交通事故における主婦の休業損害(主婦休損)
監修者: 交通事故チーム主任弁護士
羽賀 倫樹 (はが ともき)
交通事故の問題は、当事務所のホームページをご覧になられた被害者の方が、無料相談にお越しになった後、そのままご依頼いただくというケースがよくあります。 記事をお読みになられて弁護士に相談をしたくなりましたら、お気軽にお問合せください。
- 相談者
- 私は主婦なのですが、交通事故で怪我をして、家事に影響が出ました。
休業損害の請求はできるのでしょうか?
- 羽賀弁護士
- 主婦の方について、交通事故の怪我で家事に影響が出た場合、休業損害が認められます。
弁護士に依頼しない場合、保険会社が認定しなかったり、認定したとしても低額にとどまることが多いので、弁護士に相談するのがおすすめです。
- この記事でわかること
-
- 主婦の休業損害が認められる根拠
- 主婦休損が認められるための条件
- 主婦休損の具体的な計算方法
- 主婦休損について弁護士に依頼するメリット
- こんな方が対象の記事です
-
- 交通事故による怪我で家事に影響が出た主婦の方
- 主婦休損の計算方法について知りたい方
- 主婦休損について弁護士に相談するメリットについて知りたい方
はじめに
会社員の方が交通事故に遭って仕事を休んだ場合、給料が下がった分について、相手方の保険会社から休業損害の支払を受けることができます。
主婦の方の場合はどうでしょうか。家事が十分にできなくなっても収入が下がるわけではないため、休業損害は認められないようにも思えます。この点ですが、交通事故の示談手続きの際は、主婦の方について交通事故の怪我で家事に影響が出た場合には、休業損害の支払が認められています。
ここでは、主婦の休業損害が認められる根拠・対象者・計算方法等について見ていきます。
主婦の休業損害が認められる根拠
交通事故の怪我で家事に影響が出た場合に休業損害が認められる根拠ですが、家事労働は家族内で行われるために給与が発生しないものの、第三者に依頼すれば対価の支払いが必要になるなど、本来は金銭的な評価が可能なものであるためです(最高裁判所昭和49年7月19日第二小法廷判決 民集第28巻5号872頁の内容を要約)。
主婦の休業損害の対象になる人
主婦休損の支払い対象になるのは、家族のための家事を主に行っている人です。理論上は、この要件に当てはまれば性別・年齢は関係ありませんが、男性の場合、要件に当てはまるとの立証が女性の場合と比較して格段に困難なのが実態です。また、高齢の方の場合、家族のために家事を行っている要素が大きくないとして、主婦休損が否定されたり、金額が低くなったりすることがあります。
家族のために家事をしつつ、仕事もしているという方も多いと思います。仕事もしている場合、実際の収入が女性の平均賃金より高いか低いかで結論が変わります。実際の収入が女性平均賃金より高い場合、主婦休損ではなく、実際の収入をもとに仕事を休業した部分についてのみ休業損害が認められるのが一般的です。実際の収入が女性平均賃金より低い場合、主婦休損の支払が認められるのが一般的です。
具体的計算方法
休業損害は、基礎となる収入×休業期間という計算式で算定されます。基礎となる収入・休業期間いずれも、被害者の方が弁護士に依頼するかどうかで認定内容が変わるため、主婦休損は弁護士に依頼することで増額になりやすいと言えます。
①被害者の方が弁護士に依頼しない場合の計算方法
被害者の方が弁護士に依頼せず保険会社と直接話をすると、基礎となる収入は、多くの場合、1日当たり6,100円(2020年3月31日以前に発生した交通事故の場合、1日当たり5,700円)とされます。
休業期間は、治療日数等を参考にしつつ実態に応じて算定されます。
なお、弁護士に依頼しない場合は、保険会社が主婦休損を支払おうとしないケースもありますので、注意が必要です。
②被害者の方が弁護士に依頼した場合の計算方法
被害者の方が弁護士に依頼して保険会社と交渉すると、基礎となる収入は、多くの場合、女性平均賃金をもとにして1日当たり約10,000円とされます(上記の最高裁判所昭和49年7月19日第二小法廷判決)。ただし、年齢・家族構成・身体状態・家事労働の内容等から、基礎となる収入が若干低くなるケースがあります。例えば、60才代・70才代・80才代の方について、女性の平均賃金ではなく、年齢別の平均賃金を使うケースがあります。また、80才代だけの年齢別平均賃金の統計はないため、80才代の女性について、70才代の女性の平均賃金の7割・8割程度を基礎収入とするケースもあります。
休業期間は、怪我の状況・通院状況・実際の家事への影響等を考慮して算定されます。
弁護士に依頼しない場合と比較すると、主婦休損の算定の際の基礎となる収入が高くなるのが特徴です。休業期間は、重視される要素が必ずしも一致しないため弁護士に依頼して認定される期間が長くなるかは何とも言えませんが、休損全体としては、ほとんどのケースで弁護士に依頼すると増額になると言えます。
弁護士への依頼の有無 | 休業損害の計算方法 |
---|---|
被害者自身で手続きする場合 | 1日当たり6,100円(2020年3月31日以前に発生した交通事故の場合、1日当たり5,700円) ※保険会社が払おうとしないことも |
弁護士に依頼した場合 | 1日当たり約10,000円 ※年齢や家族構成・身体状態・家事労働の内容等で変動 |
弁護士が交渉する場合の主婦休損の休業期間の実態
上記の通り、弁護士に依頼して交渉した場合、休業期間は、怪我の状況・通院状況・実際の家事への影響等を考慮して算定されます。ただ、類似するように思われる事案でも、最終的な認定内容のばらつきが大きく、見通しが立てづらいことが多いのが実態です。
みお綜合法律事務所の弁護士によるまとめ
主婦の方について、交通事故の怪我で家事に影響が出た場合、休業損害が認められます。ただ、弁護士に依頼しなければ、保険会社が認定しなかったり、認定したとしても低額にとどまることが多いと言えます。弁護士に依頼すれば、主婦休損が増額になる可能性が高く、その他慰謝料等も増額になるケースが多いと言えますので、ご相談いただければと思います。
更新日:2023年3月10日
交通事故チームの主任として、事務所内で定期的に研究会を開いて、最新の判例研究や医学情報の収集に努めている。研究会で得た情報や知識が、交渉などの交通事故の手続きで役立つことが多く、交通事故チームで依頼者にとっての最高の利益を実現している。
また羽賀弁護士が解決した複数の事例が、画期的な裁判例を獲得したとして法律専門誌に掲載されている。
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