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弁護士による交通事故研究会

制度研究
Vol.31

交通事故のADR手続き (裁判外紛争解決手続き)

本件の担当
羽賀弁護士

2020年02月05日

事例の概要

ADR=裁判外紛争手続の機関の中で、交通事故に関わるものを取り上げて比較検討し、運用の現状等の確認を行いました。

議題内容

  • 『交通事故紛争処理センター』と『日弁連交通事故相談センター』の比較。
  • 自賠責保険の、『自賠責保険共済紛争処理機構』と『異議申立』の比較。
議題内容

・ADRの制度と種類について。

・『交通事故紛争処理センター』の概要。

・『日弁連交通事故相談センター』の概要。

・『自賠責保険共済紛争処理機構』の概要。

・自賠責保険の『異議申立』の概要。

参加メンバー
澤田弁護士、伊藤弁護士、小川弁護士、羽賀弁護士、吉山弁護士、田村弁護士、石田弁護士、山本弁護士、加藤弁護士、松弁護士
羽賀弁護士
今回のテーマは、「交通事故のADR手続き」です。
吉山弁護士
ADRは、一般の方にはあまり知られていませんね。
羽賀弁護士
そうですよね。ADRは、Alternative Dispute Resolutionの略称で、「裁判外紛争解決手続」と訳されます。訴訟によらない解決ですね。
ADRの機関は様々ありますが、今回は、交通事故問題を専門に取り扱う、『交通事故紛争処理センター』(以下、『紛争処理センター』)、『日弁連交通事故相談センター』(以下、『日弁連センター』)、『自賠責保険共済紛争処理機構』の3機関についてお話ししたいと思います。
加藤弁護士
ADRは、交通事故の損害賠償について、「示談」から「訴訟」に進む前の段階で、被害者と相手側との示談交渉を仲介するシステム、というところでしょうか。
澤田弁護士
手数料はかかりますか?
羽賀弁護士
どちらも公益財団法人で、相談回数の制限などがあることもありますが、手数料はゼロですね。
吉山弁護士
『紛争処理センター』と『日弁連センター』はよく似ているのでは?どのような点が違うのでしょうか。
羽賀弁護士
はい。そこでまず、この2つのセンターの比較をしたいと思いますが、簡単に言えば、どこの損保会社や共済に利用できるかの違いになります。
羽賀弁護士
『紛争処理センター』の方が、受け入れ対象が広いと言えます。「日本損害保険協会」に加盟する保険会社や、「外国損害保険協会」に加盟する保険会社は、『紛争処理センター』の審査を尊重します。例えば、「三井住友海上」「東京海上」「損保ジャパン日本興亜」「あいおいニッセイ同和」「チューリッヒ」「AIG損保」とかの有名所が相手方だったら、こちらの方への申立をすれば、審査で相手方の保険会社を拘束できます。
田村弁護士
審査会の裁定が出て、被害者が同意すると、相手側の保険会社や共済組合は不服申立ができないということですよね。
羽賀弁護士
そういうことです。
吉山弁護士
『日弁連センター』の方はどういうところに利用できますか?
羽賀弁護士
『日弁連センター』だけを対象にしているのは、「教職員共済生協」とか、「自治協会・町村生協」「都市生協」「市有物件共済会」「自治労共済生協」と、交通事故の処理をしていてもあまり聞くことがない共済になります。
倉田弁護士
『紛争処理センター』も『日弁連センター』も、両方利用できるところもありますよね。
羽賀弁護士
どちらも使えるのが、「JA共済連」、「全労済」、「トラック共済(全国トラック交通共済協同組合連合会)」、「全自共(全国自動車共済協動組合連合会)」、「日火連(全日本火災共済協同組合連合会)」です。近畿圏で交通事故の相談を受けていると、トラック共済は近畿交通共済、全自共は西日本自動車共済をよく聞くと思います。
羽賀弁護士
結局、相手方がどの保険会社や共済に加入しているかで、『紛争処理センター』と『日弁連センター』を使い分けることになります。
ただ、「日本損害保険協会」「外国損害保険協会」に加入している保険会社と、「JA共済」「全労済」「トラック共済」等が、『紛争処理センター』を使えますので、ほとんどの事案は紛争処理センターの方になります。私は『日弁連センター』を使ったことはありません。
一応2つの機関はありますけども、殆どの場合『紛争処理センター』なのかなという印象です。
加藤弁護士
『紛争処理センター』は、申立人の住所地か事故地のセンターが管轄とされていますが、全国に11カ所しかないんですよ。
澤田弁護士
そうなんですね。
羽賀弁護士
『日弁連センター』は管轄の規定が無くて、しかも、センターが全国に43カ所あります。京都や神戸にも相談所があります。『紛争処理センター』は近畿管内で言うと大阪にしか無いので、京都・神戸の方は使いづらい可能性があるので、場所的なメリットから『日弁連センター』の方を使う、という事もあるかなと思います。
羽賀弁護士
以上が、『紛争処理センター』と『日弁連相談センター』の紹介です。「交通事件処理マニュアル」という資料にも比較表がありますので、またこれもご覧頂けたらと思います。
羽賀弁護士
次に自賠責保険の、『自賠責保険共済紛争処理機構』(以下、『紛争処理機構』)と『異議申立』の比較です。つまり、自賠責の異議申立をするか、『紛争処理機構』を使うのか、という問題になります。
比較をすると、『異議申立』は何回でもできますけれども、『紛争処理機構』は1回しか申立てができません。
羽賀弁護士
使い分けのポイントとしては、証拠を出せるか出せないかという点にあります。『異議申立』の方は、新しい証拠が無いと却下の様な扱いにされるのに対して、『紛争処理機構』はむしろ新証拠を出さないでくださいと。これまで出された証拠を前提に、こちらで判断します、と、いうことになります。
※現在(2025年時点)は、紛争処理機構に対し新証拠を提出できる運用に変更になっています。
羽賀弁護士
判断理由ですが、『異議申立』の方は、それなりに示されますけれど、簡単と言えば簡単だったり、よくわからない理由であったりする場合もあります。
それに対して『紛争処理機構』の判断理由は、詳細なものが出て来る傾向があります。
一例を挙げると、『異議申立』の方の判断理由は、実質1ページの半分もあるかどうか位のものでした。一方『紛争処理機構』の方は、3ページ前後に渡って詳細な理由が書かれていました。
羽賀弁護士
『紛争処理機構』の詳細についても、「交通事件処理マニュアル」に説明がありますので、合わせてご覧頂だけたら、と思います。
ADR手続きにつきましては以上です。
澤田弁護士
『日弁連』と『紛争処理センター』、どちらも使える場合、どちらが速いですか?
加藤弁護士
『日弁連』の方は、以前、京都相談所を使おうとした時に、待ち時間がすごそうだったので、結局やめて、大阪まで行って『紛争処理センター』を使いました。今はどういう感じか判らないんですけど、それ以降、私は、大阪の『紛争処理センター』を使ってます。
羽賀弁護士
両方とも使える共済として「JA共済連」とか「全労済」とかがあるので、その場合どうするか、っていうのはあるかもしれないですね。

「みお」のまとめ

交通事故の手続きを弁護士に依頼いただいた場合、多くの事案で示談による解決が可能です。ただ、一部の事案は示談での解決ができず、ADR手続きによる解決を図っています。弁護士に依頼いただいた場合、示談で解決すべきかADR手続きに移行すべきかについての判断についても弁護士に任せることができます。
なお、実態として、多くの場合、紛争処理センター申し立てをすれば十分な金額での解決ができていますし、万が一被害者の方が裁定に不服な場合、訴訟に移行することができるというメリットもあります。
当事務所では、できるだけ示談交渉がまとまるように手続きを進めますが、まとまらなかった事案は紛争処理センターへの申立てを行うことがあります。事案に応じて適切な解決手段を選択することができるのも、弁護士に依頼するメリットの一つと言えます。

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