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弁護士による交通事故研究会

制度研究
Vol.58

自動車事故と自転車事故・日常生活事故の相違点

本件の担当
羽賀弁護士

2022年08月12日

事例の概要

自動車事故と自転車事故・日常生活事故の相違点

議題内容

自動車事故と自転車事故・日常生活事故の、賠償保険や解決方法の相違点について検討しました。

議題内容

・解決までの流れ

・自賠責保険の有無の後遺障害認定や示談金額への影響

・任意保険の付保率・種類・特徴

・解決時の問題点

・弁護士費用特約の適用

・日常生活事故の具体例

参加メンバー
羽賀弁護士、澤田弁護士、伊藤弁護士、吉山弁護士、小川弁護士、山本弁護士、倉田弁護士、田村弁護士、加藤弁護士、石田弁護士、西村弁護士、原口弁護士
羽賀弁護士
今回のテーマは、「自動車事故と自転車事故・日常生活事故の相違点」です。
まず、解決までの流れですが、特に相違点はありません。事故が発生し、治療を進めて治療が終わり、後遺障害申請が必要なときは申請をして、最終的に示談交渉等で終了する、という流れはいずれも同じです。
羽賀弁護士
一番の相違点は、自転車事故と日常生活事故には自賠責保険が無いことです。
ただ、それによって実際の手続きが大幅に変わるかというと、そう変わらない部分もあります。
例えば後遺障害の申請ですが、自転車事故と日常生活事故は自賠責保険が無いので、任意保険会社に申請することになります。その際に後遺障害診断書を提出するのは、自賠責保険の場合と同じです。そして、等級認定は、任意保険会社が独自に行うパターンと、任意保険会社から自賠責調査事務所に意見を求めて、実質その判断で決まるという2つのパターンがあるようです。自賠責調査事務所に意見を求めるパターンであれば、実際の認定基準は自動車事故と同じになります。
自賠責保険がないことの一番大きな問題点は、自賠責保険の最低限の補償が適用されないため、過失割合が大きい場合は、示談金が大幅に減額になってしまうという点です。
𠩤口弁護士
自賠責調査事務所に意見を聞いたのではないか、というのはどのようなところから分かったのでしょうか。
羽賀弁護士
例えば、後遺障害等級認定票が自賠責調査事務所の書式になっているとか、保険会社に進捗を確認すると、今、自賠責調査事務所に回していますので、といった回答があったりとか、そんなところからですね。
𠩤口弁護士
なるほど。
羽賀弁護士
保険会社から、自社で独自に行うか、自賠責調査事務所に意見を聞くか、どっちにしますか、と聞いて来たこともあります。
吉山弁護士
その場合は、どちらを選択するのがいいのでしょうか。
羽賀弁護士
何とも言えないところです。中立性という意味では、自賠責調査事務所の方になりますが、自賠責調査事務所の判断は厳しいと感じることもあります。なお、現在もこのようにどちらかを選択できるという取り扱いがあるかは不明です。
羽賀弁護士
次は任意保険です。自動車であればほとんどの場合、任意保険が付いていますが、自転車になると、付けている率、つまり付保率は下がってしまうというデータがあります。
自動車の場合、対人賠償責任保険の付保率は、2021年の損害保険料率算出機構のデータでは、88.4%です。教職員共済等、一部の共済が漏れている数字のようですので、実際にはもう少し高くて、多分90%くらいになると思います。
それに対して、自転車事故の場合、付保率約62%というデータが出ています。こちらは、損保会社が一般の方へのアンケートから出した数字ですので、自動車保険と比較して正確なものかどうかは分かりませんが、自動車に比べると低いと言えます。
羽賀弁護士
現在、近畿2府4県は条例上の自転車保険義務化が進んでおり、その影響か、自転車保険の付保率はほぼ7割を超えています。唯一努力義務の和歌山県が、その影響か、50%台とやや低くなっています。
羽賀弁護士
次に、自転車事故に使える保険にどのようなものがあるかですが、一番分かりやすいのは自転車保険ですね。単純に、自転車に乗るから危ないということで付ける保険だと思います。
それ以外では、PTA関係で付けている保険があります。特に子どもによる自転車事故で、PTA保険で対応を受けているというご相談が結構あります。
羽賀弁護士
後は、TSマークの保険ですね。自転車の整備の際に付けるものですが、これは実際に事故があったときには使いにくい所があります。死亡事案と、1~7級の後遺障害事案にしか使えません。自転車事故で死亡事故・1級~7級の後遺障害が認定されるケースはあまりないのではないかと思います。また、賠償上限が、青色TSマークが1,000万円、赤色TSマークは1億円なので、上限を超える賠償になる恐れがあると言えます。令和2年度は、TSマークは214万枚交付されたそうですが、実際に賠償金を支払ったのは12件になっています。
羽賀弁護士
それから、自動車保険の特約で個人賠償責任特約が付いていることがあります。入院保険の特約に個人賠償責任特約がある場合もありますし、特約ではなく、個人賠償責任保険の単体の保険もあります。個人賠償責任特約や保険であれば、自転車保険よりも対象事故が広く、日常生活事故でも使うことができます。
加害者が事業者である場合、賠償責任保険を付けている場合がよくあるので、事業で使用されている自転車が加害者になった事故や事業者が加害者になる日常生活事故なら、賠償責任保険が使えるケースが多いと思います。
羽賀弁護士
自転車保険や日常生活事故に使える保険の場合、保険会社による示談代行が付いていないことが時々あります。
その場合、加害者側と直接交渉しないといけません。ただ、事業者が加害者になっている場合なら、それほど問題は無いことが多いと思います。また、加害者に弁護士がついていれば、交渉するのに特に問題はないと言えます。
羽賀弁護士
自動車はほとんどの場合、賠償額無制限の保険が付いていますが、自転車事故や日常生活事故の保険には、上限に1億、2億、3億などの制限が付いているケースがありますので、高次脳機能障害や脊髄損傷等大きな怪我の場合、上限を超えてしまうことも考えられます。
羽賀弁護士
それから、自転車事故や日常生活事故では、何故か、被害者の方が治療費の立替払いをされているケースが多い気がしますが、これはどういった事情があるのかよく分かりません。
羽賀弁護士
自転車事故の特徴の1つに、過失割合の判断が難しいというのがあります。自転車事故の場合、判例タイムズで類型化されているのは、対歩行者の場合だけで、自転車対自転車は類型化されていませんので、過失割合の判断が難しいケースが多くなります。
羽賀弁護士
日常生活事故だと、事故態様が色々あるので、より過失割合の判断が難しくなります。刑事記録も無いというパターンも多く、事故態様自体が分かりづらいこともあります。
羽賀弁護士
また、示談解決ができなかった場合、自動車事故と違って、紛争処理センターが使えないという特徴もあります。
羽賀弁護士
弁護士費用特約は、加害者が自動車の場合のみ適用というものもあり、自転車事故や日常生活事故では使えないケースがあります。
石田弁護士
日常生活事故の事故態様は様々と思いますが、具体的にはどんな事故がありますか?
羽賀弁護士
具体例ですが、資料でもお配りしていますが、実際に相談等があった日常生活事故の一部をご紹介しますと、台車に追突された、歩行者同士ぶつかった、施設内の椅子が壊れて怪我をした、ホテルのリネンカートに追突された、商業施設内で通路に置いてあった商品入段ボールにつまづいた、友人宅で友人がコップを持っていた手を滑らせて熱湯をかけられた等々、何でもあるという感じです。

「みお」のまとめ

自転車事故や日常生活での事故で怪我をした場合でも、加害者が賠償責任保険に加入していれば、示談交渉で示談金を獲得できる可能性があります。特に後遺障害が残った場合は、示談金の額が大きくなる可能性がありますので、相手側が保険に加入していることを確認の上、ぜひ弁護士にご相談ください。

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