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弁護士による交通事故研究会

事例研究
Vol.38

脊柱変形11級で、紛争処理センターを利用して解決した事例

本件の担当
羽賀弁護士

2020年08月26日

事例の概要

11級7号の後遺障害が残った事故の示談交渉が決裂し、紛争処理センターを利用して解決。

議題内容

自転車と自動車の衝突事故の示談交渉が決裂し、紛争処理センターへの申立・斡旋・裁定の流れで解決した事例について検討しました。

議題内容

・被害者側と加害者側、双方の主張の比較検討。

・紛争処理センターでの斡旋案と裁定内容の検討。

参加メンバー
羽賀弁護士、伊藤弁護士、吉山弁護士、小川弁護士、山本弁護士、倉田弁護士、田村弁護士、加藤弁護士、石田弁護士、松弁護士
羽賀弁護士
今回は、紛争処理センターに申立をして解決に至った事例をご紹介します。
お配りした資料は「申立書」と、「示談案」「保険会社の対案」「双方の主張の比較書」「紛争処理センターの斡旋案」「紛争処理センターの裁定内容」を付けています。
羽賀弁護士
事故は、神戸市東灘区で、約3年前の平成29年11月に起こりました。
ご依頼者のAさんが自転車、相手方が四輪車で、交差点での出会い頭の事故です。道路幅は、Aさん側は広路で相手方は狭路。基本過失割合でいうと10対90位です。
ただしAさんは、自動車と原付のみが対象ですが、一方通行規制があるところを、自転車で逆走されていました。
羽賀弁護士
怪我の状況は、第11胸椎圧迫骨折で、芦屋市の病院で15日間入院の後、約10ヶ月通院されて、平成30年の9月に症状固定。後遺障害は11級7号が認定されました。
その結果を受けて、示談交渉を始めました。具体的には2346万円を請求しました。
小川弁護士
Aさんは、おいくつですか?
羽賀弁護士
事故当時36歳、ご職業は会社員です。
小川弁護士
逸失利益は、一般的な数値で算出されたわけですね。
羽賀弁護士
はい。逸失利益は、11級の労働能力喪失率20%、労働能力喪失期間67歳までで請求をしました。
そうしたところ、保険会社から、簡単に言うと、支払はできません、という回答が返ってきました。
小川弁護士
どういう理由ですか?
羽賀弁護士
まず逸失利益ですが、喪失率は5%で、喪失期間は10年になるので、こちらの請求額の1/8位しか計上できませんということでした。
さらに、慰謝料なども若干低いという問題もあるんですが、なにより、過失相殺は50%ですと。その結果、金額はマイナスになってしまいます、という回答でした。
山本弁護士
喪失率5%は、後遺障害等級14級のレベルですね。
吉山弁護士
過失相殺が50%というのは、逆走を理由に?
羽賀弁護士
はい。「事故状況は、こちらが狭路でそちらが広路だけれど、一応一方通行規制があっての逆走状態なので、そちらの過失割合は高くなります」というのが向こうの主張です。
吉山弁護士
それは話になりませんね。
羽賀弁護士
そうなんです。こちらとしては、これでは話にならないということで、紛争処理センターへ申立を行いました。当初のこちらの請求は、示談案通りの額で、双方ほぼ同じような主張でしたので、当然和解にはならず、センターから斡旋案が提示されました。センターの算定原票は、お配りした資料の中にあります。
結果的には、おおむね、こちらの予想した位の斡旋案を出して頂けました。
田村弁護士
そういう結果になったのは、どういう判断からでしょうか?
羽賀弁護士
入通院慰謝料が、大きくはないですが争点になっていました。入通院慰謝料は通院期間でとるのか通院日数でとるのか、というところで、若干、間を取るような感じではあるんですが、基本的には通院期間の方でとる、ということで、167万円の請求に対して約159万円になりました。
一番の争点であった逸失利益は、基礎収入は争い無しでよいとして、労働能力喪失率はこちらが20%で請求しているのに対して、脊柱変形11級7号なので、他覚的所見のある神経症状と同様に考えて14%とします、ということと、脊椎の変形に起因する神経症状なので、改善の見込みは薄いということで、就労可能期間全期間31年のライプニッツ係数で計算しますということで、大体予想通りの斡旋案が出て来ました。
過失割合も、単純にこちらが広い道路で、相手の方が狭い道路なので、10対90です、ということになって、総額約1629万円という内容で出して貰いました。
山本弁護士
保険会社の反応はどうでしたか?
羽賀弁護士
保険会社は元々0円と言っていたので、当然、納得できない、受け入れられない、ということで、審査に移行しました。
で、審査の結論ですが、斡旋案との比較で見てみますと、変更になった主なところは、逸失利益と過失相殺ですね。ここで若干こちらの方に不利な形で変更されまして、最終支払いが、約1,457万円ということで、こちらも受け入れて、解決になりました。
加藤弁護士
逸失利益が下げられたのは、どういう理由からですか?
羽賀弁護士
労働能力喪失率は、症状固定後20年間は14%、その後の11年間については10%ということで、少し、後ろの方の喪失率が下げられました。また、基礎収入はについて、60歳までは実収入で、60歳から67歳については、少し下げて年齢別平均賃金を使って算定する、として若干金額が下がりました。
石田弁護士
基礎収入の考え方について、どう思われますか?Aさんの場合はそのまま当てはめるのに、疑問を感じますが。
羽賀弁護士
喪失率を若干下げるというのは、赤本にも、そういった認定方法もあり得るという記載があるので、分からないではないんですけれど、60歳以降の基礎収入を下げる部分は、ちょっと引っかかりました。
というのも、Aさんは36歳なので、多分今後の収入としては、若干上がっていって、その後50代・60代になると下がるというカーブを描くのが、一般的だと思うので、途中まで実収入で、最後で下げるとなると、若干不利な認定になるように思いました。
吉山弁護士
過失相殺は、結局いくらになったんですか?
羽賀弁護士
斡旋案では10%だったのが、15%に変更されています。
自動車同士であれば、完全に加害者の方が優先される道路状況だというのを一応考慮に入れているみたいで、普通の広路・狭路よりも、若干こちらの優先性が低い、という認定をされています。
羽賀弁護士
裁定案としては若干不利になっていますし、こちらとしても、ちょっとどうかなと思う所はあったんですけれども、実際のところ、仕事への影響はあまり大きくない様子でしたので、センターの裁定を受け入れまして、最終解決ということになりました。
吉山弁護士
仕事上の支障とか減収とかは、結構、資料を出して立証するんですか?
羽賀弁護士
そうですね、斡旋段階で、陳述書を出すように言われて出しています。裁定では、ご本人が来てくださいと言われて、色々聞かれて、そんなに影響なさそうかなということで、調整されたのかなと思います。
田村弁護士
その場でご本人に、あれこれ聞かれたんですか?
羽賀弁護士
そうですね。その場で、仕事はどんな内容ですか、どういう影響がありますかとか。
小川弁護士
ある程度の準備をしておいたんですか?聞かれたらこう答えてとか。
羽賀弁護士
そうですね。Aさんには事前に、「陳述書を出していますので多分その内容を聞かれると思います」とご説明しました。
羽賀弁護士
以上、紛争処理センターの判断の一例として参考にしていただければと思い、ご紹介しました。

「みお」のまとめ

交通事故の問題のほとんどは、示談交渉で解決しています。ただ、保険会社との主張内容の差が大きく、交渉決裂になることもあります。そうなったら、交通事故紛争処理センターの利用を検討します。紛争処理センターは、裁判より、時間や費用の負担が少ないというメリットがあり、かつ、裁判に近い形での解決が可能です。当事務所でも、センターを利用しての解決事例が多数あります。
弁護士に相談したら大ごとになるのではないかとご心配の方や、保険会社との交渉がうまくいかずお悩みの方も、ともかく一度ご相談いただけたらと思います。

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