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弁護士による交通事故研究会

事例研究
Vol.84

脊柱変形の後遺障害等級認定に対する異議申立事案

本件の担当
羽賀弁護士

2025年08月20日

事例の概要

バイク事故で腓骨脛骨骨折と第12胸椎・第5腰椎圧迫骨折の怪我をされた方について、後遺障害の認定申請をしたところ、脊柱変形で8級が認定されたものの、第5腰椎圧迫骨折は、事故前のものとして既存障害11級もあわせて認定されました。これに対して異議申立をして既存障害11級は取り消しになり、適正な示談金を獲得しました。

議題内容

議題内容

・最初の後遺障害等級認定申請の経緯と結果。

・既存障害11級認定に対する異議申立の経緯と結果。

参加メンバー
羽賀弁護士、澤田弁護士、伊藤弁護士、吉山弁護士、小川弁護士、山本弁護士、倉田弁護士、田村弁護士、加藤弁護士、石田弁護士、西村弁護士、原口弁護士、青井弁護士
羽賀弁護士
今回は、当事務所へのご依頼者で、バイク事故で怪我をされた方について、後遺障害等級認定に対して異議申立をして認められた事例を紹介します。
事故は2022年2月に発生しました。事故の状況は、ご依頼者がバイクで青信号の交差点に進入したところ、赤信号無視の四輪車が交差点に入って来て衝突したものです。そのため、過失割合は100対0です。
羽賀弁護士
ご依頼者はこの事故で、右脛骨腓骨の骨折と、第12胸椎・第5腰椎の圧迫骨折をされました。
羽賀弁護士
症状固定になったのは2024年11月です。
主治医の先生に後遺障害診断書を作成してもらいましたが、第12胸椎・第5腰椎圧迫骨折の記載と、それぞれの脊椎の椎体高を記載してもらっています。
羽賀弁護士
第12胸椎は半分以上潰れていると記載されており、こちらの方で8級の認定が出ると考えられました。一方、第5腰椎圧迫骨折は、椎体高からすると、ほとんど潰れていないという記載がありました。
脊柱圧迫骨折の後遺障害等級認定の際は椎体高が重要になります。後遺障害診断書に椎体高の記載がありますが、こちらでも画像の確認をしました。第12胸椎は、事故から1ヶ月後の測定値は、前方が20ミリ、後方が34ミリで半分も潰れていませんでした。これに対し、症状固定日のレントゲンでは、前方が15ミリで後方が34ミリとなっていましたので、画像上も8級になると考えて、後遺障害の申請を行いました。
羽賀弁護士
その結果、全体の後遺障害としては予想通り8級が認定されました。ただ、問題は第5腰椎圧迫骨折の方で、こちらは画像上経時的変化が見られないとして、事故前からの既存障害11級の認定が出てしまいました。
山本弁護士
脊椎の圧迫骨折は、時々交通事故で生じたものであるか争いになることがあるように思います。1個の椎体の圧迫骨折ということが多いので、例えば、後遺障害等級が11級か非該当かのケースが考えられます。
羽賀弁護士
そうですね。ただ、今回は圧迫骨折が2か所で、1か所は交通事故によるもので椎体高が半分以下、もう1か所は事故前からのものという認定になったため、既存障害の問題になりました。
既存障害11級が認定されるとは予想していなかったため、異議申立を検討しました。自賠責では画像所見が重視されるので、再度レントゲン等の画像の精査をしました。
羽賀弁護士
第5腰椎を拡大して色々見たところ、わずかですが圧潰が進んでいるように思われました。ただ、撮影方向とか角度に若干ズレがあると思われるため、誤差の範囲とも思える状態でした。
山本弁護士
確かに画像を見ても大きな変化はないように見えます。圧迫骨折があると徐々に圧潰が進むところ、この画像だけでは認定が変わらない可能性もありそうです。
羽賀弁護士
そのように考えました。レントゲン画像だけでは証拠として弱い可能性があるので、第5腰椎圧迫骨折が事故によって生じたものか事故の前からのものなのか、主治医の先生に照会したところ、今回の交通事故によって生じたものだとの回答がありました。
その理由は、事故の数年前に撮影していたレントゲン画像では、第5腰椎は変形していないためというものでした。
羽賀弁護士
また、こちらの主張を補強するため、事故前に腰の治療歴があったかどうかを、健康保険組合へ確認しました。その結果、事故前治療歴はないとの回答が得られました。
椎体高の点・主治医の先生の意見書・事故前治療歴がないことを基に、第5腰椎圧迫骨折が、事故前からのものではなく事故によって発生したものだと主張をして、異議申立を行いました。
羽賀弁護士
その結果、第5腰椎圧迫骨折は事故前のものではなく、今回の事故により発生したものとして、既存障害11級は取り消され、8級が認定されました。
その理由ですが、第12胸椎と第5腰椎の圧迫骨折は、骨折の状態や経時的な圧壊の進行が認められること等から、いずれも本件事故によるものと捉えられるというものです。
羽賀弁護士
11級の認定が外れましたので、自賠責保険からは331万円が追加で支払われました。
また、示談金の観点では、後遺障害慰謝料が400万円増えます。また、既存障害11級があると、後遺障害逸失利益の労働能力喪失率が、単純計算で20パーセント分削られますが、それがなくなりましたので、合計では1000万円単位で示談金額が変わる可能性が考えられます。
山本弁護士
後遺障害等級認定後の示談交渉の状況はどうなっていますか。既存障害が取り消されて金額はどうなりましたか。
羽賀弁護士
最終的に2819万円で示談解決しています。
11級の既存障害が取り消され、後遺障害逸失利益と後遺障害慰謝料が削られなかったため、金額が大きくなったと言えます。

「みお」のまとめ

脊椎の圧迫骨折や破裂骨折により脊柱変形障害が残った場合、後遺障害は11級・8級等が認定される可能性があり、保険会社からの示談金額も大きくなります。紹介したケースでは、脊柱変形で8級が認定されたものの、既存障害として11級が認定されたため、そのままでは、示談金額が半分程度になることが考えられました。
本件は、様々な追加資料を提出した結果、11級の既存障害は取り消されました。これにより適切な示談金が得られる前提が整ったことになります。
後遺障害等級が高位になると、保険会社からの示談金額も大きくなり、弁護士に依頼するかしないかによる金額差も大きくなります。本件は2819万円と十分な金額になったことから、示談交渉で解決ができました。

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