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弁護士による交通事故研究会

制度研究
Vol.23

むち打ち症の後遺障害の判断基準

本件の担当
羽賀弁護士

2019年02月28日

事例の概要

後遺障害14級認定の争点と、等級獲得のポイントについて。

議題内容

  • 後遺障害14級認定の争点と、等級獲得のポイントについて。
議題内容
  • 経験から見た、むち打ち症の後遺障害等級14級認定の際の争点の分析。
  • 証拠としての画像の重要性。
  • 後遺障害診断書記入時の注意点。
  • その他むち打ちの後遺障害申請をする際の注意事項。
参加メンバー
澤田弁護士、伊藤弁護士、羽賀弁護士、吉山弁護士、田村弁護士、石田弁護士、山本弁護士、加藤弁護士
羽賀弁護士
今回は、「むち打ち症の後遺障害の判断基準」ということでお話ししたいと思います。
むち打ち症の後遺障害等級の認定申請を多く行って来た中で、気付いたことなどを順番にご紹介して行きますので、皆さんのご意見をいただけたらと思います。
羽賀弁護士
自賠責保険では、後遺障害14級認定の際の考慮要素は大きく分けて、事故の内容、治療経過、現在の症状の3つになると思っています。
羽賀弁護士
まず【事故の内容】ですが、おそらく、事故態様と物損金額あたりを、主に見られているのだと思います。
簡単に言って、体に激しい衝撃を受けてもおかしくないという事故態様だったら、おそらくむちうち症の後遺障害等級が認定されやすいのではないか。四輪車にせよバイクにせよ、車両が転倒して、(地面から)首などにすごい衝撃を受けてもおかしくないといった種類の事故の方が、おそらく、後遺障害の等級認定がされやすいという印象があります。
一方で、追突の場合は、比較的軽い場合もあるようなので、等級が付く場合には付きますけれど、ちょっと付きにくいのかな、というのが経験からの印象です。
羽賀弁護士
次に、物損金額ですが、おそらく、額が大きいほど等級が付きやすいという傾向はあるだろうと思います。どれくらいなら軽微物損とされ等級が付きにくくなるかは、ケースバイケースでもあり判断は難しいと思います。ただ、物損がどの程度かはよく見ておく必要があると思います。
羽賀弁護士
次に治療経過ですね。事案によって様々な要素が見られており、後遺障害認定のプラス要素や落とし穴がどのようなものであるか注意する必要があります。
羽賀弁護士
まず治療内容ですが、一般的なリハビリだと、なかなか後遺障害等級認定のプラス要素にはならないだろうと思います。
羽賀弁護士
次に通院期間や日数ですが、一般的には半年以上というのがかなり重要な要素になっていると思います。通院期間が半年を切っていても、等級が付いている事案がないわけではないのですが、基本的には半年以上ということになるかと思います。
倉田弁護士
単純に、長いほど有利ということですか?
羽賀弁護士
長い方が付きやすいのは付きやすいと思いますが、治療期間が長くなりすぎると保険会社から治療費支払いを止められてしまうことは多いです。
羽賀弁護士
通院日数も、恐らく、多い方が等級が付きやすいというのはあると思います。ただし、たくさん通院すると治療費がかさんでしまいますので、あまり行きすぎると、保険会社からの治療費の打ち切りが早くなってしまう恐れはあります。
羽賀弁護士
整形外科か整骨院かですが、整形外科に通院した方が、後遺障害等級が付きやすいだろうというのはあります。交通事故に遭ってから治療開始まで時間が空いていたり、通院の空白期間が長期に及ぶ場合は、後遺障害が認定されにくくなるだけでなく、治療費の打ち切りのおそれもあります。
羽賀弁護士
画像所見に関しては、後で発見されたとしても、問題にならないことの方が多いかなという印象です。
羽賀弁護士
最後は【現在の症状】ですね。これはやはり、後遺障害診断書に何を書くのかが一番重要です。ほぼ常時痛みやしびれがあることが必要ですので、後遺障害診断書にうまく書いてもらう必要があります。画像所見があればその記載もしてもらいます。
倉田弁護士
記載してもらう時に、気を付けることはありますか?
羽賀弁護士
後遺障害診断書に、「今後の見通し」という欄があるんですが、ここに、「今後治療を続けることにより回復する可能性がある」というようなことを記載されると、後遺障害等級が認定されないことがあります。
倉田弁護士
「回復する可能性がある」はダメなんですね。
澤田弁護士
痺れと痛みが書いてあるだけで、画像や神経学的異常所見とかがなかったら、認定は難しいのかな。
羽賀弁護士
そうですね、なかったら難しいと思います。治療期間の長さや通院頻度で拾ってくれるかどうか・・・ということになりますが、なかなか。治療期間の長さや通院頻度だけでは難しい印象です。
澤田弁護士
神経学的異常所見って、具体的にどんなことですか?
羽賀弁護士
ジャクソンスパーリングテストとか腱反射とか、色々あります。
澤田弁護士
こちらからお医者さんに、やってくださいって言わないと、やっていただけない検査ですね。
羽賀弁護士
そうですね。12級を狙うには、どうしても書いてもらわないといけない検査ですね。
吉山弁護士
ただ、神経学的異常所見は、なかなか矛盾なく出るってのが難しいみたいです。
澤田弁護士
画像って、ヘルニアみたいなことですか?
羽賀弁護士
はい、ヘルニアですね。
吉山弁護士
椎間板の膨隆(ぼうりゅう)※とか、脊髄への圧迫所見があるかどうか、ということですね。

※局部的な膨らみのこと
羽賀弁護士
後遺障害認定の際は、痛みなり痺れが常時あるかどうか、っていうところを見られてますので、後遺障害診断書にはシンプルに書いてもらうという方法もあります。どういうときに痛みが強くなるかということは、書き方次第で落とし穴にはまってしまうこともありますので。
澤田弁護士
雨の日は痛い、とか書いたらあかんのやね。
羽賀弁護士
そうですね、お医者さんはそういう風に書きたがる面もありますし、書き方次第でそう見えてしまうってこともあるので。
澤田弁護士
一回書かれたものを直してくださいって言えるんですか。
羽賀弁護士
言いづらいので、大体、前もってお願いしおきます。
澤田弁護士
あー、そういうことか。書いてもらう前にね。
羽賀弁護士
痺れ放散痛というような症状がないと、12級はおそらくなかなか付かないだろうと思います。
神経学的異常所見も同じで、12級の場合には必須でしょう。しかも時系列および現時点で矛盾なくっていうことだと思います。
画像所見についても、ヘルニア椎間板の膨隆だとか、吉山先生に言っていただいた通りで、12級の場合は絶対必要だろうと思います。
ただ、以上のような要件を満たす事案はほとんどなく、むち打ちや腰椎捻挫で12級が認定される案件はなかなかないと思います。
羽賀弁護士
まとめますと、
14級の認定要素は、画像所見が大きいと思いますが、自賠責の方も、結構流し読みじゃないですけど、あまりちゃんと見てくれてないだろうな、という印象があります。そういう意味でこちらの方で画像を読み取った上で申請をする必要はあると思います。
吉山弁護士
それは、主治医の先生に何か書いてもらうんですか?
羽賀弁護士
いえ、ほとんどの事案では主治医の先生ではなく、こっちでやってます。
吉山弁護士
こっちで画像に丸付けて、みたいな?
羽賀弁護士
はいそうです。
吉山弁護士
後遺障害診断書に、例えば「C67に膨隆有り」とか書いてあったら、それはここですみたいな。
羽賀弁護士
そうですね。お医者さんによっては、例えば膨隆があっても、神経に当たってないと判断されると、診断書に書かない方もいらっしゃるので、そんなのも含めて、当方で、この辺ですという風に画像に印を付けるようなことはしています。
倉田弁護士
正直、画像を見ても、こうかなっ?て思う所はあるんですけれど。ここの所ちょっと出っ張ってる、神経に触れてるのかしら?どうなのかしら?というところくらいまでは判断できるんですけど、それくらいの判断でも出しちゃいますか?
羽賀弁護士
そうですね、それでいいと思います。
自賠責の方の画像の見方は相当粗いと思うので、目印を付けるだけでだいぶ効果があるというのが、これまでの印象です。
吉山弁護士
去年1件だけかな。異議申し立てするときに、日常生活報告ってことで、腰痛がいつもあるんだけども、どういう姿勢をとりにくいとか、例えば、靴下はいたりズボンはいたり腰をかがめる動作をとりにくく、その時に痛みが増しますとか。あと、トラック運転手なんですが、同じ姿勢を維持することがつらいので、長時間座って運転するのがしんどいですとか。痺れもあったんで、どこにどういう痺れがあるのかってことを、ちょっと具体的に書いてもらったり。それ提出するなどして異議申立をしたら、14級出たのがありますね。
澤田弁護士
高次脳機能障害のときとかは、よく、陳述書って言うてはったけどね。
吉山弁護士
そうですね、日常生活報告の補充のような意味合いで、ご本人はどういう状態で、ご家族がどういう介護をしてるのかとか、そういうのは出したりはしてましたけど。

他の先生方で、こういう工夫がありましたってのはありますか。
山本弁護士
そうですね、陳述書は異議申し立てのときに出すことがあります。記載内容は工夫しないといけないと思いますが。
あと羽賀先生から発表いただいた中で、事故態様と物損の額で結構困るのが、軽トラでむち打ちした人でして、軽トラは非常に頑丈なので、損傷はあんまりしないんですけど、運転手の後頭部がフレームに直接乗っかってるんで、むち打ちは結構ひどいことになったりするものの、後遺障害等級が出なくて困るということを、よく経験する気がします。
澤田弁護士
へえー
山本弁護士
むち打ちで12級は、私も経験がないですね。昔お1人だけ、手術をして12級になった方を見たことがありますが、確か、既往症と合わせての手術だったので、素因減額で治療費をごっそり引かれましたので、12級認定されたのに賠償金はあまり大きくなりませんでした。むち打ちってやっぱり14級が限度で、結構非該当もあるなというのが私の印象ですね。
田村弁護士
羽賀先生の方で、いろいろ画像を見て見立てをされると思うんですけど、それはその被害者請求なら被害者請求、異議申し立てなら異議申し立てされるタイミングで、吟味されるんですか。それとも、早めに画像をなんとか取り寄せて、これからの通院期間、どういうふうなことに気を付けてっていう見通しを立てたりしていますか。
羽賀弁護士
後遺障害申請するにあたってですね。事前に貰うことは少ないです。
田村弁護士
治療中は一般的な注意事項をお伝えしたうえで、治療終了を待って、画像を見て、後遺障害申請ということですか。
羽賀弁護士
そういうことですね。正直、画像で異常の程度は分かりますけど、それで後遺障害等級が付くかどうか確実なところは分かりません。結局、画像以外の要素も総合的に判断されるので、画像だけというわけではないです。

「みお」のまとめ

むち打ち症はとかく軽く見られがちですが、症状の程度によっては、後遺障害等級の認定を受けることが可能です。そのためには、主治医の「後遺障害診断書」をはじめとする医学的資料が必要ですが、内容が適切でないと、本来受けられるはずの等級認定が受けられません。
むち打ち症で後遺障害申請を進めたいと思っている方、後遺障害が認定されたけれど妥当か分からないという方は、むち打ち症の後遺障害申請を多く取り扱っている「みお綜合法律事務所(大阪・京都・神戸)」にご相談いただければと思います。

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