事例研究
Vol.6
2回にわたる異議申立てを経て、示談交渉で妥当な賠償金を獲得
事例の概要
- 依頼者は損害保険会社に勤務する60代才の男性。住宅街の生活道路を歩いていたところ、自宅の駐車場に入ろうと右折してきた自動車に衝突され、腰椎を圧迫骨折。
- 1ヵ月入院、半年通院で症状固定後、脊柱変形、痛み、しびれなどの後遺障害が残ったことから、後遺障害の等級認定を受けるために当事務所へ来所された。
- 腰椎の圧迫骨折により11級と認定されて、異議を申立て。等級変更は叶わなかったが、示談交渉では逸失利益の主張が認められて約1100万円の賠償額を獲得。
議題内容
- 医療照会における医師とのやりとりについて
- 示談における逸失利益の算定について
議題内容
- 診断書の画像をチェックし、疑問点を医療照会で確認。適正な等級認定に向けて異議申立てを行なった。
- 示談交渉において、保険会社の提示を上回る労働能力喪失率を認めさせて、より高額の示談額で解決できた。
参加メンバー
澤田弁護士、伊藤弁護士、吉山弁護士、小川弁護士、山本弁護士、羽賀弁護士、倉田弁護士、田村弁護士、堀田弁護士、加藤弁護士、大畑弁護士、北名弁護士
羽賀弁護士
依頼者は損害保険会社に勤務されていた方で、事故当時は交通事故の示談交渉を担当されていました。 皮肉にも、“交通事故の交渉のプロ”が被害者になってしまったというケースです。
澤田弁護士
そういう方が、みお綜合法律事務所を選ばれた理由は何ですか。
羽賀弁護士
職業柄、交通事故に遭ったらまず弁護士に依頼すべきであると考えておられたようです。様々な事務所のことをご存じでしたが、当事務所も対応方法などもご存じであったことも関係があるようです。
澤田弁護士
“交通事故の交渉のプロ”を相手にしての受任というのは、どうでしたか。
羽賀弁護士
ご相談の時点で必要書類を完備されていて、どの書類も弁護士の目から見ても充実した記載内容でした。
小川弁護士
後遺障害認定の申請結果は11級だったんですね。これは妥当なんですか。
羽賀弁護士
等級としては8級を見込んでいたんですが、被害者請求では11級になりました。8級に相当しないという理由が不明だったので、これを不服として1度目は医療照会なしで異議申立てをしました。結果は、やはり11級でした。
小川弁護士
相互の等級認識の違いは何によるものですか。
羽賀弁護士
自賠責保険は、画像で計測した結果、8級相当には至らないとの判断でした。画像を見てほしいんですが、第3腰椎がつぶれて、椎体の真ん中がへこんでいることが確認できます。そこで、画像のどの部分を計測したのかについて医療照会したところ、具体的な回答を得ることができました。照会結果を得て、再び異議申立てをしましたが、2度目も8級認定は却下されました。腰椎の真ん中の部分の高さを計測しており、前縁の高さが計測されていないからとの理由です。
形式的に考えると、11級の認定になってしまうのはやむを得ないと思います。ただ、骨折の程度を考えると11級の認定でいいのかという疑問は残ります。
小川弁護士
医師は自分の見立てが後の等級認定に影響することを想像しないんでしょうか。
山本弁護士
意外に、そこまでは考えないみたいですね。
北名弁護士
医療照会はどういう形でやるんですか。写真を見てもらいながら、確認したい箇所について医師に聞くんですか。
羽賀弁護士
この場合はそうしました。ただ、いきなり書類を書いてくださいと言っても医師の側も困るだろうと思い、こちらで作成した記載例を見せて依頼しました。
澤田弁護士
医療照会を経て異議申立てをしたのに認められなかったんですか。
羽賀弁護士
意見書をつけたにもかかわらず、前縁が後縁の半分まではつぶれていないとのことで、8級の認定はできないという回答でした。腑に落ちないものを感じましたが、依頼者が、異議申立てを2度行なって却下されたのならそれ以上は争いたくないという意向だったので、11級を前提として示談交渉に入りました。
小川弁護士
示談の争点は何ですか。
羽賀弁護士
逸失利益の計算に必要な労働能力喪失率をどう見るかという点です。こちらは20%を主張しました。これに年齢別平均年収と照らし合せて計算して約1500万円を提示しました。対する保険会社は逸失利益を14%とし、約900万円と回答してきました。
小川弁護士
保険会社の側は基礎収入額をどのように計算しているんですか。
羽賀弁護士
事故前年の実収入をもとにしていました。喪失期間に関しては、こちらの請求通り10年を受け入れてくれていました。
小川弁護士
依頼者の方の反応はどうでしたか。
羽賀弁護士
さらに増額できる可能性があることを伝えましたが、必ずしもこちらの要求通りでなくてもよいということだったので、再交渉した結果、約1100万円で解決に至りました。
小川弁護士
結果的にはこちらの主張がかなりの程度認められたことになりますね。
羽賀弁護士
後遺障害による脊柱変形の場合、11級の等級認定を受けていても、仕事への影響は限定的と見られ、保険会社から労働能力喪失率が14%にとどまると主張されることはよくあります。本件では骨折の程度が決して軽いものではなかったこと、先々まで労働能力に大きな影響が出ることを立証して主張したことで、最終的に20%の労働能力喪失が認められました。
小川弁護士
等級を格上げすることはできなかった代わりに、示談では相手側の譲歩を引き出した形ですね。
澤田弁護士
“交通事故の交渉のプロ”であっても、自分で解決しようとせず、弁護士に一任されたことが冷静な判断を生み、望ましい成果に結びついたといえるでしょう。
羽賀弁護士
このケースでもそうであったように、私たち弁護士はいろいろな角度からのアプローチを試みて、被害者にとって正確で妥当な等級認定を獲得しようと努めています。医療照会もその一つです。こうしたミーティングで、医師とのコミュニケーションのノウハウについて情報交換することは、日々の現場での対応に大きく役立つと実感しました。
「みお」のまとめ
被害に遭われた依頼者が、損保会社の示談交渉担当者だったという特殊な事例でしたが、弁護士に一任されたことで、手続きがスムーズに進んだ上、弁護士基準の示談金交渉により金額的にも円満に解決することができました。
保険会社に勤務されていた方でも弁護士に依頼されたことから分かるように、交通事故に遭ったらまず弁護士に相談いただくのが一番です。
保険会社に勤務されていた方でも弁護士に依頼されたことから分かるように、交通事故に遭ったらまず弁護士に相談いただくのが一番です。
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