
交通事故による怪我の中で、代表的なものとして挙げられるだけでなく、後々の大きな問題の種となるのが「むちうち症(鞭打ち、むち打ち)」です。
神経等が損傷する傷病
「むちうち症」の定義や認定については、いろいろと歴史的経緯があるのですが、おおまかにいうと、「むちうち症」とは、事故による衝撃で首が「しなって」しまい、神経等が損傷する(神経や靱帯が伸びる・切れる)傷病です。首や背中の痛み、手足のしびれが主な症状となりますが、そのほかにも、頭痛やめまい、倦怠感など、さまざまな症状が現れる場合があります。
症状や部位によって異なる診断
一般的に「むちうち症」と呼ばれる傷病ですが、その症状や部位によって、さまざまな診断名で記載されます。また、交通事故による衝撃で、腰を打って怪我をすることも多くなります。腰を打って起こる傷病にもいろいろな診断名があります。
| ■交通事故による「むちうち症」の主な診断名 ・ 頚部捻挫(けいぶねんざ) ・ 頚椎捻挫(けいついねんざ) ・ 頚部挫傷(けいぶざしょう) ・ 頚部打撲(けいぶだぼく) ・ 頚部症候群(けいぶしょうこうぐん)など |
■交通事故による「腰の怪我」の主な診断名 ・ 腰部捻挫(ようぶねんざ) ・ 腰椎捻挫(ようついねんざ) ・ 腰部挫傷(ようぶざしょう) ・ 腰部打撲(ようぶだぼく) ・ 腰部症候群(ようぶしょうこうぐん)など |
以下は「むちうち症」についての詳しい解説ですが、事故による腰の怪我の場合にも、以下の解説を参考にしていただければと思います。
(1)軟部組織の損傷にとどまるもの
事故の衝撃で筋肉等の軟部組織の損傷に止まる場合です。この場合は、後遺障害が残らないことが大半です。
(2)神経根症
脊髄から出ている末梢神経(感覚神経及び運動神経)を「神経根(しんけいこん)」と言いますが、事故の衝撃で神経根が脊椎から出る穴が狭くなったり、骨棘等により神経が圧迫等されたりして損傷する類型です。
(3)バレ・リュー症候群
事故の衝撃で自律神経(交感神経及び副交感神経)のバランスが崩れて、自律神経失調症と同じ症状が出るものです。
(4)脊髄損傷
中枢神経である脊髄が損傷する類型です。脊髄損傷の解説記事をご参照ください。
(5)その他の傷病について
「むちうち症」とは言い難い下記の傷病が、「むちうち症」と診断されてしまう場合がありますので注意しましょう。また、下記の傷病は、「非器質的精神障害(ひきしつてきせいしんしょうがい)」の場合もあります。
■「むちうち症」と誤診されることのある傷病
・胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)
・腕神経叢損傷(わんしんけいそうそんしょう)
・CPRS(複合性局所疼痛症候群)※RSDともいいます(ふくごうせいきょくしょとうつうしょうこうぐん)
・コンパートメント症候群
(1)等級の種類
痛みやしびれについて、医学的に証明できるか、説明できるか、説明できないかで変わってきます。具体的に「むちうち症」の等級は、下記のような種類になります。
| 医学的に「証明」できるもの(客観的な医学的証拠がある) | |
| 医学的に「証明」はできないが、「説明」できるもの(この場合でも臨床検査は必要) | |
| 医学的に「説明」できないもの |
(2)どんな検査があるのか?
「証明(客観的医学的証拠)」とは、患者や検査者で左右できない検査結果を意味すると考えられるので、画像(MRI)などによります。臨床所見としては、各種神経学的所見(腱反射、徒手筋力テスト、握力など)、症状の一貫性などとなります。「むちうち症」の症状は、患者によって千差万別ですので、どのような検査が必要かは医師や弁護士などの専門家に相談して判断するのが良いでしょう。
(3)何が等級を分けるのか?
「むちうち症」では、客観的医学的証拠がない場合が多いので、その場合は各種検査を受診していただくことの他に、症状の一貫性、事故前に症状は無かったことに関する証拠の収集など、証拠を積み上げていく必要があります。
(1) 柔道整復(整骨院)の可否
通院の際には主治医の了承(できれば紹介書)をもらってください。
(2)通院の頻度
主治医の判断によりますが、なるべく通院してリハビリをされたほうが良いでしょう。
(3)神経ブロック注射
主治医の判断によりますが、痛みがひどいようである場合には、ペインクリニック(痛みを軽減する治療の専門医)にかかり、「神経ブロック注射」を受けて痛みを軽減するのが良いでしょう。