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裁判例研究
Vol.37

脊柱変形障害8級の労働能力喪失率

本件の担当
羽賀弁護士

2020年06月25日

事例の概要

示談交渉等の際に争点になりやすい脊柱変形の労働能力喪失率について、8級の判例を検討しました。

議題内容

・脊柱変形障害8級の労働能力喪失率の認定傾向について

議題内容

・脊柱変形障害8級の労働能力喪失率に関する認定例

・労働能力喪失率の分布

・脊柱運動障害8級の労働能力喪失率の傾向

参加メンバー
羽賀弁護士、伊藤弁護士、吉山弁護士、小川弁護士、山本弁護士、倉田弁護士、田村弁護士、加藤弁護士、大畑弁護士、北名弁護士、石田弁護士、松弁護士
羽賀弁護士
今回は、「脊柱変形障害8級の労働能力喪失率」について、裁判例の傾向を調べてみました。
脊柱変形障害の労働能力喪失率は、一般的に争点になりやすいので、赤い本の2004年版では、後遺障害11級の場合について検討されています。
また、日弁連交通事故相談センターが出している、「交通事故相談ニュース」の2011年3月版にも、裁判例の傾向の記載がありましたが、これもほとんど11級についての事案でした。
倉田弁護士
事件を処理していても、脊柱変形障害8級の事例は11級ほど多くありませんね。
田村弁護士
ただ、脊柱変形8級の場合は、比較的高額賠償になる可能性がある案件が多そうですね。
羽賀弁護士
参考となる文献がなかったため、自保ジャーナルの裁判例を調べたところ、検討対象にできたのが12件ありました。
そのうち、8級単独か、8級と14級の併合で8級になっているものが8件。あと、8級と13級以上の等級との併合で7級になったものが4件です。
加藤弁護士
脊柱変形障害8級とそれ以外の8級以上の後遺障害等級が併合されて、6級以上の等級になっている案件を対象にしていないのはどうしてですか。
羽賀弁護士
そのような案件の場合、他の後遺障害による労働能力喪失が大きいために、脊柱変形でどれだけの労働能力喪失率を認定しているのかが分かりにくくなってしまうので、除外しています。
羽賀弁護士
本題の労働能力喪失率の分布について、8級の標準は45%ですが、調べた裁判例では、14%から45%まで幅広く分布していました。
そのような差異が生じる原因について、骨折の部位、例えば、腰椎なのか胸椎なのかといった部位の点、圧迫骨折なのか破裂骨折なのかといった骨折の程度の点、骨折の数の点など、色々検討しましたが、骨折の部位や程度、骨折の数などが、労働能力喪失率にどう影響するかは、案件数も少ないので明確な傾向をつかむことはできませんでした。
羽賀弁護士
ただ、ほとんどの事案で、8級の脊柱変形障害が生じたらどういう症状が出ているのか、仕事にどういった影響があるのかということを、具体的に言及していました。保険会社側から、45%も労働能力が喪失していないと主張されて、被害者側が具体的な支障に言及しているためと思われます。
羽賀弁護士
労働能力喪失率の認定について、14%のものと15%のものが各1件ありました。このような喪失率が認定された理由は、脊柱変形の事案は、少なくとも、他覚的所見のある痛みが残った12級13号と同程度の障害とみることができるためと思われます。
羽賀弁護士
45%で認定された事例は、12件中4件ですが、そのうち3件は、12級以上の等級と併合されて7級になった事案で、労働能力喪失率は56%が認定されています。
石田弁護士
ということは、8級単独で45%で認定されたのは1件だけということになりますね。非常に少ないですが、なぜなんでしょう?
羽賀弁護士
恐らくなんですが、8級単独だと、なかなか何が支障なのか認定しづらい、というのがあると思います。
一方で、他の等級と併合する事案では、何かしら労働能力への影響が見えやすく、労働能力喪失率を高く認定しやすいのかもしれません。
羽賀弁護士
次に、労働能力喪失期間を限定していた事案は、12件中2件です。
石田弁護士
10件は標準通りの期間を認定しているわけですね。2件の事案は、どのような理由で労働能力喪失期間を限定したのでしょうか。
羽賀弁護士
1件は、怪我の回復の可能性があるからという理由ではなく、そもそも基礎収入の立証が非常に弱いと認定されていて、それなら5年程度しか収入は続かないのではないか、ということで期間を5年にしたというものです。
もう1件は、標準で言えば14年と認定しても良いはずのところを10年としている案件です。判示内容を見れば、疼痛の場合の労働能力喪失期間の制限を意識して、10年としているのではないかと思われます。
山本弁護士
確かに、疼痛で12級13号の後遺障害等級が認定された場合、労働能力喪失期間が制限される場合もありますね。
羽賀弁護士
裁判例の資料をお配りしています。年齢、性別、職業、怪我の内容、労働能力喪失率、あと判示内容等引用していますので、参照頂ければと思います。
吉山弁護士
脊柱変形障害8級について、事務所で扱った事例はありますか?
羽賀弁護士
裁判上の和解で8級の脊柱変形障害を解決したことがあります。被害者の方は56歳の主婦で、お怪我は第12胸椎と第4腰椎の圧迫骨折、後遺障害等級は脊柱変形と腰部痛で8級でした。裁判上での和解での認定は、労働能力喪失率20%とされました。
後遺障害等級は8級の認定ではあるけれど、運動障害と荷重機能の障害は非該当ということが裁判所から指摘され、身体のバランス悪化による、歩行や階段の上り下りの困難や、腰背部痛による立位座位維持困難、腰痛で椅子に座り続けることが困難、ということがあることを踏まえ、労働能力喪失率20%と裁判所から提案されました。
羽賀弁護士
12件の調査なので、どこまで一般化できるかわからないんですが、8級の脊柱変形障害の場合、①医学的な面で、骨折の部位はどこなのか、どの程度なのか、さらに、骨折自体が安定性があるものなのかどうかや、固定術の方法などの点を主張立証します。その上で、②脊椎柱の機能の1つである支持性の問題、つまり、重い物が持てないとか、転びやすいとか、そういった支障が出ていないか。あと運動性の低下、こちらについては運動障害の8級2号には達しない程度の可動域制限があるかどうか。さらには、痛みやしびれの有無ですね、そういったところを主張立証して、最後に、③具体的に、仕事上あるいは生活上の支障とか減収の有無を主張立証して、労働能力喪失率ができるだけ認定されるようにする必要があると思います。
小川弁護士
脊柱変形障害8級の労働能力喪失率については、なかなか厳しい認定になっている場合が多いようですね。
羽賀弁護士
そうですね。なかなか45%まではいかない場合が多いのではないか、というのが結論かと思います。
小川弁護士
脊柱運動障害8級の労働能力喪失率の傾向はどうでしょうか?
羽賀弁護士
そちらも調べましたが、10件中9件が労働能力喪失率45%の認定になっており、脊柱変形障害と異なり、ほぼ原則通りの喪失率の認定ということになります。1件だけ、原告の仕事内容から見て45%は喪失しないだろうということで、35%に留まると認定されていたものがありました。詳細は、お配りした資料を参照してください。
羽賀弁護士
以上のように、脊柱の障害について、運動障害が出るかどうかが喪失率の認定の上で、非常に重要な部分になります。
おそらく運動障害まで出る案件というのは、頸椎をやられたりとか固定術をしていたりとか、かなり、重傷の案件が多いようですので、喪失率の認定も、そのまま出やすいのだと思います。

「みお」のまとめ

脊柱変形が残った場合、仕事上・日常生活上の支障は分かりにくいことがよくあり、労働能力喪失率が低く認定される場合があります。それだけに、適切な示談金を得るためには、詳細な医学的データや仕事や日常生活上の不都合を明示する必要があります。圧迫骨折や破裂骨折の怪我をされた場合、示談金額が比較的高額になることが多いと言えますので、一度、後遺障害に詳しい「みお綜合法律事務所(大阪・京都・神戸)」に相談されることをお勧めします。

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