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弁護士による交通事故研究会

事例研究
Vol.39

頚椎由来の症状について後遺障害等級12級13号が認定された事例

本件の担当
羽賀弁護士

2020年11月09日

事例の概要

当初の後遺障害申請では14級9号が認定されたが、異議申立をした結果、12級13号が認定された。

議題内容

頚椎由来の症状について、12級13号が認定される要件

議題内容

・後遺障害等級認定請求の自賠責保険会社とのやりとりについて。

・事故態様、症状、検査画像や検査所見などの確認と検討。

・交通事故の後遺障害等級認定申請の場面での、検査画像の見せ方と、12級13号認定のための条件。

参加メンバー
羽賀弁護士、伊藤弁護士、吉山弁護士、小川弁護士、山本弁護士、倉田弁護士、田村弁護士、加藤弁護士、石田弁護士、松弁護士
羽賀弁護士
今回は、事故で頚椎由来の手のしびれ等の後遺障害が残った方の、等級認定の事例を紹介します。
ご依頼者のNさんは、去年の2月に大阪府の田尻町で事故に遭われ、約3週間入院されました。その後は通院で治療を受け、10月に症状固定になりました。追突事故で、頚椎の怪我をされてしまいました。
ご依頼いただいて受任したのは、治療開始から少し後の3月初めです。
倉田弁護士
後遺障害等級の申請はどのようにされましたか?
羽賀弁護士
10月の症状固定後に、被害者請求で行いました。
申請の際は、『後遺障害診断書』と、むち打ち症の時などに使う『症状の推移について』『頸椎・腰椎の神経症状について』『神経症状の所見の推移について』という書類を主治医の先生に書いて頂いて、資料として提出しました。
その結果認定された等級は、予想通りといえば予想通りなのですが、14級9号でした。
山本弁護士
12級にはならなかったんですね。頚椎由来の症状は14級が認定される場合が多いですね。
羽賀弁護士
後遺障害等級の認定票には、筋力低下や腱反射の異常があるものの、手指のしびれ、電撃痛、右腕の不随運動などの症状については、頚部の画像において、圧迫骨折、脱臼等の器質的損傷や、髄内に明らかな輝度変化が認められないとの指摘があり、12級ではなく14級が認定されました。
羽賀弁護士
つまり、この症状であれば、12級の対象となりうる、と。そして、筋力低下、腱反射の異常という所見があるので、神経学的所見はある程度認められるけれど、画像が弱いため12級は否定されたのだと理解しました。
吉山弁護士
自賠責保険では、MRIの検査結果が重視されていますからね。
14級は「障害の存在が医学的に説明可能なもの」という考え方ですし、12級は「障害の存在が医学的に証明できるもの」としています。「医学的に証明できる」とは、言い換えると、他覚所見が存在するということです。他覚所見として、①症状と整合する画像診断と、②神経学的な異常所見が認められなければ、12級は認定されないと思われます。
羽賀弁護士
そこで、Nさんの画像を再確認して、後遺障害等級の異議申し立てが認められるかどうか検討することにしました。
山本弁護士
脊髄損傷を証明するには、MRI画像が必要になりますね。
羽賀弁護士
おっしゃるとおりです。NさんのMRI画像で、どこかに、ヘルニアなり、脊髄の損傷を示すものがないか、確認していきました。
羽賀弁護士
(画像を示しながら)頸椎の5番6番の部分がちょっと出っ張っているのが見えるでしょうか?それと、この辺ですね、うっすらなんですが、脊髄の黒い中に若干白いのが見えるというのと、次の2枚目の画像でも、5番6番の所が出ているのと、脊髄に縦の白い線が映っているのが見えます。さらに3枚目のこの画像でも、5番6番が出ているのと、脊髄の部分が白くなっている。
加藤弁護士
4枚目の画像もそうですね、同じ部分が出っ張っていて、脊髄の中に白い部分があります。
羽賀弁護士
先程お話ししたように、最初の被害者請求の時は、自賠責保険から、「明らかな画像所見が無いので、14級9号」という回答が来たんですが、ヘルニアがあるし、画像上、輝度変化が出ているように見えるので、画像に、この辺ですよっていう矢印を付けて、判断してもらいやすいようにしました。
羽賀弁護士
異議申立書で主張したのは、MRIの画像から見て、頸椎ヘルニアが脊髄を圧迫しているのが明白で、輝度変化が生じている、という点です。その他にも、上肢のしびれや手指先巧緻運動が拙劣(注:不器用になった)という自覚症状が出ている、腱反射亢進といった所ですね。こういった点を強調して、後遺障害等級の異議申し立てをしました。その結果、12級13号の認定となりました。
田村弁護士
等級変更の理由はどう書かれていましたか?
羽賀弁護士
「頚部の画像について再度検討した結果、骨折脱臼等の異常所見は認められないが、C5・6で脊髄への圧迫所見が認められ、かつ髄内輝度変化が認められる」という内容でした。
羽賀弁護士
後、最初の被害者請求の時にもある程度出していたんですけれど、もうひとつの等級認定のポイントである神経学的所見の部分ですね。「運動機能は、筋力の低下、徒手筋力テストがMMT4と、最大5の所が4ということで若干低下している」という所と、腱反射について、左右上腕三頭筋亢進、という所ですね。
腱反射の亢進は脊髄損傷を示す所見だと認められていますので、そこで一致しているということなどを踏まえると、全指先のしびれ等の症状については他覚的に神経系統の障害を証明されるものと捉えられることから、“局部に頑固な神経症状を残すもの”として、12級13号に該当する、という判断が得られることになりました。
羽賀弁護士
先程山本先生も言われていましたが、頚椎由来の症状は、後遺障害として認定されたとしても、14級の認定となることが多いですが、今回珍しく、全ての条件が揃い12級が出た事案を紹介しました。
現在、Nさんの案件は、この12級13号を元に、保険会社と示談交渉を進めています。
吉山弁護士
Nさんは、どういう事故に遭われたんですか?
羽賀弁護士
大阪府田尻町の国道で、貨物自動車に追突されました。車の修理費が90万円位と結構かかっているので、衝撃は相当大きかったようです。
加藤弁護士
退院後はずっと通院されてたんですか?
羽賀弁護士
事故後、泉佐野市の病院に3週間入院されて、その後7ヶ月ほど通院。かなり詰めて通院されていて、2日に1回位は行かれていた、そんな感じです。
加藤弁護士
資料として付けた、『病状の推移』とか、『神経症状に付いて』とか、その他お医者さんに書いていただいている書類ですけれど、これは最初から提出されていたんですか?
羽賀弁護士
そうですね、これは、最初から提出をしています。
症状は相当出ていたので、症状の内容から言うと12級が認定されてもおかしくはないような内容だったのと、画像も一応あると聞いていたので、先に調査しておいた方が良いかなと考え、作成・提出しました。
加藤弁護士
了解です、有り難うございます。
吉山弁護士
最初相談に来られたときから画像所見の説明があったということで、被害者請求の段階で、羽賀先生の見立てとしてはどのように思われていましたか?
羽賀弁護士
12級が認定される可能性もあるとは感じていましたが、やはり14級だろうなと思っていました。
吉山弁護士
先生が担当された事案で、12級13号が認定された事案はこれが初めてですか?
羽賀弁護士
初めてです。しびれ・放散痛等の症状、症状の部位と一致するヘルニア等の所見、症状の部位と一致する神経学的所見が必要ですので、頚椎由来の症状について12級が認定されることはほとんどない印象です。12級が認定された事例を紹介しておいて言うのもなんですが、頚椎由来の症状について12級は期待しない方がいいと思います。
今回、一応材料は揃っているけれども、やはり難しいだろうなと考えて後遺障害申請をしました。ただ、12級13号が否定されたのは、画像所見だけが理由でした。そこで画像を確認して、やはり画像所見はあると判断できたので、異議申し立てを行い、12級が認定される、という流れになりました。

「みお」のまとめ

交通事故による怪我で後遺障害が残ったら、後遺障害の等級に応じて示談金を受けることができますが、等級によって金額が大きく変わるので、適正な等級を得ることが必要です。等級認定の審査には、『後遺障害診断書』と『検査画像』、その他検査所見が重要な資料となります。今回のNさんの場合、等級判定の大きなポイントになった髄内輝度変化は、受傷直後のMRIで確認できました。
交通事故で怪我をされ、今後どう対応していいか不安を感じられたら、早いうちに、一度交通事故に強い弁護士に相談されることをお勧めします。相談すべきかどうか迷っておられる方もお気軽にお問合せください。

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