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弁護士による交通事故研究会

事例研究
Vol.52

橈骨遠位端骨折・腰椎捻挫で、異議申立により14級認定

本件の担当
羽賀弁護士

2022年02月11日

事例の概要

異議申立で後遺障害等級14級の認定を受け、示談交渉で解決しました。

 

議題内容

主婦兼会社員の方の、後遺障害等級14級認定の経緯と、保険会社との示談交渉における休業損害や後遺障害逸失利益の算定について検討しました。

議題内容

・後遺障害認定の被害者請求と、認定結果への異議申立について

・主婦でもある30代会社員の休業損害と逸失利益の請求について

・画像資料の見方について

参加メンバー
羽賀弁護士、澤田弁護士 、伊藤弁護士、吉山弁護士、小川弁護士、山本弁護士、倉田弁護士、田村弁護士、加藤弁護士、石田弁護士、西村弁護士
羽賀弁護士
今回は解決事例をご紹介します。
お配りしている資料は、後遺障害診断書、被害者請求で最初に出た後遺障害等級の認定結果(非該当)、それに対する異議申立書、それを受けての14級の認定票と、示談交渉における当方の提案書と保険会社からの対案2回分です。
あと、怪我をされた腰と右手首の骨のカラー画像を付けています。
羽賀弁護士
被害者の方は、2020年9月に大阪府東大阪市で事故に遭われ、事故から間を開けず相談に来られ、受任しました。
以前ご家族が交通事故に遭われたときに受任した経緯があり、弁護士費用特約もあることから、早い段階での受任になりました。
解決までの流れは、治療中の保険会社とのやり取りを行い、症状固定後の後遺障害認定の被害者請求を行い、一旦出た後遺障害等級に異議申立、14級の認定を受けて、示談交渉で解決、というものです。
羽賀弁護士
事故の概要ですが、被害者の方が自転車で青信号の横断歩道を渡っていたところ、対向方向から右折して来た車にぶつけられた、というものです。
お怪我ですが、右橈骨遠位端骨折、左人差し指の骨折、腰部の打撲です。入院や手術は無く通院で治療をされました。そのまま半年ほど治療されて、それでも症状が残るということなので、後遺障害の申請が必要になりました。
羽賀弁護士
職業は会社員、収入は240万円程度。主婦でもあるので、示談交渉で、主婦としての休業損害と逸失利益を請求しました。
羽賀弁護士
後遺障害診断書の自覚症状の記載で、後遺障害に関係するのは、右手の関節痛と可動域制限、左腰部と左股関節の痛み、両下肢痺れの部分になります。
他覚症状及び検査結果の欄には、骨癒合(+)いう記載がありますので、骨はくっついているとの所見です。
羽賀弁護士
後遺障害診断書に、手関節の可動域制限の記載があります。ここで後遺障害の対象になるのが他動の所ですが、右手関節が60+60で120度、左手関節が90+80で170度になっていますので、可動域制限としては一応12級の対象になる可能性はある内容です。
ただ、依頼者の方からの説明では、骨折はそこまでひどい状態ではなかったので入院も手術もしていないということでしたので、私からは、手関節の可動域制限については後遺障害の認定は出ないかもしれないが、痛みで14級が認定される可能性があるのではないかと説明の上、後遺障害申請を行いました。
羽賀弁護士
ただ、後遺障害の認定は、非該当でした。
理由は、
①左腰部の痛みや足の痺れ等の症状については「骨折等はなく、症状経過・治療状況等も勘案した結果、将来においても回復が困難と見込まれる障害とは捉え難い」というものです。
②右橈骨遠位端骨折後の手関節痛等については「骨は癒合しており、治療状況や症状経過等を勘案すれば将来においても回復が困難と見込まれる障害とは捉えがたい」
③手関節機能障害についても「骨は癒合しており、骨折の部位や状態等を勘案すれば、高度の可動域制限が生じるものとは捉えがたく、後遺障害には該当しない」
というものでした。
羽賀弁護士
この結果を受けて、異議申し立てをするかを検討しました。骨折をされていること、腰部にヘルニアがあることから異議申立が通る可能性はあると判断し、準備を行いました。
羽賀弁護士
異議申立に当たって出した画像ですが、資料1・2・3を見て頂くと、赤丸を付けた所に、結構分かりやすくヘルニアが出ているのと、資料の6と7は横切りした場合の画像で、資料5と比べて矢印の部分が非常に細くなっています。
以上の点を踏まえると、腰の痛みについては、後遺障害認定される可能性がそれなりにあると思われました。
それに対して、右手骨折ですが、骨折なので、本来ならこちらの方が怪我としては重傷ということができますが、資料8、これは事故日に撮った3DのCT画像ですが、これを見ると、実はちょっと分かり辛い。どこが折れてるのかなという感じがあるんですが、資料9の赤線を引いたところにヒビが入っています。
9と8を比べて頂くと分かりやすいと思います。
つまり、骨は折れてはいるがヒビで、完全に割れているわけではない状態です。
羽賀弁護士
以上を踏まえると、骨折の方は後遺障害としては認定されにくいとも考えました。ただ、可能性はありますし、自賠責保険でよくあるパターンとして、1つ14級の後遺障害を認めると、もう1つ14級認定してくることもありますので、両方とも異議申立の対象にすることとしました。14級が二つ認定されても、最終的な後遺障害等級は変わりませんが、もし骨折後の痛みで14級が認定されたら、腰椎打撲後の痛みの14級のみより逸失利益が認められやすいのではないかという考えもありました。
羽賀弁護士
異議申立の具体的内容ですが、画像資料に赤丸や矢印を付けました。具体的には、ヘルニアが確認できる箇所と、神経の通り道が細くなっている部分、さらに椎間板変性と思われる部分を強調しました。
田村弁護士
自賠責の審査で画像が見落とされることはよくあるんですか?
羽賀弁護士
よくある印象です。そのため今回の異議申立では、問題となる画像に赤印を付けて、強調しました。また、自転車対四輪車の事故なので身体への衝撃は非常に大きく、当然のこととして痛みが残ってもおかしくないんじゃないかという点も主張しました。
手関節の方は、機能障害と手の痛みの両方の認定を求めていますが、異議申立書として若干書き辛い部分がありました。というのは、骨折の程度が重くはなかったからです。ただ、手関節に非常に近い部分の骨折であったのと、ヒビの入り具合が骨全体に及ぶくらいだったこと、シーネの固定期間が1ヶ月あったことを強調して、後遺障害を認定すべきと主張しました。
羽賀弁護士
その結果、後遺障害等級が併合14級で認定されました。
腰椎捻挫の14級だけでなく、右手関節痛の14級も認定されました。どの資料を見て認定内容が変わったのが確認できる内容であればよかったのですが、その辺はよく分からない内容になっています。具体的には、腰椎捻挫は「画像上は症状と整合する圧迫所見は認められないが、受傷当初から症状固定時までの治療状況、症状固定とを勘案すれば、将来に於いて回復困難と見込まれるので14級9号に認定する」というものです。
羽賀弁護士
また、右橈骨の部分も14級が認定されていて、こちらの理由は、「骨癒合は良好であり変形癒合までは無いので他覚的な所見は無い。ただし、治療状況、症状経過も勘案すれば将来においても回復は困難な障害ととらえられる」というものです。
恐らく、橈骨の方は単独だとなかなか後遺障害等級としては認定し辛かったのかもしれないと思っています。腰椎の方で後遺障害等級が認定されたので、橈骨の方も併せて認定されたんじゃないかなと思います。
石田弁護士
資料を見ると、異議申し立てが認められた理由は簡易なものですね。
羽賀弁護士
そうですね、何がポイントであったかはよくわからないままです。ただ、画像所見を強調することには意味があったのではないかと思います。
羽賀弁護士
このように、異議申立で14級の後遺障害が認定されましたので、保険会社との示談交渉に進みました。
休業損害と逸失利益は主婦として算出しました。休業損害の休業期間は長めに出したのと、後遺障害逸失利益は、女性賃金を基礎収入にして、労働能力喪失率5%、期間としては、骨折があることも含めて35年間、32歳から67歳までにしました。2020年9月の事故で、法定利率に関する民法が施行された2020年4月1日より後の事故ですので、ライプニッツ係数はちょっと高めで、21.48です。さらに入通院慰謝料と後遺障害慰謝料を請求しています。
羽賀弁護士
交渉の結果、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料は、こちらの請求がそのまま認められました。保険会社が争ってきたのは、休業損害と逸失利益の部分です。休業損害は会社員の部分のみ認定し、主婦の部分については認定しないというものでした。後遺障害逸失利益についても同様に、主婦としてではなく、会社員の部分のみ認定し、期間は5年というものです。
倉田弁護士
保険会社の案では過失割合が0になっていますね。過失割合の争いはなかったんですか?
羽賀弁護士
本来なら10対90の事案ですが、加害者がウインカーを点灯していなかったか、スピードが相当出ていたかで、0:100の主張が認められました。
羽賀弁護士
この回答に対して、休業損害と逸失利益の基礎収入を、女性平均ではなく実収入で認定しているところが問題ではないか、ということで交渉を進めました。そして、最終的に、休業損害と逸失利益の基礎収入は、実際の収入よりも高い女性平均賃金で認められました。
吉山弁護士
逸失利益の喪失期間は5年の認定ですね。
羽賀弁護士
そうですね、骨折があるとはいえそこまで重くはないためというのはあると思います。骨が割れてしまって手術が必要だという状況だったら、より長い年数で交渉がまとまることもあるかもしれません。
吉山弁護士
1箇所14級が認定されたら、他も14級が認定される場合があると言われてましたが、理由があるんですか?
羽賀弁護士
明確な理由は不明で、推測になりますが、2つ14級を認定しても自賠責から支払われる保険金は変わらないというのは理由の一つになると思います。また、将来的に再度交通事故に遭った場合に、同じところを怪我して後遺症が残る場合、14級を超える後遺障害はないとして非該当(保険金支払いなし)と判断されるか、14級を超える後遺障害が認定されても加重障害として支払われる自賠責保険金が減額されることが考慮されている可能性があります。

「みお」のまとめ

事故直後にご依頼いただくことで、後遺障害申請や、示談交渉をはじめとした保険会社とのやり取りを弁護士にお任せいただくことができ、適切な後遺障害等級の認定を受け、保険会社から休業損害や逸失利益などの適切な示談金を受け取られた事例です。事故直後の早い段階から弁護士にお任せいただくと、被害者の方とご家族の精神的な負担が軽減できるのも大きなメリットです。交通事故の被害に遭われたときは、できるだけ早く、弁護士にご相談いただければと思います。

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