更新日:2022年7月29日
脊柱変形11級の示談金を2倍近くに増額。
みおでご相談後の取得金額
事例の概要
被害者様:Tさん/50代/会社員/大阪府茨木市在住
脊柱変形11級の後遺障害が認定されましたが、痛み等の自覚症状はほぼなく、逸失利益が認められるかが問題になりました。交渉の結果、一定の逸失利益が認定され、総額700万円で解決しました。
事故はこうして起こった
Tさんは、大阪府茨木市で、歩道のない細道の右側を歩いていました。その際、前方からバックしてきた車があったため、止まってやり過ごそうとしましたが、車がそのままTさんの方にバックして衝突されてしまいました。
後遺障害と解決までの道のり
この事故で、Tさんは第3腰椎圧迫骨折の怪我をしました。1年ほど治療して、痛みはほぼなくなりましたが、腰椎に変形が残るということで後遺障害申請をして、11級7号が認定されました。その後、保険会社から提示された示談金額は約360万円。低いように思ったTさんは、当事務所に相談に来られました。
弁護士が保険会社からの提示金額を確認すると、最低限の補償を目的としている自賠責保険の基準とほぼ同じ金額となっていることが分かりました。Tさんの場合、脊柱変形の影響や、痛み等の自覚症状がほぼなく、逸失利益が認められるかどうかの問題はありましたが、少なくとも傷害慰謝料と後遺障害慰謝料が大きく増額になると見込まれました。また、Tさんには弁護士費用特約があったため、弁護士費用で手元に残る金額がマイナスになる事態は考える必要がありませんでした。以上を踏まえ、Tさんから示談交渉をお受けしました。
保険会社との示談交渉では、傷害慰謝料と後遺障害慰謝料が増額になりました。また、争点となった逸失利益についても、一定の金額を確保し、総額700万円で示談が成立しました。逸失利益の認定に困難な部分があったこと踏まえると、十分な示談金額になったと言えます。
当事務所が関わった結果
解決のポイント
後遺障害逸失利益の問題
後遺障害逸失利益は、後遺障害によって生じている支障によって、収入に影響が出たり、出る可能性があることから認められるものです。そのため、支障が小さかったり、収入に影響が出ていない場合は、後遺障害等級が認定されていたとしても、後遺障害逸失利益が否定される可能性があります。
本件の場合、後遺障害等級は11級7号が認定されていましたが、支障はほとんどなく、また、収入への影響もありませんでした。そのため、後遺障害逸失利益が否定される可能性がありました。裁判例においても、脊柱変形の支障がほとんどないケースや、収入への影響がないケースで、逸失利益が否定されている場合があります。
ただ、Tさんの場合、全く支障がないわけではなく、将来的な減収の可能性までは否定できないと思われました。そのような点を踏まえ、保険会社と交渉して、労働能力喪失率は14%、労働能力喪失期間は10年と一定の後遺障害逸失利益が認められました。11級の場合の労働能力喪失率は一般的には20%、労働能力喪失期間は67才までの期間か平均余命の2分の1のいずれか長い方(Tさんの場合17年)となることからすると、一定の制限がかかりましたが、そもそも逸失利益が否定される可能性もあることを考えると、やむを得ないところで、十分な金額が認定されたと言えます。
担当弁護士のまとめ
担当弁護士
:羽賀 倫樹
脊柱変形(腰椎圧迫骨折)について11級7号が認定され、保険会社から示談金額の提案があった方から、示談交渉をご依頼いただきました。脊柱変形11級7号の後遺障害は、認定される後遺障害等級と比較して、実際の影響が小さいケースもあることが特徴です。実際の影響が小さいと、後遺障害逸失利益が認められるか、認められるとしてもどの程度認められるかという問題が生じます。
この問題について、保険会社と交渉して、一定の逸失利益が認定されたのが本件の特徴です。
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