、裁判例の全てがそうなっているわけでもないので、そのあたりが理由で、紛争処理センターも一部調整した和解案を出したのかなと思います。
澤田弁護士
紛争処理センターの斡旋員は弁護士だと思いますが、和解提案のばらつきはありませんか?一人で担当なので、その弁護士の個性に左右されないか、どうですか?
羽賀弁護士
あくまで個人的な印象になりますが、紛争処理センターの斡旋案は結構安定している感じがします。こっちがびっくりするような斡旋案は出てこないっていう感じです。裁判官の方がびっくりするような和解案が出てくることがある印象です。
羽賀弁護士
ただ、和解の話になるので、上限のような和解案はなかなか出してくれないかもしれません。その代わり、ものすごく低い和解案もない印象です。
澤田弁護士
保険会社は斡旋に従わないといけないの?
羽賀弁護士
斡旋は保険会社も断れます。ただ、保険会社が斡旋案を断ることは多くなく、斡旋段階で解決できている事案の方が多い印象です。斡旋で解決できず裁定になると、保険会社は拘束されます。

「みお」のまとめ

損害賠償の項目のうち、後遺障害逸失利益は、弁護士が交渉すると大幅に増額する可能性がありますが、それ故、示談交渉で争点になりがちです。当事務所では、交通事故案件のほとんどについて示談解決をしていますが、示談解決できなかった場合は、裁判ではなく、紛争処理センターで解決している事例が多くあります。紛争処理センターは交通事故に特化した示談あっせん機関で、被害者側に有利な部分が多くあり、裁判ほど時間も手間もかかりません。
みお綜合法律事務所は、後遺障害等級認定の申請から示談交渉、紛争処理センターへの申立を多数行っていますので、交通事故の被害でお悩みの方は早めにご相談ください。

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