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事例研究
Vol.21

男性の家事労働を示談金に反映した事例

本件の担当
羽賀弁護士

2019年01月24日

事例の概要
  • 依頼者は69歳の男性で、無職の年金生活者。妻は亡くなっており、子2名と同居して家事を担っている。
  • 横断歩道のない道路を歩いて横断中、路外の駐車場から右折で進入してきた四輪車に衝突され、頚椎・腰椎捻挫等の怪我で、約7か月の治療後、後遺障害14級9号に認定。
  • 男性だが、家事従事者としての休業損害や逸失利益を希望され、示談交渉で獲得できた。

議題内容

  • 男性の家事従事者の損害賠償について
  • 事故形態から見た過失相殺について
議題内容
  • 家事従事者として、休業損害や逸失利益を希望される男性から依頼を受け示談交渉をした。
  • 男性である故に必要とされる、様々な資料を用意して提出した。
  • 事故の過失割合と、休業損害・逸失利益・傷害慰謝料・後遺障害慰謝料とをプラスマイナスすると、こちらの主張がかなり認められていると判断し、示談に応じた。
参加メンバー
澤田弁護士、羽賀弁護士、吉山弁護士、小川弁護士、田村弁護士、石田弁護士、山本弁護士、加藤弁護士
羽賀弁護士
男性の家事労働を示談金に反映した事案です。
ご依頼者のAさんは、69歳の男性で無職、年金暮らしです。奥さんは15年ぐらい前に亡くなっていて、40歳代の長男、30歳代の長女と同居して、3名分の家事を担っているので、家事従事者として、休業損害や逸失利益の請求ができないかというご相談でした。
田村弁護士
事故の状況はどうだったんですか?
羽賀弁護士
横断歩道のない道路を横断中に、路外の駐車場から右折で侵入してきた四輪車に衝突されました。怪我は、頚椎・腰椎の捻挫で、7カ月治療されて、14級9号の後遺障害等級が認定されました。
羽賀弁護士
この段階で、保険会社から損害賠償の示談案が提示されたんですが、全体で167万円の提示で、休業損害は入っていませんが、逸失利益は3年分認めます、という内容でした。
Aさんの希望する、家事労働に関する休業損害が認定されておらず、慰謝料の額も低いし、全体に低額であるとして相談に来られました。
加藤弁護士
なぜ逸失利益だけ認めたんでしょうね。
羽賀弁護士
将来の就労の可能性を考慮した可能性がありますが、具体的な理由は分かりませんでした。Aさんは、家事労働をされているということで、休業損害と逸失利益の賠償を希望されていたので、受任するかは躊躇しました。しかし、お話をうかがうと、家事労働をされていることを示す資料は何とか用意できそうだったので、それなら示談解決ができなかった場合でも、紛争処理センターでの立証もできるんじゃないかと思われたのと、Aさんと保険会社の間で、必ずしも否定的ではない事前交渉があったということがわかったんです。
加藤弁護士
それはどんな交渉だったんでしょう?
羽賀弁護士
Aさんが、保険会社に「私は家事労働をしているので、家事従事者として認定してほしい」という話をされたところ、保険会社から「家事のスケジュール表を出してほしい」との依頼があったとうかがったので、これは、状況によっては認めるというスタンスなのかな、ということで、それなら示談交渉で解決できる可能性も十分ある、と思って受任することにしました。
田村弁護士
実際に交渉して、どうでしたか?
羽賀弁護士
やっぱり色々資料を請求されました。女性ならほぼ無条件と言えるところではあるんですけれど。保険会社に送ったのは
①家族3名の住民票。これは同居の家族がいることを示す資料です。
②Aさんの課税証明書。依頼者が仕事をしておらず収入がない、つまり家事をする時間があることを示す資料です。
③Aさんの健康保険証。これは、Aさんが、同居されている長男の扶養家族になっているということが分かるものです。結局、長男に健保に加入するくらいの収入があるということは家事ができないだろうということの証明にもなるということと、Aさんが長男の扶養になっているものであることから②と同趣旨の意味もあります。
④Aさんの長女の健康保険証。長女は自身で健保に加入する程の収入があり、家事をしていないことを示す資料になります。
⑤家事のスケジュール表。依頼者自身の作った陳述書みたいなものですけども、依頼者が家事をしていることを示す資料になります。朝何時に起きて、何時から何やって、というかたちでの資料ですね。
以上5点になります。
羽賀弁護士
これらの資料を出して、保険会社と交渉した結果、Aさんが家事従事者であることを前提にして、休業損害と逸失利益が認められ、示談に至りました。
田村弁護士
休業損害や逸失利益の基礎収入は、女性平均を使ったのですか?
羽賀弁護士
そうですね。休業損害は、自賠責保険の女性の年齢別平均賃金の日額7,779円を基礎収入として、通院日数127日分の、約980,000円が認定されました。
逸失利益の方も同じく、女性平均の基礎収入で、労働能力損失率5%と、期間としては5年間ということで、ある意味MAXのようなかたちで認められ、約610,000円という提示がありました。そして、その他慰謝料を加算して、その総額から数字を切り上げ、360万円で合意したという経緯です。
吉山弁護士
示談内容について、もう少し説明していただけますか。
羽賀弁護士
わかりました。弁護士基準より高いであろうというところは、傷害慰謝料で、ここは、むちうちで軽度の神経症状なので、2/3程度っていうふうにされる恐れがあるんですが、骨折等がある場合の慰謝料と、むち打ちの場合の慰謝料の中間ぐらいの金額での提示だったので、こちらに若干有利と思われました。
羽賀弁護士
受任後、若干不利に変わった部分は、もともと言われていなかった過失相殺が、5%に変わったという点です。
狭路からの右折車にぶつけられたということになると、基本、過失割合は10%で、Aさんが65歳以上の高齢者ってことで5%の修正をすることになり、5%という主張になります。ただ、加害者は狭路から右折してきたのではなく、路外の駐車場から右折してきたこと、衝突してはじめてAさんに気が付いたことから、0%の可能性は十分にあると考えられました。
澤田弁護士
基本、過失割合を5%程度として、高齢者修正または著しい過失の修正を加えると0%になると考えられますね。
羽賀弁護士
そうなんです。判例タイムズ掲載の事案の地図は、狭路から右折してきたような場合で、本件は路外の駐車場から右折してきたので、若干事情が違います。路外である駐車場からの右折の方が、歩行者側には有利になる可能性がありますので、本来で言えば、0%になる可能性はある、と考えたんですけれども、慰謝料が基準より高めで認められているし、休業損害も逸失利益も、こちらの主張がかなり認められているということで、その辺は、全体としては問題ない、ということで、5%の過失相殺で示談しました。
澤田弁護士
裁判例でも、本件と類似の事例で、一定の過失割合が認められた場合がありました。適正な判断をされたと思います。
澤田弁護士
この方、奥さんはいてはらへんかったわけですよね。
羽賀弁護士
はい。いらっしゃらないです。いらっしゃっる場合だと、奥さんが介護認定を受けていて、実際に介護をしているような特別な事情がないと否認されると思います。
田村弁護士
この、家事のスケジュール表というのは、どういうものを作成されたんですか?
羽賀弁護士
単純に、何時から何時まで、朝食作って買い物に行きます、昼食作ります、洗濯します、夕食作ります、お皿洗います、っていうものです。シンプルな。
田村弁護士
休業損害の基礎収入が日額7,700円っていうのは、男性だから減らされてるんですか?
羽賀弁護士
男性だからではなく、69歳だからですね。
女性の賃金を基礎にするけれども、この方は69歳と少し高齢なので、少し減額されました。

「みお」のまとめ

男性の家事労働はなかなか認められにくく、本件の示談交渉で家事労働の反映が認められたのは、資料が揃ったこと以外に、保険会社担当者の理解があった点が大きいと思います。男性の家事労働は、問答無用で切られることも多いのが実情です。
無職男性の場合、具体的事案にもよりますが、家事労働を主張する以外に、将来の就労の蓋然性を主張して、賃金センサスをベースにして休業損害や逸失利益を請求する方法も考えられます。特に、若い男性の場合は、そちらの方が可能性が高いといえるでしょう。
今回のご依頼者の方は比較的高齢で、将来の就職の蓋然性があるとは言えなかったことから、家事従事者としての請求を行い、結果として一定の賠償が得られた事案となります。

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