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弁護士による交通事故研究会

事例研究
Vol.14

後遺障害等級5級2号の被害者に将来介護費が認められた事例

本件の担当
吉山弁護士

2018年07月07日

事例の概要
  • 被害者は20代。高次脳機能障害の後遺障害で、5級2号の認定を受けた。
  • 保険会社により、等級及び将来介護費の必要性を否定される。
  • 裁判での鑑定手続きに対応。
  • 将来介護費まで含めた適正な賠償金を獲得。

議題内容

  • 後遺障害等級5級の場合の将来介護費の獲得について
  • 裁判の鑑定手続きについて
議題内容

被害者の介護の必要性・将来の見通しに関して保険会社と争いが生じ、訴訟を提起。

参加メンバー
澤田弁護士、伊藤弁護士、吉山弁護士、小川弁護士、山本弁護士、羽賀弁護士、倉田弁護士、田村弁護士、加藤弁護士
吉山弁護士
2009年11月、Oさんが原付で青色信号に従って交差点に進入したところ、赤色信号を見落として走行してきた自動車に衝突され、急性硬膜外血腫、左下腿骨折などの怪我をされました。
治療が終わって症状固定したのが、事故から約1年半後の2011年6月頃。2012年の初め頃に、相手側保険会社の指示で、必要書類を揃えて事前認定を受け、後遺障害等級5級2号を受けておられます。
吉山弁護士
この等級認定が適正なのか、適正な額の賠償金を払ってもらえるのか、不安に思ったOさんのご家族が、2012年に相談に来られました。
その時、弁護士基準の賠償額の目安をお伝えしていたんですが、相手側の保険会社から示談案が出て見ると、私がお伝えしていた金額とは程遠いものでした。それで依頼を決意され、2回目のご相談を承って、受任をしたという流れです。
羽賀弁護士
保険会社の初回提示金額はいくらだったんですか?
吉山弁護士
自賠責保険金約1,500万円を含めて、4,400万円ほどでした。
改めて弁護士基準に従って賠償額の算定を行い、保険会社との交渉を開始しました。被害者のOさんは、高次脳機能傷害により記憶障害などがあるため,家族による近親者介護、近親者介護ができないときは職業介護人による介護が必要と思われたことから,将来介護費を含めて請求しました。
羽賀弁護士
後遺障害等級5級2号だと、将来介護費まで認定されるケースは少ないですよね。
吉山弁護士
保険会社も、将来介護費は任意交渉では認められないということだったので、示談での対応は困難でした。Oさんはご自身の将来に大きな不安があり、適正な賠償を受けたいと考えておられ、ご家族の意向もあって、時間がかかるかもしれないけれど、訴訟をする決心をされました。
吉山弁護士
裁判になると、保険会社は、被害者が既に5級の認定を受けているのに、後遺障害等級は7級相当だ、とか、5級だと労働能力喪失率は79%なんですが、それも56%程度であるとか、日常生活は自立しているから将来介護費は不要である、といった主張をしてきました。
その結果、保険会社とはシビアな争いになり、医師による鑑定手続(※注1)をとることとなりました。

※注1:裁判所が選任する、然るべき専門医に公平な第三者としての意見を求める手続のこと。
澤田弁護士
鑑定の申出は、被告の保険会社の方から出されたんですか?
吉山弁護士
そうですね。将来介護費を含むとなると、賠償金の額がかなり大きくなりますから、保険会社としては何としても主張を通したかったのだと思います。
2016年1月に鑑定申出があって、鑑定事項に関する意見陳述があって、じゃあ鑑定しましょうという決定が出たのが10月、実際に鑑定書が出て来たのが、翌年の1月29日です。
澤田弁護士
えらく時間がかかるものなんですね。
吉山弁護士
そうですね。鑑定に慣れている医師を探すのも時間がかかるようですね。
でも、この鑑定の結果、被害者が取得した後遺障害等級5級の方が相当であるという判断をされた上に、将来介護も必要であろうという点も確認いただきました。
伊藤弁護士
保険会社の主張は否定されたんですね。5級でも将来介護の必要性が認められて、時間がかかりましたが、結果としては鑑定を受けてよかったですね。待つ立場のOさんやご家族は辛かったと思いますが。
吉山弁護士
よく辛抱していただけたと思います。
私の方としても、鑑定が決まった時点で、高次脳機能障害による症状だけでなく、足の障害もあるので、杖をついて日常生活を送らなきゃいけないという症状も含めて、具体的にどのような場面で介護が必要になるのか、その内容について専門的知見を鑑定書に記載してもらえるよう、鑑定事項について、このような点を見て欲しいという詳しい意見書を提出しました。
吉山弁護士
さらに、ご自宅にうかがって、家族の構成や年齢、就労状況、日常生活、などをお聞きし、どういう状況でサポートされているのか確認しました。また、Oさんは現在、1日4時間くらい、週3~4日は仕事ができているんですが、コミュニケーションがとりにくかったり、短期記憶障害で言われたことをすぐ忘れてしまうなどのご苦労もあるということで、就労場所での支援についても詳しく聴き取り調査をしました。そしてこれらの介護内容についての日常生活報告書をご家族の陳述書という形で裁判所に提出し、将来介護の必要性について主張しました。
羽賀弁護士
介護費用の請求の裏付けになるから、具体的な内容の日常生活報告書の提出は重要ですよね。
吉山弁護士
はい。結果として、裁判所から提示された和解案は、5級2号の認定に基づいて、将来介護費についても近親者介護が日額3,000円、近親者介護が終わった後の、職業介護人による介護として日額7,000円を認めてもらい、総額1億1,700万円を保険会社が支払うという内容になりました。
なお、弁護士費用は、弁護士特約に加入されていましたので、300万円を保険会社が負担し、それを超える部分についてはご本人の負担ということになりました。
山本弁護士
5級で、なかなかここまで将来介護費を認定されるってないですよ。保険会社は、和解案をよく呑みましたね。
吉山弁護士
正直この和解案が出てきたとき、保険会社は呑まないだろうと思いました。実は、2017年の1月に鑑定書が出た時点でも、保険会社は再鑑定をしてほしいと言い出して、十分な鑑定をしてもらってるじゃないですかと反論した経緯があったんです。ですから、控訴されるかもしれないな、とか、若干譲歩して和解をするのか、場合によっては判決を貰うかとか、色々考えていたんですが、意外にも保険会社がこれを受けたので、こちらも喜んで和解案を受けるということになりました。
加害者の方が、今でも毎月被害者のご自宅に電話されて、様子を聞かれているということなんで、ひょっとしたら、そちらからも和解するようにプッシュがあったのかもしれません。
加藤弁護士
鑑定が採用されるって、結構レアなケースかなって思うんですが、鑑定するについて、何かやり取りとかはありましたか?
吉山弁護士
こちらとしては、別に鑑定すること自体問題が無かったんで、特に争わなかったですね。
裁判所も、特段嫌がってはいなかったと思います。
澤田弁護士
保険会社にしてみたら、こっちの主張を弾劾する目的で鑑定を申し出たのに、後押しするような結果出て、それなのにまた鑑定って、それはないですよね。
もし鑑定がなかったら、こういう場合、こちらの主張をどう立証したらいいのかな?診断書ですかね。
吉山弁護士
診断書と、あと、準備するとしたら、主治医の意見書や、私も作成しましたが、日常生活報告書あたりですね。
澤田弁護士
まあ、長くかかりましたけれど、良かったですね。
吉山弁護士
ご両親が将来自分達がいなくなったときのことを心配されておられましたので、非常に喜んでいただけました。

「みお」のまとめ

ある日突然、身近なご家族が交通事故で高次脳機能障害を負ってしまったら。家族としては、体を元に戻すことができない以上、適正な賠償を受けたいと思われるのは当然のことです。
本件では、被害者のご両親が、記憶障害やコミュニケーション能力の低下などの症状に苦しみながら生活されているお子さんのために、鑑定手続きなどの影響で長引く裁判も辛抱強くお待ちいただいたことで、後遺障害等級5級でも将来介護費を含めた適正な賠償金額を得ることができた事例であると思います。
高次脳機能障害は,介護の必要性とその内容についてきちんと立証することが必要になりますので、解決実績のある弁護士に相談することが大切です。
後遺障害等級5級以上の重度障害の被害者の方には出張相談も行っておりますので,被害者の方の介護があって法律事務所に行くことが難しい方もご相談いただければと思います。

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